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ディベート解説 試合編

ディベート解説 試合編

ディベートの試合では、論題(論争するテーマ)について賛成・反対の2チームに分かれて論争をします。

論題に対して賛成の立場で議論するチームを肯定側、反対の立場で議論するチームを否定側と呼びます。

選挙や裁判、ビジネス現場での実務ディベートとは別に、学校などで行われる教育目的のディベートを、「教育ディベート」と呼びます。

教育ディベートの試合形式は多くありますが、ここでは、典型的な形式のひとつ「2人制ディベート」を説明いたします。

2人制ディベート

2人制(肯定側:AとB、否定側:CとD)の場合、次のような順で試合を進めていきます。

(1)肯定側立論(5分間):肯定側のA による

(2)否定側質疑(3分間):否定側Cが肯定側Aを質疑する

(3)否定側立論(5分間):否定側Cによる

(4)肯定側質疑(3分間):肯定側Bが否定側Cを質疑する

(5)否定側反駁(4分間):否定側Dによる

(6)肯定側反駁(4分間):肯定側Bによる

(7)否定側サマリー(3分間):否定側Cによる

(8)肯定側サマリー(3分間):肯定側のAによる

(9)審判(ジャッジ)が勝ち負けを決定

ディベートは肯定側が立論することからすべてが始まりますので、最も重要です。では、肯定側の立論をどう作れば良いかをみてみましょう。
具体例として肯定側の立論をご説明いたします。

肯定側の立論の構成 論題:「職場・公共の場所は全面禁煙すべき 」

ディベートは肯定側が立論することからすべてが始まりますが、肯定側の立論では論題について定義、基本理念、現状の問題点(内因性を含む)、問題を解決するプラン、プラン導入によるメリットを提示します。

つまり、肯定側の立論はディベートの大きな方向を決める大切なものです。ですから、しっかりした立論をしないと、ディベート自体があいまいな、意味の無いものになりかねません。逆に、しっかりした立論が述べられるとディベート自体が大変緊張した良い内容になります。是非力をいれて、良い立論を作るようにしたいものですね。

定義と基本理念

まず、肯定側は、定義、基本理念を述べます。

定義:重要な言葉の定義をします。議論が進んでくると、言葉がありまいでは言葉尻をとられて、逆襲されるかもしれません。是非とも重要な語句は定義をしっかりとしておきましょう。

基本理念:肯定側はどのようなことを基本的に目標としているかを説明します。

基本理念を述べる必要性は次の通りです。

ディベートの試合では、問題点を整理し、この問題を解決するプランを述べるわけですが、このときに何を目的にしているかを明確にしなければなりません。これが、基本理念なのです。ビジネスでいう目的に当たるものです。しっかりした基本理念に基づかなければ、何故プランを導入するのかが不明確になってしまうのです。

問題点、プラン、メリット

次に、現状の問題点とその問題を解決するプラン、プラン導入によるメリットを説明します。

現状の問題点:現状ある問題点を説明します。特にこの問題が重大な問題であることと放置しておくと解決しない(内因性)ことを説明しなければなりません。

問題を解決するプラン:こうした内因性がある重要な問題を解決する方策を提案します。なるべく具体性をもった内容にします。誰が、いつから、どんなことをするかを説明します。

プラン導入によるメリット:このプランを実施することによって生まれてくるさらなるアドバンテージを説明します。

肯定側の立論の実際例 論題:「職場・公共の場所は全面禁煙すべき 」

定義

始めに、3つの言葉の定義をしたいと思います。

-職場とは、来客者や顧客を含む複数の人が働く場所のことをさし、事務や作業する場所や来客者・顧客と接する場所、敷地(建物とその敷地全体)、オフィスビル、車両、船舶、航空機その他の移動施設のことです。

-公共の場とは、不特定又は多数の者が出入りすることができる室内又はこれに準ずる環境(居室、事務室その他これらに類する室内又はこれに準ずる環境)及び公共的空間を有する施設(車両、船舶、航空機その他の移動施設を含む)のことです。

-受動喫煙とは、室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることです。

基本理念

次に基本理念を説明いたします。

それは、日本国民の健康を増進することです。 

問題点

では、現状の問題を説明いたします。

タバコの喫煙の健康被害はよく知られております。

日本では11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しているとされています。

出典:社団法人 日本呼吸器学会

現在、全世界で年間500万人、わが国でも11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しています。喫煙者は非喫煙者にくらべ、男性では4.5倍、女性では2.3倍、肺がんで死亡するリスクが高いのです。また男性の場合、喉頭がんで死亡するリスクが32.5倍という結果が出ています。ほかにも食道がん、膀胱がんなど、いろいろながんになりやすいのです。人は加齢とともに肺の働きが低下しますが、喫煙者ではそれがより急速です。喫煙者はいつもセキ払いをし、慢性気管支炎といわれる状態にあります。また慢性閉塞性肺疾患※にかかりやすく、その結果、息がきれ、酸素不足(慢性呼吸不全)になります。さらに、喫煙すると気管支喘息を悪化させ、肺炎や肺結核などにかかりやすくさせることが知られています。

さらに、非喫煙者が被る受動喫煙の健康被害も甚大です。

受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で少なくとも年間約6800人に上るとの推計も発表されております。

出典:朝日新聞 2010年9月29日

 他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」が原因で死亡する人は、国内で少なくとも年間約6800人に上るとの推計を、厚生労働省の研究班が28日発表した。2009年の交通事故による死者4914人を大きく上回る。
 受動喫煙との因果関係がはっきりしている肺がんと虚血性心疾患の死者だけを対象にしており、実際にはもっと多い可能性がある。受動喫煙でこれらの病気にかかる危険性が1.1~1.4倍に高まるとした研究や、受動喫煙にあう人の割合を調べた全国調査などから死者数を推計した。

 煙にさらされる場所を職場と家庭で分けると、職場が約3600人で多かった。推計をまとめた国立がん研究センターの片野田耕太研究員は「まずは自分で環境を選ぶことができない労働者を守る対策から強めるべきだ」と話す。

日本では「たばこ規制枠組条約」を批准しており、2005年発効後、批准国は「たばこの煙にさらされることからの保護 (第8条)屋内の職場、公共交通機関、屋内の公共の場所等におけるたばこ煙からの保護についての措置をとる(厚生労働省)」義務を負っております。

出典:脱タバコ社会の実現に向けて
平成20 年(2008 年)3 月4 日
日 本 学 術 会 議

WHO はタバコが健康におよぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、2003 年に「たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約(略称「たばこ規制枠組条約」)」を採択した。
日本は国会による全会一致での可決・承認を得て、2004 年に19 番目の国として本条約を批准して締約国となった。したがって、日本政府は、日本国憲法第98 条第2 項に定められているごとく、国際条約である本条約を遵守し履行することが求められている。

しかしながら、平成14年8月2日に制定された健康増進法では、「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずる」ことが謳わておりますが、罰則がなく、対策が進んでおりません。

また、厚生労働省では、さらに2010年2月25日に屋内禁煙の実施を求める通知を出しているが、これも罰則がないため遵守されていないのが実情です。

その為、受動喫煙の取り組みの現状は次に述べるように職場で禁煙を実施しているのは20%程度と不十分と言わざるを得ません。

出典:脱タバコ社会の実現に向けて
平成20 年(2008 年)3 月4 日
日 本 学 術 会 議

国内における職場(一般事業場)における受動喫煙の取り組みは、厚生労働省が5,000 事業場を対象として実施した2005 年の調査によると(有効回答率
45.6%)、喫煙対策に取り組んでいる事業場は88.2%で、このうち 全建物内禁煙を実施しているのは20.7%であった(50)。回答率の低さを考慮に入れると全建物内禁煙を実施している職場は未だ少ないといわざるをえない。一方、率先して受動喫煙対策に取り組むべきであるとされている学校、役所、病院については、2005 年の調査で敷地内全面禁煙を実施しているのは、小学校で44.4%、中学校で39.1%、高等学校で43.6%であった(51)。役所では、敷地内禁煙あるいは施設内全面禁煙は、都道府県庁舎で51%、市町村役場で28%であった(52)。

受動喫煙は禁煙を実施しない限り解決しない問題で、現状では日本国民の健康に甚大な被害が継続していくことになります。

プラン

それでは、こうした現状の問題を解決するプランを説明いたします。

受動喫煙の問題を解決するには、職場・公共の場所で全面禁煙するのがもっとも良い解決策です。

その為に、健康増進法第25条を改正し、2012年4月1日より、職場・公共の場を全て禁煙し、罰則を導入します。

健康増進法の改定案を示します。

【健康増進法】第5章第2節 受動喫煙の防止

 「第二十五条 事務や作業する場所や来客者・顧客と接する場所を含む職場、並びに学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、百貨店、官公庁施設、飲食店その他多数のものが利用する公共の場の室内又はこれに準ずる環境(居室、事務室その他これらに類する室内又はこれに準ずる環境)、並びに公共的空間を有する施設(車両、船舶、航空機その他の移動施設を含む)を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために禁煙を講ずるように努めなければならない。
1. 受動喫煙の防止を怠り、あるいはその報告等をせず、若しくは虚偽の報告等をし、若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者又は命令に違反した者は、1億円以下の過料に処する。
2. 喫煙禁止区域において喫煙をした者は、100万円以下の過料に処する。

次にタバコの直接的・間接的健康障害につき、なお一層の教育・啓発を行います。

現世代ならびに次世代の国民をタバコによる健康障害から守るために、無煙タバコも含めたタバコの害につき、なお一層の教育・啓発を行う。喫煙による直接的・間接的健康障害や喫煙関連疾患は禁煙により予防可能であること、喫煙はニコチン依存症として保険診療が可能であることなどについて、テレビなどのメディアを活用して国民に広く知らせる活動を行う。そして、文部科学省学習指導要領において、小学校低学年からタバコの害に関する教育を行うよう記載する。

最後に、タバコ事業法を廃止します。

メリット

このプランの導入により喫煙・受動喫煙による経済的損失を減少させるメリットが生じます。

この法改定により、喫煙の機会が減ると共に受動喫煙の被害が減少する事により、
喫煙・受動喫煙による病気・死亡者による経済的損失を減少させる事ができます。

出典:脱タバコ社会の実現に向けて
平成20 年(2008 年)3 月4 日
日 本 学 術 会 議

(財)医療経済研究機構の2001年度調査報告書「たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究」によれば、喫煙による経済的損失は、喫煙者の直接超過医療費が1 兆2,900億円、間接喫煙者のそれが146億円、喫煙による労働力の損失が5 兆8,000億円、火災による損失が2,200億円、合計7兆3,246億円と推計されている(43)。

以上、肯定側立論の実際例をご紹介いたしました。

試合の全ての実際例をご覧になりたい方は、「ディベート入門 イーブック試合編」をご購入ください。
禁煙以外の事例もございますので、ご参照ください。
ディベート入門 イーブック試合編

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