箇条書きで簡潔に(歴史)
箇条書きとは
いくつかの項目を読みやすくするため、項目ひとつひとつに1行をあてて並べて記述していく表現手法のことです。(出典:Wiki Pedia 箇条書き)
歴史
箇条書きで表現することは、かなり昔から人類がやっていた表現方法のようです。
その中でも、箇条書きで歴史に残っているのは、ガイウス・ユリウス・カエサルの「ガリア戦記」とされています。彼は、7年間のガリア地方への遠征の様子を、よく箇条書きで表現していたそうです。例えば「この城を攻める目的は三つあり、一つは……」のような表記をして、簡潔な表現を追求したそうです。
ガリア戦記が書かれた背景
ガリア戦記は、戦いの状況を常に元老院ローマの支持者に報告する行動記録を口述して手紙にしていたので、それらを材料にしたと言われています。(出典:世界史の窓)
元老院に正確に、戦闘の困難さを訴え、勝利導いた将軍としての働きを明らかにして元老院の支持を常に取り付けておく必要があったのです。さもなければ戦争を継続することはおろか、いつ更迭されてしまうかもわからない。そんなリスクとも鉢合わせで、遠い地で遠征を継続していたのです。
戦争に勝ったにも関わらず、元老院内の政治ゲームの結果、支持を得ることが出来なくなり、更迭されたり、戦争を続けられなくなったローマ人総督はたくさんいて、そのあたりのお話は塩野七生さんの”ローマ人の物語”を読んでいただくとたくさん出てきます。
ですから、カエサルにとって、戦争報告は戦争をすることと同じぐらいに重要な仕事で、正に戦争をしながら、報告書を書く必要がありました。
馬に乗りながら、二人の書記に、口述を筆記させて文書を完成させ、それをローマの支援者達に直ぐに送っていたそうです。(出典:プルタルコス/長谷川博隆訳『英雄伝』下 ちくま学芸文庫 p.195-196)
馬の上での口述の筆記ですから、冗長な文書を書くわけには行きません。簡潔な文章で正に箇条書きで要点を明解に文書を作成していたのでしょう。
英国の宰相ウィンストン・チャーチル
英国の宰相ウィンストン・チャーチルは、1940年英国がドイツに攻め入られて苦境である時に、「絶対にここであきらめるな」”Never Give in. Never Give in. Never Never Never…..” の感動的な演説をして英国民を奮い立たせたことで有名ですが、また箇条書きを多用したことで知られています。
彼はBREVITYというメモランダムを1940年に各部局に配布して、箇条書きを使うことを指示したメモを配布しました。また戦争が終わった後の1951年にもそのメモを参照する形で、彼のキャビネットメンバーにメモランダムを配布して、徹底を支持しています。
非常に有名で、現在でも報告書の指針になっていますのでいかにそのリンクと沙訳を載せます。
CHURCHILL ON BREVITY
https://twitter.com/Oliviersmith/status/701151794001477633仕事の遂行のために、たくさんの書類を読まなければならない。ほとんどのものが長すぎ、重要な事項に集中しなければならないにもかかわらず、時間を無駄にしている。
今後、わたしの同僚とスタッフには報告書を簡潔にするように強く要請する。
- 報告書には短くて明確に要点を説明をしたポイントだけを記述すること。
- 報告書に更に詳しい分析や、こみいった要素や統計を説明する必要がある場合は、アペンディスックで説明すること。
- 詳細に説明が必要なときには饒舌な報告書ではなく、ヘディングだけを記述したメモを提出して、必要に応じて口頭での説明とすること。
- 「次のような考慮事項を念頭に置くことも重要である…」、あるいは「効果を発揮する可能性を考慮する必要があります…」というようなフレーズを終わりとする。そこのほとんどは、余分であり、完全に省略することも、簡単な言葉にに置き換えることもできる。会話であっても、短く表現されたフレーズを躊躇せずに使おう。
私が提案する行に書かれた報告書は、最初は公用語の平らな表面と比較して粗く見えるかもしれない。しかし、現実のポイントを簡潔に設定するという規律は、より明確な思考の援助となる。
W.S.C.
1000年以上の差が開いているにも関わらず、カエサルもチャーチルも非常に重要な戦いを勝利に導いたリーダーとして今でも賞賛されています。また、二人とも歴史に名を残す雄弁家です。
にも関わらず、一人は戦争の中での簡潔にしか表現できない、馬上の口述の筆記により歴史に名を残す史書を残し、一人は、簡潔さの必要性を書く必要性を2度に渡って指示をだし、現在でも報告書作成の指針となっています。面白い符合だと思います。
箇条書きの大事さ
私たちが、今日から、二人のようになることは少々努力が必要かもしれませんが、ただ、箇条書きにして、彼らがやったように、簡潔に表現をしてコミュニケーションを高めていく努力は今日からでもできることです。
また、それを助けるツールもたくさんあり、現在WorkFlowyというツールを私達は勧めています。ぜひ、弊社の別のWorkFlowyの紹介動画も参照していただいて、箇条書きで文書を、コミュニケーションをすすめてください。