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カジノ法案が衆参両院で可決されました。

カジノ法案成立 与党・維新の賛成多数
出典 日本経済新聞 2016/12/15
カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の整備を推進する法案(カジノ法案)が2016年12月15日未明の衆院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。
法案は14日夜の参院本会議で修正のうえ可決され、衆院に戻されていた。これを受け22時から開かれた衆院本会議で、14日までだった会期を17日まで再延長することを議決し、15日未明に成立させた。法案に反対する野党4党が提出した内閣不信任決議案は、与党などの反対多数で否決された。

前回は、統合型リゾート導入でギャンブル依存症が増えるわけではないという見解を紹介しました。

今回は、統合型リゾート導入による経済効果は期待できないという見方を取り上げたいと思います。

始めに、カジノが日本経済活性化に貢献するかどうかは、海外からどれだけ顧客を獲得できるかにかかっている訳ですが、日本カジノの収益想定は7割が国内客となっており、日本の経済の活性化にはさほど貢献しないと考えられるのです。

「巨大カジノ」で日本経済は本当に良くなるのか?

出典 読売オンライン 静岡大学人文社会科学部教授 鳥畑与一 2016年11月07日
 カジノが経済活性化に貢献するかどうかは、その地域の外から、どれだけ顧客を獲得できるかにかかっていることになる。この「観光目的地効果」(デスティネーション効果)」を発揮するうえで、シンガポールやマカオは極めて恵まれた立地環境にある。中国など近隣諸国の顧客が日帰りも含めてアクセスしやすく、富裕層がカジノを通じてマネーを洗浄し、国外に持ち出すのに最適なオフショア金融市場を利用しやすい。
 国外から顧客が大挙して来訪すれば、巨額のマネーが地元経済に落ちる。マカオとシンガポールでカジノを経営するラスベガス・サンズは、過去5年間で約134億ドルの利益を株主にもたらし、約200億ドルの税(ゲーム税と所得税)を納めた。ただし、その収益の大半は中国富裕層の負け金である。中国の習近平政権の腐敗取り締まり強化でマカオのカジノ収益は急減するなど、ビジネス・モデルのもろさを露呈しているのであるが――。
 では、日本でのカジノ市場の展望はどうだろう? 海外金融機関の分析やカジノ企業トップの発言などから見えてくるのは、海外客より日本人客をターゲットにせざるを得ない事情である。国際観光の目玉として国際競争力のあるIR構想を強調するが、巨額投資と運営費を賄うためには海外客からの収益だけでは間に合わない。韓国のように、基本的にカジノを外国人専用とすることはできないのである。
 ゴールドマン・サックスの推計でも、海外からのアクセスに有利な東京・大阪でさえ、客の7割は国内客である。海外からのアクセスに不利な地方都市なら、余計に国内客に依存すると見込まれる。アジアのカジノ市場は今や飽和状態に突入しているので、状況はますます厳しさを増している。

さらに、経営コンサルタントの大前研一氏は、カジノはVIP(ハイローラー)が収益の85%か稼ぎだすビジネスであり、日本でどうやって稼ぎの中核となるVIPルームを設営していくのか疑問を投げかけております。

大前研一:「カジノは儲かる」は誤り、カジノバブル崩壊の現状をよく見よ(5/5ページ)
出典 日経BPnet 2014.10.22
いずれにしても中国の特殊事情に基づいた極端な状況(ハイローラー)のないカジノは儲からない。カジノは数100ドルくらいしか賭けない一般の人がいくら多く押しかけても収益は上がらない。テーブルあたり一晩に2500万円くらい稼ぐVIPルームが全体の85%くらいの収益を稼ぎ出すから、ハイローラーのいない(パチンコのような)カジノでは投資は回収できない。
つまり“射幸心”を煽らないように風営法で規制されれば、ハナからもうからないハコモノを作るだけの徒労に終る。マカオあたりのVIPルームはワンチップ1000ドルである。パチンコで1玉4000円、というのが許可されない(というより玉の値段をいろいろ変えることを認可しなかった)日本でどうやって稼ぎの中核となるVIPルームを設営していくのだろうか?

一方、日本が抱える大きな問題として「高齢化」があります。高齢化した日本人が本当にカジノで期待されるようなお金を使うかには疑問があるのです。

カジノのメリット、経済効果の賛否
出典 Casinolu 2015/02/20
海外のカジノ事業者は、カジノ収益を日本人に期待しているようですが、2020年以降の年齢分布を考えた場合、試算しているような金額が期待できるでしょうか?
多くの高齢者がわざわざ電車乗り継いでカジノに日々通うでしょうか。それであれば、近くのパチンコに足が向く気がします。
カジノができるころには若者がカジノで遊ぶだけの余剰なお金を持つことができているでしょうか。
カジノの経済効果で大きな金額が出されていますが、あくまでも試算なんです。高齢化社会を迎えている日本に本当にカジノは、経済活性化の有効な手だてなのかを考えてみる必要があるのではないでしょうか。

なお、日本のカジノは、収益の70%が日本人といっても、残りの30%は来日する外国人に頼るわけですが、VIPの多くを占める中国人富裕層がカジノからいなくなっているというのです。

カジノのメリット、経済効果の賛否
出典 Casinolu 2015/02/20
カジノの収益は、当然ですが人が賭けた金額です。多額の賭け金が得るために沢山の人に来てもらうか、1回数百~数千万円を賭ける高額ギャンブラー(VIP)を確保しなくてはなりません。そのVIPの多くが中国人富裕層です。
ただ、現在、中国政府が倹約政策を行っていることで中国人富裕層がカジノからいなくなってきています。そのためマカオのカジノ収益が激減しています。今後、中国人富裕層の動向次第でアジアのカジノ市場が下降していくかもしれません。

実際、カジノの成功例と言われていたマカオが、最近ではカジノ収入がピークの13年比で46・4%減とほぼ半減しているのです。

カジノ 経済破綻 転換進める中国・マカオ 米国
出典 しんぶん赤旗 2016年12月5日 
 中国の特別行政区マカオは、世界遺産とカジノで有名な観光都市です。カジノ産業の収入は2006年に米ラスベガスを超えて以来、世界第1位の座を維持しています。13年にはカジノ収入が過去最高の3607・5億マカオドル(約5兆1400億円)で、ラスベガスの7倍になりました。
 マカオでは国内総生産(GDP)の半分以上をカジノ関連産業が占め、政府の収入の8割がカジノ収入など、カジノに過度に依存した経済になっています。
 しかし、13年から中国政府が反腐敗キャンペーンを本格始動。マカオのカジノ産業は、中国の腐敗官僚のマネーロンダリング(資金洗浄)の場となっていたため、取り締まりが厳しくなりました。現地メディアによると、VIPルームの使用に身分証が必要になり、発覚を恐れた政府や国有企業の幹部はカジノに来なくなりました。
 同時に、中国経済の減速や、アジアの他のカジノ都市との中国人富裕層の奪い合いが激しくなり、14年からカジノ収入が激減。15年は2308・4億マカオドル(約3兆2900億円)と、前年比34・3%減、ピークの13年比46・4%減とほぼ半減しました。
 カジノに依存したマカオ経済も低迷。14年のGDP成長率はマイナス1・2%、15年はマイナス21・5%でした。

状況を悪化させる更なる要因として、海外カジノとVIPを奪い合う競合が考えられます。
即ち、VIPが確保できなければカジノ経営が成り立たなくなるというビジネスリスクがあるのです。

例えば、米国では周辺カジノとの競合に破れた結果、アトランティック・シティのカジノで2015年の収益は25億6000万ドルとピークの半分に、12あったカジノは7つまで減ってしまったのです。

カジノ 経済破綻 転換進める中国・マカオ 米国
出典 しんぶん赤旗 2016年12月5日 
 カジノ大国の米国では、カジノが経済効果をあげ地域に発展をもたらすとして始まったものの、逆に衰退している地域もあります。北東部ニュージャージー州のアトランティックシティー。米国最大都市ニューヨークから南に約200キロにある大西洋沿いの観光都市です。
 1976年に同州がカジノを合法化し、その2年後に最初のカジノが開業。2006年には12のカジノで年間52億ドルの収益を上げました。
 しかしその年をピークに衰退が始まります。ネバダ大学の調査研究機関=ゲーミング・リサーチセンターによると、15年の収益は25億6000万ドルとピークの半分に。12あったカジノは七つまで減りました。
 隣のペンシルベニア州、首都ワシントンに隣接するメリーランド州でもカジノが開業し、利用者が分散したのが原因といわれます。

実際、マレーシアやフィリピンなどアジアのカジノ市場はIR建設ラッシュであり、日本のカジノが予想通りの収益が上がられなくなる可能性があるのです。

「巨大カジノ」で日本経済は本当に良くなるのか?
出典 読売オンライン 静岡大学人文社会科学部教授 鳥畑与一 2016年11月07日
急激に市場縮小に見舞われているマカオでさえ新たなIRが誕生し、韓国では冬季オリンピックを見越して、インチョン空港周辺や済州島でIRが建設中である。なかでも、マレーシアの複合企業ゲンティン・グループによる「リゾート・ワールド・チェジュ」は、シンガポールの「リゾート・ワールド・セントーサ」と同様に、テーマパークや巨大ショッピングモール、展示・会議施設等を備えた大型IRである。
 フィリピンも含めて、アジアのカジノ市場はIR建設ラッシュである。最後発でスタートすることになる日本のIRに、アジアの富裕ギャンブラーは殺到するだろうか? 海外のカジノ企業は、大事な収益源であるVIP客を日本に回すようなことをするだろうか?

以上、今回は統合型リゾート導入による経済効果は期待できないという見方を検証しました。

 

カジノ法案について賛成と反対から深く論じたひとりディベートは次から御覧ください。

日本でカジノを解禁すべきか

 

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