始めに、ウェブなどで導入部分を既にお読みの方は、具体的実践方法から読み進んでいただければ、幸いです。

さて、一般的には、ディベートと聞くと、2チームで賛成と反対に分かれて討論することと、思い浮かべる方が多いと思います。また、ディベートという言葉に悪い印象を持たれていたり、勝ち負けがあるのを嫌がる方もいることでしょう。

しかしながら、よく考えてみると、別段賛成・反対の議論は、2チームで討論しなくても出来るわけで、究極の話、自分自身お一人だけでも出来るはずです。

そこで、私は、様々な問題について自分自身で賛成・反対の両面から議論することを、「ひとりディベート」と名づけました。

一般的に、誰でも自分の支持する立場が好きです。その為、自然と、誰もが自分の支持する立場に重きを置いて、問題解決を図ろうとします。

しかしながら、ここにはよく陥る罠があります。

それは、あまりにも自分の立場を擁護するため、ある意味「偏見」が強くなってしまい、バランスの欠けた議論に陥り、説得性に欠ける可能性がとても高くなってしまうのです

また、一方的な考え方で構成された論理は、論理の飛躍が多く、容易に否定される危険性があるのです。

一方、自分自身で問題の両面を同時に検討すれば、こうした危険性を自ら排除することができるのです。

つまり、自分の支持する議論に対して、自ら疑問を呈し、時にはその論理を修正することで、より説得性のある論理が構成できるようになるのです。

これが、「ひとりディベート」をお勧めする理由なのです。

では、どのようにしたら、「ひとりディベート」が出来るのでしょうか?

具体的実践方法をステップごとに解説してみましょう。

1 始めに、調べるテーマを決めます。
テーマは何でも良いのですが、取り敢えず最近社会経済などで話題となっているものから、ご自身の関心のあるテーマを選ぶのが良いと思います。

今話題になっているテーマであれば、関連する記事や書籍などが比較的簡単に入手することができるからです。

2 次に、テーマを決めたら、情報を調べます。
勿論、書籍や新聞などは重要な情報のソースです。

しかしながら、最近はインターネットが発達してきたおかげで、簡単に多くの資料を収集することができるようになりました。

そこで、今回は練習としてインターネットで情報収集をしてみたいと思います。

まず、ご自身で選んだテーマについて、インターネットで検索して、様々な意見をみて、参考になると思ったら、メモするかコピーをします。

この時点では、まだ自分の態度を決めずに、公平な観点で賛成でも反対でも様々なデータを集めてください。

3 調査をしたら、まずは定義と現状を簡単にまとめます。
定義は、これから論ずるテーマや議論の中で使われる重要な概念を分かりやすく説明をします。

次に、現状を簡単に記述します。

これは、世の中やテーマを取り巻く状況が、現在どのようになっているか、その背景を説明することで、初めて接するテーマでも理解しやすくするためです。

この定義と現状を分かりやすく説明することで、次からの賛成・反対の議論が理解しやすくなるのです。

4 次に、集まったエビデンスを、賛成と反対とに分類をします。
そして、それぞれの立場がどのような論理で構成されているかを考えます。

賛成と反対の両方の立場で論理をまとめる理由は、公平な立場でこの問題を論ずることで理解を深めることができるからです。

5 エビデンスから賛成・反対それぞれ論理を組み立てる
ここからは、調査結果から論理を組み立てていくことになります。

エビデンスについては、理論編で説明をしましたが、ここでは具体的な使い方について説明をしましょう。

ディベートでよく使われるエビデンスには、大学教授を始めとする専門家の意見、国や調査会社等の調査結果、新聞の記事などがあります。中でも、専門家の意見が重要となります。

世の中の複雑な問題を理解するのに専門家の意見が重要である理由は、専門家はその問題について、過去から研究をして豊富な知見を有していているからです。

自分の主張をするときの論点や理由は、こうした専門家の意見を引用することで、自身の推論(ある事実をもとにして、他の事をおしはかることで)を強力に支持することができるようになるのです。

勿論専門家といっても、様々ですので、その信憑性が異なります。

その為、エビデンスとして使うには、有名で専門性がより高い人物を選ぶ必要があります。

論争があるということは、当然賛成・反対の意見があるということです。その場合、多くは専門家同士が意見を戦わせているのです。

ですから、有名な専門家同士が、異なる見解を持つことは、決して不自然ではありません。

そのため、主張を上手くサポートする良いエビデンスを選ぶことが重要なのです。

最後に、賛成と反対の主張を論ずるにあたり、いくつかのヒントを次に述べますので、参考にしてください。

a. 主張をまとめる場合、始めに主張(結論)を述べることを忘れないでください。ここでは、「XXXに賛成」あるいは「XXXに反対」ですね。

b. 理由がいくつあるかを先に述べて、次から一つ一つ説明をしてください。

c. 賛成・反対の公平さを担保するために、夫々の立場の理由の数は同じにするほうが良いと思います。これは、賛成に3つの理由があるなら、反対も理由は3つにするということです。

その為、理由が多く見つかった場合には、強い順(どの程度良いエビデンスが揃っているか)に選ぶようにします。

理由にはエビデンスを引用してください。その時、引用したエビデンスの出典を簡潔に書き示すことを忘れないで下さい。

d. 最後に結論を簡単に記述します。

以上です。

是非とも、ご自身でトライしてみてください。

きっと、ご自身でも驚くような成果が得られると思います。

なお、このブログは、弊社メルマガに登録していただければ、ご覧いただけます。
メルマガ申込みフォーム(無料)

ディベート教育株式会社では、次のような企業研修を行っております。ご参考まで。
————【ディベート企業研修例】————
ディベート研修: 総合的ビジネス力習得
ディベート研修 管理職向け
ディベート研修: 切れる英語力習得

企業研修の総合案内