日本の労働市場は外国に比べると規制が厳しく、余剰な人材の解雇が難しいため、従業員のロイアリティを向上させるという考え方は、日本の終身雇用をベースにした長期的な企業と従業員の関係においては有効だった。

しかしながら、最近は学生が新卒入社しても3年で3分の1が辞めてしまうことでわかる通り、企業が従業員にロイアリティを持たせたいと考えても、彼らはそのことに価値を感じなくなっているのです。

しかしながら、企業は従業員の変化に対応ができず、日本のサラリーマンの3分の1が「反乱分子」という異常事態。9%が必死に船をこぐ中で、33%が転覆させようとしているような状況に陥ってしまっています(東洋経済オンライン 2016年02月09日)。

こうした状況で、従業員が自発的に顧客に感動体験を提供する企業が、スターバックス コーヒー ジャパンです。

「スターバックスコーヒー」と聞いて思い浮かぶのは、メッセージが書かれたドリンクカップなど、顧客一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービスです。こうしたサービスは、実はマニュアルには書かれていないのです。

「パートナーがさまざまな形で一人ひとりのお客様のニーズに応えようとした結果」と久保田 美紀さん(スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 人事本部 人事部 部長)は説明しております。

顧客を感動させるサービスは従業員の「内発的動機」から生まれる
マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか
出典 日本の人事部 2017/09/07
スターバックスには、サービスに関するマニュアルがほとんどありません。ドリンクカップへのメッセージもマニュアルにはなく、パートナー(従業員)が自発的に行っているものです。最近はメッセージとともにかわいい動物のイラストが描かれていたりして、若い人の個性がどんどん発揮されているな、と感じています。

メッセージに限らず、パートナーはさまざまな形で一人ひとりのお客様のニーズに応えようとしています。注文を迷っている方にはおすすめのドリンクの紹介や、「このドリンクにヘーゼルナッツシロップを入れるとおいしいですよ」といった、カスタマイズの提案もしています。そうすることで、そのお客さまだけのオリジナルドリンクが出来上がるのです。

待ち時間を長く感じさせないような工夫も行われています。レジカウンターにお客さまが並んでいる時にはメニュー表をお渡ししたり、ドリンクを提供するカウンターでお客さまに話しかけたり。もちろんこれもマニュアルにはなく、パートナー一人ひとりが考え、意見を出し合った結果です。

では、どうしてパートナー(従業員)はお客様に自発的にこうしたサービスを提供するのでしょうか?

日本国内のスターバックスに働く3万3千人を超えるパートナーの8割以上はアルバイト。こうした自発的な対応は「マニュアル」ではなく、パートナーの「エンゲージメント」にあるというのです。

顧客を感動させるサービスは従業員の「内発的動機」から生まれる
マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか
出典 日本の人事部 2017/09/07
日本国内のスターバックスでは3万3千人を超えるパートナーが働いていますが、その8割以上はアルバイト。アルバイトは若い世代が多く、働く動機もさまざまです。新しい世代の価値観や個性は変わり続けていくのが常だと思いますが、そうした中で企業として一体感を醸成していくには、核となるものが必要です。私たちはその核が「マニュアル」ではなく、パートナーの「エンゲージメント」であると考えています。
(中略)
注目すべきは「強い欲求(Strong Desire)」という言葉を用いている点。スターバックスのパートナーは「顧客のため、店舗のため、地域のために何かをしたい」という強い欲求を持って働いてくれています。この欲求によって、パートナーは常にお客さまが求めていることを考え、自発的に行動することができるのです。

パートナーたちのエンゲージメントは、スターバックスとパートナーとの「関わり方=つながり」を感じることで生まれます。つながりとは、スターバックスという会社が大切にしている価値観と、個人が大切にしている価値観が重なり合い、共感することで芽生えるもの。つながりがあることで、パートナーはスターバックスを自分の居場所だと感じ、スターバックスとともに成長しようという、内発的動機になるのです。

パートナーのエンゲージメントには会社をも再生する力があります。

実は、2007年頃アメリカ本国の業績悪化からスターバックスが再生できたのは、パートナーとの間に感情的な心の絆を取り戻したからだったのです。

顧客を感動させるサービスは従業員の「内発的動機」から生まれる
マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか
出典 日本の人事部 2017/09/07
かつて、一度退任したハワード・シュルツがCEOに復活した時の話はご存じかもしれませんが、2007年頃、アメリカ本国では業績悪化が止まらない状態にありました。その状態からスターバックスを再生するため、何よりも重視したのが、パートナーとの間に感情的な心の絆を取り戻すことでした。人々の考え方が多様化し、ビジネスステージが変わり続けていく中でも、スターバックスが正しいと思ったことにパートナーが共感しているか、パートナーが本気でやりたいと思っているか、そんな感情的なつながりがビジネスへも大きく影響します。ユニークかもしれませんが、そんな風にエンゲージメントをとらえることが、スターバックスの経営の根幹にあります。

従業員をパートナーと呼ぶのも、ともにスターバックスをつくりあげていく対等な立場だと考えているからです。そのためハワード・シュルツは、経営陣が集まる役員会の場でも常に、「その場にもしもパートナーやお客さまが座っていたら、どのように考え、発言するかを意識すべきだ」と言っています。

皆様の会社では、従業員は「顧客のため、会社のため、地域のために何かをしたい」という強い欲求を持って働いているでしょうか?

今回は、エンゲージした従業員が自発的に顧客に感動体験を提供するスターバックス コーヒー ジャパンを取り上げました。

働き方改革の事例をもっと見るには次のリンクから。

働き方改革を進めるには人財への投資が必須です。企業研修は次のリンクから。

さて、経営においては、「従業員満足度」と「顧客満足度」の両方を重視するのが重要(今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業「平成27年度」)です。

・経営方針として「顧客満足度」を重視している企業は多いが、「従業員満足度」を上
位に挙げる企業は必ずしも多くない
・だが、調査結果は、業績や生産性の向上、人事目標の達成度合いに対して、どちら
かだけでなく、両方を追求することの効果が高いことを示している

従業員満足度向上には、仕事自体と評価において、適職感、自分力発揮、達成感、能力向上、評価と処遇が重要です(みずほ情報総研レポート「従業員満足度調査の活用」(2014年12月)。

このうち、従業員の能力向上は企業が働き方改革で盲点となっているのです。

本当の従業員の満足度向上には、従業員の能力開発を手助けして、より高度なスキルを身につけることで、高い目標を達成し、企業から評価と処遇を得られるというプラスのサイクルを実施することが必要なのです。

さらに、人材に投資をすることで企業の売り上げは増加するのです。

厚生労働省による平成17年度「能力開発基本調査」によると、過去数年の間に人材育成費を増やした企業のうち、売上高が増加している企業の割合は51.2%と半数以上を占めている一方、人材育成費を減らした場合、売上高が増加している企業の割合は24.1%にと留まっていることから、人財投資をすることは企業業績を向上させることがわかります。

では、従業員の能力向上にためにどのような企業教育をすべきでしょうか?

私が提案をしたいのが、ディベート研修です。

ディベートを学ぶことで、働き方改革を実現するために不可欠な6つの基本能力を獲得することができます。

1.論理的思考力

ディベートの基本は、「ロジック3点セット」。
全ての主張は、証拠と理由に基づかねば説得力を持ちえないという原則です。
「ロジック3点セット」がディベートの基礎であり、これをマスターすることで、あなたの議論はグローバルに通用するものとなります。

2.分析力

全ての議論を「ロジック3点セット」に照らし合わせて分析することで、その議論の強みと弱みをあぶりだすことができます。
また、「立論構成の最適化」の考え方に照らし合わせて議論構成をチェックすることで、その議論を的確に改善・強化できます。

3.洞察力

相手のロジックを推察する洞察力が身につくことで、相手のロジックを乗り越え、さらに高みのある議論に発展させることができます。

4.質問力

質問によりロジックを掘り下げ、議論をさらに深堀する技術。これをマスターすることで、実務現場で議論を推進し、より深みのある解決策を発見することができます。

5.問題解決力

ディベートの最終目的は問題解決。問題解決策をソリューションプランとして企画・立案できる能力を獲得できます。
原因分析に基づく解決策の提案で重要なコンセプトが「立案構成の最適化」。
これを学ぶことで、相手のニーズに合わせて、最も効果的なプランを提案できるスキルが身につきます。

6.コミュニケーション能力

ディベートでは実際に試合、あるいはプレゼンテーション、質疑応答といった演習を通じて総合的なコミュニケーション能力をブラッシュアップできます。思いがけない反論や、時間のプレッシャーの中で、いかに効果的に議論を進めてゆくべきかについて、身を以て学ぶことができます。

さて、働き方改革は、日本の産業を強くして競争力を取り戻すための絶好のチャンスです。そのための課題は、従業員一人一人が時間当たり労働生産性を向上させること、そして収益性の高いビジネスを開拓することです。本当の働き方改革実現の為には、社員が従来の慣習にとらわれず、効率的により良い成果を出せるようなスキル研修を積極的に実施すべきです。

詳細は次のリンクを御覧ください。