今回は、MBAが教える経営者研修の第三章「投資家を理解する」を説明いたします。

初めに経営者の方に質問です。

日本の株式投資に最も影響を与えている投資家は誰でしょうか?

特に上場企業であれば、経営者としては投資家を知ることは必須です。

初めに、投資部門の売買代金シェアの推移を見てみましょう。

1990年では、個人投資家が約30%で一位、次に銀行が約23%で二位、海外投資家は約十数%で事業法人と同レベルの三位でした。
その後外国人投資家シェアは伸び続け、2000年ごろには約40%を超え一位となり、その後はほかを圧倒して伸び続け、2017年度では約65%(1位:1部市場売買代金)となっております。

個人投資家は、約30%で二位(同上)につける一方、銀行は2017年度には5%(同上)にも満たないのです。

次に、株式保有割合を見てみましょう。

1990年頃、一位は約35%の金融機関(都銀、地銀、生保等)。二位は約30%程度の事業法人。三位は約20%で個人投資家でした。外国人投資家シェアは5%程度で最下位でした。

ところが、外国人投資家シェアはその後伸び続け、2005年ごろには25%を超えて一位となり、その後は一位を保持続け2017年度には約30%でした。

一方、金融機関(都銀、地銀、生保等)は減少し続けており、2017年度には約8%で最下位に、また事業法人は約22%で2位、3位には急速にシェアを伸ばしている信託銀行となっております。

即ち、現在最も株式市場に影響力を持っているのは、株式保有割合も1部市場売買代金も一位である海外投資家だということです。

これは、従来の株式持ち合い(事業法人やメインバンクである金融法人)の「モノ言わぬ株主」から外国人株主や機関投資家の「モノ言う株主」が多数を占めるようになってきたのです。

この株式市場の大きな変化は企業に対してどのような影響を与えてきたでしょうか?

日本政府としては、外国人株主への説明責任を果たすためにもコーポレートガバナンス体制は国際水準に合わせるべく、2013年「日本再興戦略(Japan is Back)」及び2014年の改定版を閣議決定し、成長戦略として「日本産業再興プラン」の具体的施策である企業統治の強化を進めたのです。

これを受けて、2015年3月に金融庁と東京証券取引所が取りまとめコーポレートガバナンスコードが6月から適用が開始されたことはご存じのとおりです。

この結果として、企業経営者としても、こうした投資家の変化に対応することが必要となってきているのです。なお、コーポレートガバナンスコードについては、次回に説明する予定ですので、ここでは割愛させていただきます。

さて、外国人投資家を筆頭に機関投資家が求めるのが、株主還元と高いROEを実現するための投資です。

株主還元は配当か自社株取得となりますが、全て当期純利益から捻出されます。使わなかった当期純利益は利益剰余金に積み上がりますが、ここから更にM&Aのような投資や配当の原資とすることも可能です。

積み上がった内部留保が問題との指摘がよく聞かれますが、私としては特段内部留保が高いこと自体が問題とは考えてはおりません。

問題視すべきは、内部留保を投資や株主還元に回さずに現金として積み上がっている状態なのです。

企業によっては、現金及び現金相当物が資産の3分の一以上にも積み上がっている場合もあります。

勿論、企業経営を安定的に実施していくにはある程度の現金が必要とはなりますが、そのレベルをはるかに超えているということは、その現金のリターン、即ち一般的には銀行利息になるでしょうか、は投資家が求める最低限のリターンである資本コストを大きく下回っているのです。

即ち、積み上がった現金は本来の価値を持たずに企業価値を毀損していると考えられることになります。

機関投資家としては、現金は高いROEを実現するために投資すべきか、もし投資すべき案件が無いのであれば、配当に回すことを要求します。

企業経営者としては、安定株主が減少してしまった現在、機関投資家の提言を無視することは難しくなっておりますので、投資するのか配当に回すのか、選択を迫られていることになるのです。

実際の研修では、この後に機関投資家として、企業価値(バリュエーション)を実例で計算することで、積み上がった現金の意味合い、理論株価と現実の株価の乖離、そしてM&Aをする場合の注意点、投資判断と投資前に何をすべきだったかなど実例を使いながら体得していきます。

さて、今回は企業経営者として、投資家を理解することを取り上げました。

詳細は次からご覧ください。
MBAが教える経営者研修: 取締役及び執行役員向け