従業員満足度が高いと企業業績は大いに向上することは知られております。
しかしながら、働き方改革を推進している企業は2017年には73%と急増しているが、従業員の満足が得られている企業は28%にとどまっているのが実態です(働き方改革の実態調査2017~デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)。
28%という低い従業員満足度は速やかに改善すべき状況です。
なぜなら、従業員満足度が低いと、不満を感じ、仕事にコミットしなくなる。貢献度が低くなり、仕事ぶりが悪化するのです。
では、人はどのような理由で仕事に満足するのでしょうか?
もっとも知られた理論がマズローによる「欲求の階層」です。
基本的な生理的欲求と安全の欲求が満たされると、愛情と所属を求めるようになり、次に自尊心と他者からの敬意を、そして最終的には自己実現を希求するという。
このマズローの「欲求の階層」は半世紀以上も前に唱えられたものであり、基本的な生理的および安全の欲求に対応できていなかった製造業を中心とした当時の状況では、確かに有効な理論ではありました。
しかしながら、今日では知識産業とサービス産業の企業が多くとともに製造業でも職場が改善されて、基本的な生理的および安全の欲求は深刻な問題ではなくなっているのです。
こうした状況下で、フェイスブックでは、人事幹部と組織心理学者が同従業員に対して年2回アンケート調査を実施し、十万件に及ぶ回答を繰り返し検証し、人が働くうえで重視している3つの動機を特定したというのです。
このフェイスブックの調査によれば、人は年齢も国も職種にもかかわらず、基本的に同じことを求めているというのです。
それは、何を、誰と、何のためにやるべきかということなのです。
フェイスブックの調査でわかった、人が働くうえで重視する3つの動機
出典 ハーバードビジネスレビュー 2018年03月20日
マズローは、こう述べている。「人の真の欲求を知ることができれば、心理学上の大いなる達成である」我々のデータによれば、人々は自分が仕事で何を求めているかをとてもよくわかっており、基本的に同じことを求めている。理想的な仕事とは何かを問えば、ほとんどの人は、キャリア、コミュニティ、社会的意義を望むのである。20歳も60歳も、技術畑も営業畑も、ルレオ、ブラジル、シンガポール、デトロイトで働く人も、これらを重要な動機としている。
何を、誰と、何のためにやるべきか――人はみな、その答えを見つけたいのだ。
さて、この調査内容をもう少し詳しく見てみましょう。
筆者らによると、3つの動機とは、キャリア、コミュニティ、社会的意義であり、これらは年齢や能力、職能に関係なく普遍的な欲求であるという。
重量なことは、この3つの動機が満たされると、従業員は全力で仕事に打ち込む。だが満たされないと、不満を感じ、コミットしなくなる。貢献度が低くなり、仕事ぶりが悪化するのです。
フェイスブックの調査でわかった、人が働くうえで重視する3つの動機
出典 ハーバードビジネスレビュー 2018年03月20日
キャリア面の動機とは、仕事に関するものだ。仕事で自由裁量があり、自分の強みを活かせて、自分の学びと成長が促されることである。これらは内発的動機の核となる。コミュニティに関する動機とは、人である。他者から尊重され、思いやりを示され、認められている、と感じることだ。それによって一体感と所属意識が高まる。
社会的意義とは、志である。自分が仕事で意義あるインパクトをもたらしていると感じ、組織のミッションに共鳴し、世界に何らかのよいことをもたらしていると信じられることだ。それは、自尊心の源である。
これら3つの動機は、「心理的契約」と呼ばれるものを構成する。つまり、従業員と雇用主が互いに求める、明文化されていない期待と義務だ。この契約が果たされると、従業員は全力で仕事に打ち込む。だが契約が破られると、不満を感じ、コミットしなくなる。貢献度が低くなり、仕事ぶりが悪化する。
かつて企業は、心理的契約のただ1つの側面を中心に、全社的な文化を構築していた。素晴らしいキャリアか、緊密なコミュニティか、立派な社会的意義のいずれかを約束すれば、人材の採用、動機付け、維持ができたのだ。
だが我々は、もっと多くを望む従業員がたくさんいることを知った。最新のアンケート調査によれば、フェイスブック従業員の4分の1以上が、3つの動機すべてが重要であると評価している。キャリアもコミュニティも、社会的意義も欲しいのだ。また、従業員の90%が、3つのうち少なくとも2つを同等に重要視していた。
この調査が示すことは働き方改革推進において大変意義があると思います。
はじめに、企業はビジョンにおいて社会的意義を明確にしなければならないということです。従業員は、組織のミッションに共鳴し、世界に何らかのよいことをもたらしていると信じられることで自尊心を得られるのです。
2つめは、企業は従業員に対して良いコミュニティを提供しなければなりません。
人は、他者から尊重され、思いやりを示され、認められている、と感じることによって一体感と所属意識が高まることになります。
3つめは、企業は、従業員に仕事で自由裁量があり、自分の強みを活かせて、自分の学びと成長が促される場と仕組みを提供しなければなりません。
特に忘れてはならないのが、この自由裁量です。
当然ながら、工場でものを生産する場合は別ではありますが、人は自由裁量で仕事を進められることが必要なのです。
自由裁量とは、働く場所かもしれませんし、働く時間かもしれません。また、上司から事細かに仕事の順番や中身を指示されるとではなく、自分の強みを活かしながら従来のやり方を踏襲するだけでなく新しい発想で仕事を進めることができることかもしれません。
人は、自由裁量をもって仕事をすることで仕事に対する満足度があがるのです。
最後に、自分の学びと成長が促されることが大切です。
自己啓発も大切ですが、企業は従業員の自己啓発だけに頼りすぎずに、必要な能力開発の機会を提供することも従業員満足度の向上には重要だと思います。
今回は、フェイスブックを取り上げました。
働き方改革の事例をもっと見るには次のリンクから。
働き方改革を進めるには人財への投資が必須です。企業研修は次のリンクから。
人材に投資をすることで企業の売り上げは増加するのです。
厚生労働省による平成17年度「能力開発基本調査」によると、過去数年の間に人材育成費を増やした企業のうち、売上高が増加している企業の割合は51.2%と半数以上を占めている一方、人材育成費を減らした場合、売上高が増加している企業の割合は24.1%にと留まっていることから、人財投資をすることは企業業績を向上させることがわかります。
では、従業員の能力向上のためにどのような企業教育をすべきでしょうか?
私が提案をしたいのが、ディベート研修です。
ディベートを学ぶことで、働き方改革を実現するために不可欠な6つの基本能力を獲得することができます。
1.論理的思考力
ディベートの基本は、「ロジック3点セット」。
全ての主張は、証拠と理由に基づかねば説得力を持ちえないという原則です。
「ロジック3点セット」がディベートの基礎であり、これをマスターすることで、あなたの議論はグローバルに通用するものとなります。
2.分析力
全ての議論を「ロジック3点セット」に照らし合わせて分析することで、その議論の強みと弱みをあぶりだすことができます。
また、「立論構成の最適化」の考え方に照らし合わせて議論構成をチェックすることで、その議論を的確に改善・強化できます。
3.洞察力
相手のロジックを推察する洞察力が身につくことで、相手のロジックを乗り越え、さらに高みのある議論に発展させることができます。
4.質問力
質問によりロジックを掘り下げ、議論をさらに深堀する技術。これをマスターすることで、実務現場で議論を推進し、より深みのある解決策を発見することができます。
5.問題解決力
ディベートの最終目的は問題解決。問題解決策をソリューションプランとして企画・立案できる能力を獲得できます。
原因分析に基づく解決策の提案で重要なコンセプトが「立案構成の最適化」。
これを学ぶことで、相手のニーズに合わせて、最も効果的なプランを提案できるスキルが身につきます。
6.コミュニケーション能力
ディベートでは実際に試合、あるいはプレゼンテーション、質疑応答といった演習を通じて総合的なコミュニケーション能力をブラッシュアップできます。思いがけない反論や、時間のプレッシャーの中で、いかに効果的に議論を進めてゆくべきかについて、身を以て学ぶことができます。
さて、働き方改革は、日本の産業を強くして競争力を取り戻すための絶好のチャンスです。そのための課題は、従業員一人一人が時間当たり労働生産性を向上させること、そして収益性の高いビジネスを開拓することです。本当の働き方改革実現の為には、社員が従来の慣習にとらわれず、効率的により良い成果を出せるようなスキル研修を積極的に実施すべきです。
詳細は次のリンクを御覧ください。