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認知症ドライバーへの対策強化改正道交法施行 賛成ですか反対ですか?

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最新事例研究:認知症ドライバーへの対策強化改正道交法施行:賛成ですか?反対ですか?

問題の背景

ご高齢ドライバーは今年(2017年)3月12日になって、びっくりされることがあります。

交通違反をした75歳以上のドライバーは認知機能検査を受けることになり、医師の診察後、認知症と判断されれば免許取り消し、或いは、停止となるのです。

皆様はこれに賛成ですか?反対ですか?

認知症ドライバーへの対策強化 改正道交法施行令を閣議決定
出典 日本経済新聞 2016/7/12
 政府は12日、認知症の高齢ドライバーへの対策を強化する改正道路交通法施行令を閣議決定した。逆走や信号無視など18項目の交通違反をした75歳以上のドライバーに、臨時の認知機能検査を課す。来年3月12日に施行される。
 施行令は臨時検査の対象となる18項目を、逆走や信号無視、遮断機が下りた踏切への進入、必要な徐行を怠った場合などと規定した。いずれも認知能力の低下と結びつきが強い行為とされ、違反時に検査することで重大な事故を未然に防ぐのが狙いだ。
 臨時検査で認知症の恐れがあると判定されたら医師の診察を受けなければならない。認知症ならば免許取り消しか停止となる。臨時検査や医師の診察を受けない場合も、免許取り消しになる可能性がある。
 認知症の恐れがなくても、検査結果が直近の免許更新時より悪い場合は、実車指導など2時間の臨時高齢者講習を受ける必要がある。一方、違反の3カ月前までに臨時検査を受けているときは検査は受けなくてもよい。

認知症ドライバーへの対策強化改正道交法施行に対して賛成側の意見

最近、高齢者ドライバーによる交通事故の報道が相次いでおります。

相次ぐ80代ドライバーの事故 「認知症のおそれ」でも免許更新可、家族の申し出でも取り上げられず
出典 Livedoor NEWS 2016年11月24日デイリー新潮
 ピーク時の年間約100万件から半分近くに減った交通事故。飲酒運転の厳罰化など、様々な取組の成果だが、それに逆行して急増したのは、高齢者が“加害者”となるそれだ。この秋も死亡事故が続出。今や「80代ドライバー」の愛車は、「走る凶器」と化している。
〈また高齢者事故 2人死亡〉(11月13日付読売)
(中略)
 これが大きく報じられたのは、遡る2週間、同じような「80代ドライバー」による重大事故が全国で相次いでいたからである。
 主なものだけ挙げても、
〇10月28日
 横浜市で87歳男性が運転していた軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、6歳の男児が死亡、7人が怪我。容疑者には認知症の疑いあり。
〇11月10日
 栃木県下野市の自治医大病院構内で84歳男性の乗用車がバス停に突っ込み、女性が死亡、2人が怪我。
〇11月11日
 板橋区で86歳男性の運転する乗用車がコンビニに突っ込み、2人が怪我。本人には認知症の疑いあり。
「こうして報道されるのは重大事故が相次いだから。高齢者の死亡事故そのものは普段から頻発しています」
 と続けるのは、先の社会部デスク。
 公益財団法人「交通事故総合分析センター」の統計によれば、最新の2014年に、80歳以上が自動車等で死亡事故を起こした件数は266件に上る。1993年は62件だったから、約20年で4・3倍の増加だ。
「単純に計算すれば、80超えのお年寄りはひと月で22件、つまり3日で2件以上の割合で死亡事故を起こしていることになるのです」(同)
 先の統計によれば、80歳以上のドライバーが死亡事故を起こす確率は64歳以下と比べると実に3・75倍。オーバー80の免許保有者は2015年末で約196万人(警察庁「運転免許統計」より)もいるから、この事故をいかに減らすか、ということこそが、喫緊の要請であることは疑いあるまい。

警察庁によれば、交通事故加害者は「65歳以上」のドライバーが死亡事故全体の28.6%を占めており、中でも顕著に増えているのは、「75歳以上」のドライバーによる事故だというのです。

死亡事故増加数は75歳以上で突出 高齢ドライバーが劇的に増えている
出典 J-CASTニュース 2016/11/25
警察庁が2016年11月15日に公表した「交通事故統計」によると、16年10月末までに発生した交通事故は、前年同期比7.8%減の40万5109件。このうち、死亡事故は5.7%減の3037件で、3134人(前年比4.9%減)が亡くなった。発生件数、死者数ともに減少しているが、亡くなった人の53.7%が65歳以上の高齢者が占めている。
一方、加害者(原付以上のドライバーで事故の過失の重い「第1当事者」)をみると、「65歳以上」のドライバーが起こした事故は783件で、死亡事故全体の28.6%を占めている。次に多いのが「40~49歳」の504件(構成比18.4%)。「50~59歳」の389件(14.2%)、「16~24歳」の334件(12.2%)と続く。
(中略)
さらに、高齢者層の中で「75歳以上」のドライバーによる事故をみると、16年10月末時点で377件、全体に占める比率も13.8%を占めている。10年前と比べて30件(8.6%)増え、前年同期と比べても13件(3.6%)も増えている。
「65歳以上」が高齢ドライバーだが、どの年齢層も前年同期と比べてほぼ件数を減らしているにもかかわらず、顕著に増えているのは、この「75歳以上」だけだ。

認知症のドライバーが運転すると具体的にどのような事故につながりやすいのでしょうか?

高齢者・認知症患者の運転の実態
出典 認知症ネット 2017年1月25日
認知症の中でももっとも割合の多いアルツハイマー型認知症の場合、記憶力や見当識に障害が出るため、自分がどのように今走っている道まで来たかがわからなくなり、道に迷って高速道路に入り込んでしまう、パニックになって逆走したり歩道に侵入したりしてしまうなどの事故が起こりうる。 また、空間の認知力も低下するため、幅寄せや駐車がうまくできず接触事故を起こしやすい。
アルツハイマー型認知症に次いで多い脳血管性認知症では、運転中にボーッとしてしまいブレーキやハンドルの操作が遅れるなどが考えられる。 レビー小体型認知症においては、物がゆがんで見えたり、小さく見えることもあり、対物などの事故につながる可能性も高いと言えるだろう。
前述した高速道路逆走事故でも、当事者であるドライバーの12%に認知症の疑いが見られた。 また、近年も、認知症が疑われる高齢ドライバーの運転する軽トラックが小学生の列に突っ込み、小学生が亡くなる事故が起きている。

一方、高齢ドライバーのうち、認知症や認知機能低下のおそれと判定された人は年齢とともに増加し、84歳を境に50%を超えているのです。

認知機能衰え、84歳境に半数超 運転免許更新時の検査
出典 日本経済新聞 2017/1/21
 2015年に運転免許を更新した75歳以上の高齢ドライバーは約163万人に上り、更新時に義務付けられている認知機能検査では加齢に伴って認知症や認知機能低下の恐れがあると判定される割合が高くなり、84歳を境に半数を超えることが21日、警察庁の分析で分かった。(中略)
 75歳以上の認知機能検査は免許更新の3年ごとに実施。15年の結果によると「認知機能低下の恐れなし」の第3分類が107万4千人で、全体の65.9%を占めた。これに対し「認知症の恐れ」の第1分類が5万4千人で3.3%となり、「認知機能低下の恐れ」の第2分類は50万2千人で30.8%に上った。
 第1分類と第2分類を合わせた割合を年齢別に見ると、75歳が29.8%、80歳が36.2%と徐々に上昇。84歳で50.1%と半数を超え、90歳で63.1%、97歳では87.5%に達した。100歳以上も12人が検査を受けたが、第1分類が3人、第2分類が9人で100%だった。
 警察庁は15年度に、高齢者講習の受講者1861人について、認知機能検査の結果と運転技術の相関関係も調査。赤信号を無視した割合を見ると、第1分類は21.3%、第2分類は12.3%、第3分類は10.5%だった。
 交差点での右左折や進路変更で合図をしなかったり、ハンドル操作が不適切だったりするケースも第1分類が最も多く、認知機能の衰えが重大事故を招く恐れがあることを改めて示した。

こうした高齢者ドライバー事故の原因は、認知症のリスクだけでなく、加齢に伴った運動能力やとっさの判断力が低下によるというのです。

相次ぐ80代ドライバーの事故 「認知症のおそれ」でも免許更新可、家族の申し出でも取り上げられず
出典 Livedoor NEWS 2016年11月24日デイリー新潮
 東京大学大学院医学系研究科の岩坪威教授(脳神経医学)は言う。
「加齢に伴って、運動能力やとっさの判断力が低下します。また、視覚認知能力も衰える。もちろん、認知症のリスクも高まります」
 つまり、車の運転にはどんどん不向きになる。そして日々、これら高齢者ドライバーと向き合っている“当事者”にとっては、危機意識はより切実だ。
「共通しているのは、“自分は大丈夫だ”と自信を持っているということです」
 と言うのは、都内のさる自動車教習所の教官である。
 70歳を超えれば、運転免許証の更新の際、教習所で「高齢者講習」を受けるのが義務になる。ビデオなどによる交通ルールの再確認、機械による動体視力や夜間視力の検査と並び、実車もそのひとつだけれど、 
「高齢者の事故が報じられていても皆さん“どうして逆走なんかしちゃうんだろうね”“アクセルとブレーキなんて踏み間違えないでしょ”と自分は別だと考えている。でもそういう中にも逆走や踏み間違えを行い、それにすら気が付いていない方がいます。こちらに指摘されて初めて気が付きますが、それでも“ここは初めてだから”“教習所内のコースは幅が狭いからね”などと自分のミスを認めたがらない人が多いですね」

以上で理解できることは、高齢者ドライバーによる事故は増加しており、その原因が加齢に伴った運動能力やとっさの判断力が低下だけでなく、認知症のリスクによるのです。

従って、事故を未然に防ぐためには、改正道交法施行し認知症と判断されたドライバーには免許取り消しか停止の処分するのも、本人のためでもあり、ひいては社会のためにもなるのです。

以上の理由で、改正道交法施行に賛成します。

認知症ドライバーへの対策強化改正道交法施行に対して反対側の意見

賛成側は、「高齢ドライバーのうち、認知症や認知機能低下のおそれと判定された人は年齢とともに増加し、84歳を境に50%を超えている」という統計を提示しております。

そこで、まず85歳以上のドライバーの交通事故数をいろいろな角度から検証してみましょう。

警視庁が公表している交通事故の発生状況データが最も信頼性が高いと思われますので、平成28年3月30日発表の平成27年における交通事故の発生状況を見てみましょう。

始めに、85歳以上のドライバーがどれほど交通事故を起こしているかを確認しましょう。

出典:平成27年における交通事故の発生状況(警察庁交通局)
(参考)原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別交通事故件数の推移
85歳以上 平成17年 1,871件  平成27年 4,241件

確かに、11年間で2.26倍に増加しておりますね。

一方、年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数という統計もありますので、こちらも見てみましょう。

出典:平成27年における交通事故の発生状況(警察庁交通局)
原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移
85歳以上 平成17年1,239.0件 平成27年811.3件

驚いたことに、35%ほど減少しているのです。

では、85歳以上のドライバーの10万人当たり交通事故件数減っているのに、85歳以上のドライバーの交通事故件数は増えているのでしょうか?

これは免許を保有する高齢者数が増加しているからなのです。

出典:運転免許統計(平成17年版及び平成27年版)
85歳以上運転免許保有者数   平成17年末 146,281件 平成27年末461,875件

実に、3.15倍に増加しているのです。

ここまでの検証でわかったことは、過去11年間において、85歳以上のドライバーの交通事故数自体が増加しているのは、85歳以上運転免許保有者数が3倍以上増加しているからなのです。

それでも、交通事故数自体は免許保有者10万人当たりでは、2.26倍しか増加しておりません。

従って、85歳以上のドライバーの交通事故数は、免許保有者10万人当たりでは、35%ほど減少する結果となったわけです。

次に、他の年齢層と比較をしたらどうなのでしょうか?

ここで比較するのは、10万人当たり交通事故件数ですね。交通事故件数の絶対数(件数が多い、少ない)は各年齢層の人口が異なるため、正しい判断材料にはなりません。

警視庁が公表している交通事故の発生状況データが最も信頼性が高いと思われますので、平成28年3月30日発表の平成27年における交通事故の発生状況を見てみましょう。

各年齢層別交通事故件数の推移がグラフで示されておりますので、平成17年と平成27年の両年で、10万人当たり交通事故件数が多い順にトップ4の年齢層を取り上げてみます。

出典:平成27年における交通事故の発生状況(警察庁交通局)
平成17年  平成27年
No1(16~19歳2,885.3件)  No1(16~19歳1,888.8件) 
No2(20~24歳1,878.8件) No2(20~24歳1,144.9件)
No3(25~29 歳1,306.6件)  No3(25~29 歳814.1件)
No4(85歳以上1,239.0件) No4(85歳以上811.3件)

どの年齢層でも交通事故件数は、平成17年から平成27年で大きく減少しています。

そして、興味深いことに、交通事故件数トップ3は、両年ともNo1(16~19歳)、No2(20~24歳)、No3(25~29 歳)なのです。

即ち、85歳以上のドライバーが起こした10万人当たり交通事故件数は、両年ともNo4なのです。

特にNo1(16~19歳)は、85歳以上のドライバーの事故数と比較して両年ともに2.3倍、No2(20~24歳)でも、1.4~1.5倍もあるのです。

もし、85歳以上のドライバーの事故数が(どのような理由であれ)問題であれば、それ以上にNo1(16~19歳)とNo2(20~24歳)を問題にすべきということなのです。

交通事故数を減らすという観点で言えば、最も大きな問題、或いは最も重要な問題を最初に対処すべきです。

即ち、もし85歳以上のドライバーの交通事故が増加して大きな社会問題となってきているので対策すべきというのであれば、(85歳以上のドライバーの事故対策するのは良いこととして)、同時に、いやそれ以上に16~24歳のドライバーの事故対策を実施すべきではないか、という議論ができるわけです。

また、改正道交法施行後、高齢者ドライバーは、医師の診察後認知症と判断されれば、免許取り消しか停止となります。

これに対して、日本神経学会など4団体が交通事故と認知症の結び付けに疑問を呈しているのです。認知症と危険な運転の因果関係は明らかでないというのです。

認知症高齢者「免許取り消し」 専門医が施行中止呼びかけ
出典 日刊ゲンダイ 2017年1月22日
 今年3月に改正道路交通法が施行されたら大パニック――。
 免許の更新時の検査で、認知症の疑いがあるとされた75歳以上の高齢者は医師の受診が義務付けられる。そこで「認知症」と診断されると、免許が取り消される。更新時の「認知症の検査」は現在もすでに行われていて、疑いがあるのは年間約5万人という。この人数が医療機関にドッと向かえば、病院は大混乱だが、問題はそれだけではない。
 今月6日、日本神経学会など4団体が「医学的な『認知症の診断』に基づくのではなく、実際の運転技能を実車テストなどにより運転の専門家が判断する必要がある」と提言。交通事故と認知症の結び付けに疑問を呈したのだ。
■医師にとっても苦渋の診断
 日本精神神経学会法委員会の委員で精神科医の中島直氏もこう言う。
「認知症かどうかと運転が可能かどうかは別問題。まったく的外れな対策です。重病ならどんな病気でも運転に支障をきたす。認知症と危険な運転の因果関係は明らかでない。高齢者の事故がニュースで強調されています。しかし、統計のとり方にもよりますが、交通事故の件数は若年者の方が多いのです。認知症と結びつけて高齢者だけをターゲットにするのは間違いです。免許を取り上げられた高齢者はそれこそ病院にも行けなくなります」(中略)
 改正法の施行は3月12日。目前に迫っている。(中略)
 専門医がこれだけ反対しているのだ。見切り発車は危ない。

では、実際の内容を日本神経学会など4団体からの提言から見てみましょう。

平成 29 年 1 月 6 日  提 言
日本神経学会
日本神経治療学会
日本認知症学会
日本老年医学会
(中略)
認知症の進行に伴い運転リスク、事故が増加することは自明であり、科学的エビデンスも蓄積
されています。一方で、ごく初期の認知症の人、認知症の前駆状態が高率に含まれている軽度認
知障害の人、一般高齢者の間で、運転行動の違いは必ずしも明らかでありません。特に初期の認
知症の人の運転免許証取り消しに当たっては、運転不適格者かどうかの判断は、医学的な「認知
症の診断」に基づくのではなく、実際の運転技能を実車テスト等により運転の専門家が判断する
必要があります。今後、軽度認知障害の人、初期の認知症の人の運転能力については、さらなる
研究を進めて行く必要があると思われます。

認知症と危険な運転の因果関係については、専門家の意見を踏まえて慎重に検討すべと思います。

以上の理由で、改正道交法施行に反対します。

今回は、認知症ドライバーへの対策強化改正道交法施行に関して、問題の背景、賛成側/反対側の意見を見てきました。

皆様は、認知症ドライバーへの対策強化改正道交法施行することに賛成ですか?反対ですか?

なお、行政に携わる地方自治体の方々と住民側として社会行政問題に関わる方々に対して、懸案問題に対して賛成と反対の両面から検討することで、問題の本質を掴み、内因性を理解することで、合理的で本質的な解決策を見出していくことを目指す、ディベート教室をご提案致します。

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