酒の過剰な安売りを規制する酒税法などの改正案が、今国会で成立する見通しとなりました。

皆様は、この法案に賛成ですか?反対ですか?

酒、安売り規制法案成立へ…価格競争妨げ懸念も
出典 読売新聞 2016年05月25日
 酒の過剰な安売りを規制する酒税法などの改正案が、今国会で成立する見通しだ。
 量販店などの安売りから、規模の小さな「街の酒屋さん」を守る狙いがある。しかし、健全な価格競争まで妨げ、消費者の利益を損なう恐れもある。小規模な酒屋の活性化に向けた効果も少ないとの見方も出ている。
 法案は、財務相が酒類の販売価格の「公正な取引の基準」を新たに定め、これに従わない場合、業者名を公表したり、酒類の販売免許を取り消したりできるようにする内容だ。すでに衆院を通過しており、6月1日の会期末までに参院でも可決、成立する見込みだ。
 採算を度外視した安売りでライバル店を廃業に追い込もうとする「不当廉売」に対しては、公正取引委員会が酒屋に限らず、独占禁止法に基づいて摘発している。また、国税庁は酒類に絞って、過剰な安売りを防ぐための指針を作っている。

前回は、酒の安売り規制法案成立に関する問題の背景を見てみました。

今回は、酒の安売り規制法案成立に賛成側の意見を検証します。

始めに「酒税の税収確保が阻害される恐れがある」というのです。

国税庁は18年に酒類に関する取引指針を定めたが、法的拘束力はなかったため効果は疑問視されていました。実際、公取が平成25年度に不当廉売として注意喚起したのは酒類で847件と62%を占め群を抜いて多い。放置すれば、街の酒屋や卸売業者の経営が圧迫され、「酒税の税収確保が阻害される恐れがある」というのが自民党の大義名分なのです(産経ニュース 2015.5.11)。

また、法案の目的は、大型店の販売価格に口を出し小規模な酒販店を保護するようなものではなく、「原価割れの安売り」だとする論点もあります。客寄せパンダ商品と言われるが、消費者の関心が高いビールなどを原価よりも安い販売価格に設定して客引きに使ったり、特売のために原価をできるだけ抑えるため卸売業者が原価割れで大規模小売店に酒を卸す事例があり、一般の酒販店と公正な競争環境にはならないからです(産経ニュース 2015.5.11)

また、「街の酒屋さんを守る国会議員の会」会長の自民党・田中和徳衆院議員によれば、今回の法案の最大の目的は「WHO(世界保健機関)の勧告に基づきアルコールが原因の健康障害を予防すること」とする論点もあるのです(テレビ朝日 そもそも総研 放送日2015/06/11)。

実際、日本では飲酒による死亡者は34,988人(2008年)で、総死亡の3.1%を占めており、その社会的費用は4兆1483億円と推定されています。また、アルコール依存者は80万人、多量飲酒者 857万人とも推定されているのです(ウィキペディア)。

では、「法改正ではなく、独禁法で取り締まればいいのでは?」と疑問を持たれる方も多いと思います。

こうした疑問に対して、独占禁止法にくわしい籔内俊輔弁護士は、「独禁法違反の不当廉売といえるためには、単に仕入価格を下回って売っているだけではなく、一定程度の継続性があり、ライバル企業の顧客を不当に奪って事業活動を困難にさせるおそれも必要とされるため、短期間に限って行われている仕入価格割れの安売りであれば、独禁法違反とまでは判断されない場合もある」と指摘をしています(弁護士ドットコムニュース)。

以上、今回は酒の安売り規制法案成立に賛成側の意見を見てみました。

次回は、酒の安売り規制法案成立に反対側の意見を検証します。

なお、下記には全文が掲載されております。
酒の安売り規制法案成立へ:賛成ですか?反対ですか?/

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