若い人向けのフジテレビ月9ドラマで僧侶が登場したり、テレビ朝日系でお坊さんバラエティー番組があるかと思えば、寺カフェで女性が僧侶に悩み相談したりと、何かと最近は僧侶が話題を集めています。
その中で、私が注目したのは、僧侶の研修にディベートが取り入れられたという報道です。
これからの僧侶は「説得力」が必要…若手50人によるディベート大会開催
出典:産経WEST 2015.1.24
禅の教えを学ぶ若手僧侶約50人にディベートの技術を習得してもらう初めての大会が2月4日、京都市中京区の花園大学で開かれる。肯定・否定の理由を論理的に伝え合うディベートは、悟りを開くための禅問答とは異次元の世界。「これからの僧侶には説得力が必要だ」と考える主催者側が、研修内容を大胆に変えたという。
禅の一派である臨済宗と黄檗(おうばく)宗の合議機関「臨黄(りんのう)合議所」が主催。平成17年から毎年2月に行ってきた若手の禅僧向け研修会「臨黄教化研究会」を、基調講演や分科会で構成するシンポジウムから一新し、初めてディベートを採用した。
大会の議題は「地方自治体は大家族制を推進すべきである」。禅僧4~5人ずつの12チームが肯定・否定に分かれてリーグ戦とトーナメント戦を行い、優勝者を決める。本番前日には専門家による講義と予行演習もあり、夜にはチーム別の作戦会議も行われる。
私は正直ビックリしました。
何故なら、私の理解では(浅い知識かも知れませんが)、仏教とディベートは正反対に位置するからなのです。
仏教は、インドの釈迦を開祖とする宗教です。釈迦は、苦悩は執着によって起きるということを解明し、それらは八正道を実践することによって解決に至るという極めて実践的な教えを提示しています(ウィキペディアより)。
即ち、仏教には、釈迦のありがたい教えを実践することが根本にあるわけです。
例えば、人の煩悩は百八つあると教えられます。穿った見方をすれば、百八つ以外にはないということでもあるのです。
こうした教え方は、現在の学校教育に似ていると私は思うのです。
現在の学校教育では、基本的には正しい答えがあることが前提で、答えを暗記したり、或いはどうしたら正しい答えにたどり着くかを学ぶために、授業が進められているのです。
一方、ディベートの基本的考え方は、ひとつに定まった正解は無いというものなのです。
或いは、衆知を集めて議論することで、前例のないことに対しても、より良い結論を見出すとことができるアプローチとも言えるでしょう。
(参考までですが、この学校教育とディベートの違いは、弊社ウェブサイト「ディベートの必要性」に詳しく解説されておりますので、よろしければ御覧ください。)
さて、私は、こうした正反対にも思えるアプローチを、若い僧侶に研修するという英断を下した臨黄(りんのう)合議所」に喝采を送りたいと考えて、この記事を取り上げたのです。
複雑な環境下で生きている現代人にとって、説得するということは、並大抵のことではありません。昔の偉い人がこう教えているから、というだけでは最近の若い人は中々納得しないのではないかと思います。
そうした状況下で、「臨黄(りんのう)合議所」は、ディベートを若い人への説得の手段に選んだ訳です。
私は、世の中にある物事はゼロサムゲームではないことが多いのではないか、と思います。
ゼロサムゲームとは、一つが勝つと他が負けるという、1か0かで勝敗が決まってしまうことです。
この僧侶の研修に即して言えば、ディベートを学ぶということは、今までの説法や法話などの手段を捨てることでは、決してないと思うのです。
むしろ、相手や状況に応じて、よりふさわしい手段を使える選択肢を増やすことになり、返って想定外の状況にも対処できる、強靭な能力を育成することにも繋がると、解釈すべきです。
ビジネスに日々翻弄されているであろう、皆様にもきっと参考になるのではないかと思い、今回は紹介させていただきました。
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