日本の労働市場は外国に比べると規制が厳しく、余剰な人材の解雇が難しいため、従業員のロイアリティを向上させるという考え方は、日本の終身雇用をベースにした長期的な企業と従業員の関係においては有効だった。
しかしながら、最近は学生が新卒入社しても3年で3分の1が辞めてしまうことでわかる通り、企業が従業員にロイアリティを持たせたいと考えても、彼らはそのことに価値を感じなくなっているのです。
また、海外展開でグローバル化する企業では現地従業員の離職率の高さに対応を迫られております。
こうしたグローバル化する日本企業には、ロイアリティに代わるものとしてエンゲージメントが必要なのです。
「エンゲージメント」とは、従業員と企業の関係を示しており「相互に貢献し成果を出す幸せな関係」という意味が近い。
従業員満足の視点では、従業員は会社から給料や福利厚生などを「求め」、企業は従業員に労働を「求め」ます。しかしエンゲージメントでは、従業員は会社に価値を「提供」します。企業は、従業員の提供した価値を評価し報酬などを「提供」を約束するのです。
企業と従業員の新しい関係「エンゲージメント」について
出典 HRPro 2012/06/01
ケラー 従業員満足度とエンゲージメントの違いは「求める」と「提供する」の違いです。従業員満足の視点では、従業員は会社から「給料を求め」、福利厚生などの「便益を求め」企業は従業員に「労働を求めます」。しかしエンゲージメントでは、従業員は会社に自らの能力によって「価値を提供」します。企業は、従業員の提供した価値を評価し、それを最大化できるような「環境や報酬や機会の提供」を約束します。エンゲージメントは組織と従業員とが相互に「貢献する」ことを約束することなのです。
では、日本人の「エンゲージメント」にコミットするレベルは世界ではどのような位置にあるのでしょうか?
なんと、ギャラップ社調査によれば、日本で「エンゲージしている」と答えた人の割合は先進国中最も低い7%だというのです。
日本人は世界一、自分の会社を嫌っている
出典 東洋経済オンライン 2016年02月09日
最近、欧米では「従業員満足度」のかわりに、この「エンプロイーエンゲージメント」を重要な経営指標として掲げる企業が増えている。この指標のグローバル規模の調査も数多くあり、その中の一つが、世界的な調査会社、ギャラップ社の行ったものだ。2011-2012年にかけて142か国、20万人以上を対象に行った調査(表1)で、日本で「engageしている」と答えた人の割合は先進国中、最も低い7%。これは米国(30%)と比べても格段に低かった。
この調査で回答には3つの選択肢があり、日本人はEngagedが7%、 Not engaged が69%、Actively disengagedが24%でした。
また、人材コンサル会社Aon Hewittが行った調査においても、日本の「強くエンゲージしている」と答えた人の割合は9%と、世界の中で最低であったのです。
日本人は世界一、自分の会社を嫌っている
出典 東洋経済オンライン 2016年02月09日
また、別の人材コンサル会社Aon Hewittが行った調査では、アジア・パシフィック地域の中で、日本の「強くエンゲージしている」と答えた人の割合は9%と、世界の中で最低であっただけではなく、actively disengaged、つまり「会社に反感をもっている」「コミットしていない」と答えた人が33%と他国よりはるかに多かった。実に、日本のサラリーマンの3分の1が「反乱分子」という異常事態。9%が必死に船をこぐ中で、33%が転覆させようとしているようなものだ。
言うまでもなく、社員の33%が「会社に反感をもっている」企業で業績を持続的に向上させることは困難ですね。
最近、厚切りジェイソンさんが、「日本の雇用環境はできない人を守るためか。出来ない人から見ると、天国。助かる。出来る人から見ると、地獄。栄えない」とツイートして話題になったが、その「天国側」の人間も「満足している」とか、「会社をありがたいと思っている」かといえば、そうでもない。働く側も、働かない側もハッピーにはなれない矛盾が存在している(同出典)。
企業において、従業員のエンゲージメントを改善せずに、一時的なブームのように働き方改革を推進しても効果がどれほどあるのか、疑問に感じざるをえません。
今こそ、日本企業には、ロイアリティに代わるものとしてエンゲージメントが必要だという提言は、傾聴に値すると考える次第です。
今回は、「エンプロイー・エンゲージメント」について考察しました。
次回は、従業員の8割がアルバイトにも関わらず自発的に顧客に感動体験を提供する企業を紹介したいと思います。
働き方改革の事例をもっと見るには次のリンクから。
働き方改革を進めるには人財への投資が必須です。企業研修は次のリンクから。
人材に投資をすることで企業の売り上げは増加するのです。
厚生労働省による平成17年度「能力開発基本調査」によると、過去数年の間に人材育成費を増やした企業のうち、売上高が増加している企業の割合は51.2%と半数以上を占めている一方、人材育成費を減らした場合、売上高が増加している企業の割合は24.1%にと留まっていることから、人財投資をすることは企業業績を向上させることがわかります。
では、従業員の能力向上のためにどのような企業教育をすべきでしょうか?
私が提案をしたいのが、ディベート研修です。
ディベートを学ぶことで、働き方改革を実現するために不可欠な6つの基本能力を獲得することができます。
1.論理的思考力
ディベートの基本は、「ロジック3点セット」。
全ての主張は、証拠と理由に基づかねば説得力を持ちえないという原則です。
「ロジック3点セット」がディベートの基礎であり、これをマスターすることで、あなたの議論はグローバルに通用するものとなります。
2.分析力
全ての議論を「ロジック3点セット」に照らし合わせて分析することで、その議論の強みと弱みをあぶりだすことができます。
また、「立論構成の最適化」の考え方に照らし合わせて議論構成をチェックすることで、その議論を的確に改善・強化できます。
3.洞察力
相手のロジックを推察する洞察力が身につくことで、相手のロジックを乗り越え、さらに高みのある議論に発展させることができます。
4.質問力
質問によりロジックを掘り下げ、議論をさらに深堀する技術。これをマスターすることで、実務現場で議論を推進し、より深みのある解決策を発見することができます。
5.問題解決力
ディベートの最終目的は問題解決。問題解決策をソリューションプランとして企画・立案できる能力を獲得できます。
原因分析に基づく解決策の提案で重要なコンセプトが「立案構成の最適化」。
これを学ぶことで、相手のニーズに合わせて、最も効果的なプランを提案できるスキルが身につきます。
6.コミュニケーション能力
ディベートでは実際に試合、あるいはプレゼンテーション、質疑応答といった演習を通じて総合的なコミュニケーション能力をブラッシュアップできます。思いがけない反論や、時間のプレッシャーの中で、いかに効果的に議論を進めてゆくべきかについて、身を以て学ぶことができます。
さて、働き方改革は、日本の産業を強くして競争力を取り戻すための絶好のチャンスです。そのための課題は、従業員一人一人が時間当たり労働生産性を向上させること、そして収益性の高いビジネスを開拓することです。本当の働き方改革実現の為には、社員が従来の慣習にとらわれず、効率的により良い成果を出せるようなスキル研修を積極的に実施すべきです。
詳細は次のリンクを御覧ください。