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過去2回に渡たり、「ディベートによる提案」の構成について説明をしました。

簡単に内容を振り返って見ましょう。

ディベートでは、提案手法が幾つかありますが、その中から最も基本的な提案である、問題解決型を説明していきたいと思います。

問題解決型の提案は次のような要素から構成されています。

1. 目標設定 【ゴール】
2. 現状変革の必要性 【ニーズ】
3. 解決策の提示 【プラン】
4. 解決策による利益 【メリット】

提案をする側は、「問題は深刻で、原因には内因性があり、対策をとらないと問題は解決しない」ことを証明する必要があります。

次に、その問題の解決策を提示して、深刻な問題が解決することを示すと同時に追加のメリットを説明します。

全体の流れを理解するために、論題「職場・公共の場所は全面禁煙すべき」において、賛成側立論の具体例を見てみましょう。

=== 目標設定【ゴール】======
ゴールは、日本国民の健康を増進することです。 

=== 現状変革の必要性【ニーズ】=======
a) 問題の重要性
タバコの喫煙の健康被害はよく知られております。

日本では11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しているとされています。

出典:社団法人 日本呼吸器学会
現在、全世界で年間500万人、わが国でも11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しています。喫煙者は非喫煙者にくらべ、男性では4.5倍、女性では2.3倍、肺がんで死亡するリスクが高いのです。また男性の場合、喉頭がんで死亡するリスクが32.5倍という結果が出ています。

さらに、非喫煙者が被る受動喫煙の健康被害も甚大です。

受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で少なくとも年間約1万5千人に上るとの推計も発表されております。

受動喫煙で1万5千人死亡 厚労省の推計が急増 半数以上が脳卒中
出典 日本経済新聞 2016/06/02

 受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で年間約1万5千人に上るとの推計を厚生労働省の研究班が2日までにまとめた。2010年の推計では約6800人で、その後に脳卒中との因果関係が明らかになったことから、脳卒中による死亡の約8千人が上積みされ、2倍以上になった。

 研究班は、自分がたばこを吸わないのに他人が吸うたばこの煙にさらされる受動喫煙の割合や、受動喫煙と因果関係があるとされる肺がん、心筋梗塞を中心とする虚血性心疾患、脳卒中などによる死亡統計を基に、年間の死亡数を推計した。その結果、肺がんで2480人、虚血性心疾患で4460人、脳卒中で8010人、乳幼児突然死症候群(SIDS)で70人が死亡するとの結果になった。

 職場では男性3680人、女性は4110人、家庭では男性840人、女性6320人が死亡すると推計した。〔共同〕

b) 原因の分析
しかしながら、平成14年8月2日に制定された健康増進法では、「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずる」ことが謳われておりますが、罰則がなく、対策が進んでおりません。

また、厚生労働省では、さらに2010年2月25日に屋内禁煙の実施を求める通知を出しているが、これも罰則がないため遵守されていないのが実情です。

その為、受動喫煙の取り組みの現状は次に述べるように職場で禁煙を実施しているのは20%程度と不十分と言わざるを得ません。

出典:日本学術会議 脱タバコ社会の実現に向けて 2008 年3 月4 日
国内における職場(一般事業場)における受動喫煙の取り組みは、厚生労働省が5,000 事業場を対象として実施した2005 年の調査によると(有効回答率45.6%)、喫煙対策に取り組んでいる事業場は88.2%で、このうち 全建物内禁煙を実施しているのは20.7%であった。

c) 内因性の証明
受動喫煙は禁煙を実施しない限り解決しない問題で、現状では日本国民の健康に甚大な被害が継続していくことになります。

受動喫煙防止のための政策勧告 世界保健機関 2007年
出典 nosmoke55
WHOは、これらの経験に基づき労働者と一般市民を受動喫煙から守るために以下の勧告を行う。
1 完全禁煙を実施し、汚染物質であるタバコ煙を完全に除去すること。屋内のタバコ煙濃度を安全なレベルまで下げ、受動喫煙被害を受けないようにする上で、これ以外の方策はない。換気系統が別であろうとなかろうと、換気と喫煙区域設置によって受動喫煙をなくすることはできないし、行うべきでない。

=== 解決策の提示【プラン】=======
受動喫煙の問題を解決するには、職場・公共の場所で全面禁煙するのがもっとも良い解決策です。その為に次の2項目を実施します。

1. 職場・公共の場での受動喫煙防止のために、場健康増進法第25条を改正し、2017年4月1日より、職場・公共の場を全て禁煙し、罰則を導入します。

2. 家庭での受動喫煙防止のために、タバコの直接的・間接的健康障害の教育・啓発を行います。

=== 解決策による利益【メリット】=======
このプランを実施することで次のメリットが生じます。

1. 受動喫煙の健康被害や経済的損失を減少させる事ができます。
職場では男性3680人、女性は4110人、家庭では男性840人、女性6320人が死亡すると推計されていますが、これを防止することが出来るわけです。

2. 追加的メリットとして、喫煙者の病気・死亡者による経済的損失を減少させる事ができます。

これは、喫煙者がたばこを吸う機会が減ることと、喫煙に寄る健康被害の敎育により喫煙の問題をより理解できるようになるためです。

なお、喫煙者の3割が「たばこをやめたい」と考えておりますので、こうした人達が喫煙をやめるキッカケともなります。

出典:産経ニュース 2015.12.10
厚生労働省が実施した平成26年国民健康・栄養調査で、喫煙率は19.6%で前年から0.3ポイントの微増だったことが分かった。喫煙者のうち「たばこをやめたい」と考える人が3割に上っていることも判明。

======= 提案の終了 =======

「ディベートによる提案」とは、肯定・否定の両方の立場から議論を組み立て、提案書を作成し提案(プレゼン)することです。

これは、一方的な立場で構成された考えは、独善的で論理が飛躍しがちで、反感を買いやすく、否定されやすいという問題があるので、ディベートで課題の両面を検討することで、聞き手の立場を考慮した提案が行えると考えております。

また、自分の支持する議論に対して、自ら疑問を呈し、その弱点を修正することで、より説得力のある提案を行えるというメリットも有ります。

こうした観点から、論題「職場・公共の場所は全面禁煙すべき」」において、まずは賛成の議論を組み立てました。

次回は、こうした提案にいかに反論をするかの観点で議論をしたいと思います。

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