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アップルのクックCEOが、銃乱射事件の容疑者が使っていた携帯電話のロック解除を求める裁判所命令に異議を唱えたことで、国家の安全保障を優先すべきか、個人のプライバシーを守るべきか、大きな論争を引き起こしています。

出典 日経BP  iPhoneのロック解除問題の行方 2016年3月7日
昨年12月、米カリフォルニア州サンバーナディーノの福祉施設で銃乱射事件が起きた。犯人は「iPhone 5c」を残しており、そのデータには事件究明に役立つ情報が含まれている可能性がある。しかし、iPhoneにはロックがかかっていた。任意の文字列の「パスコード」を何万通りも試せばロックは解除できるが、そのiPhoneではパスコードを10回間違えば端末のデータが消去されるため、“力技”も通じない。
 米連邦捜査局(FBI)は、iPhoneのロック解除に協力するようAppleに要請した。ところが、プライバシー保護の観点などからAppleは拒否。そこでカリフォルニア州中部の連邦裁判所に裁判所命令の発行を求め、治安判事は2月16日にAppleにロック解除を命じる判断を下した。

まず、FBIがアップルに何を求めているかを見てみましょう。

出典 ロイター ロック解除問題、米アップルと政府は何を争っているのか 2016年 02月 22日
Q:厳密には、米政府はアップルに何を求めているのか。
A:政府はアップルに対し、自動削除機能を無効にしたiOSの新バージョンを作るよう求めている。また、新たなOSではパスコード入力を9回間違えたときに最大1時間入力できなくなる機能を回避できるようにすることを要請している。何百万通りものパスワードを試みる「ブルートフォース(総当たり攻撃)」方式によるアイフォーンのロック解除を可能にするためだ。政府は、アップルにはファルーク容疑者が使っていた端末だけで機能するようなソフトウエアを作ることができると主張している。

では、アップルがFBIに協力すべきに賛成派の理由は何なのでしょうか?

始めに、アップルが協力しないのは市民への攻撃を防ぐためではなくブランドを守るためだという考え方があります。

出典 東洋経済オンライン iPhoneロック解除、アップルの苦しい事情 2016年02月22日
司法省は、「特定のiPhoneのロック解除は可能」であることを前提に、できることをできないと言い張るアップルの企業姿勢を批判。アップルがロック解除に応じないのは、市民への攻撃を防ぐためではなくブランドを守るためだと言い換え、暗にテロと戦いにおいて政府の邪魔をしているというメッセージを発することで、一部のアメリカ市民を味方に引き込もうとしているようだ。

さらに、裁判所の令状がある点と、問題のアイフォーンが5Cという比較的古い型である点も賛成側の理由です。

出典 WSJ アップルCEO、ロック解除問題で危険な戦術 2016 年 2 月 18 日
やっかいなのは、FBIがアップルに作らせたいと言っているのは、サンバーナーディーノ事件容疑者のアイフォーンだけに使うソフトだ。(中略)
 まず、状況の受け取られ方だ。テクノロジーアナリストのベン・トンプソン氏の言うように、「今回のケースは、明確に悪人が絡んだ国内テロで、誰も反対できない令状がある。そしてアップルには要求に応じる能力がある」とみられている。次に、問題のアイフォーンが「5C」という比較的古い型である点だ。新しい型とは違うことから、アップルがFBIによるセキュリティー迂回(うかい)用に作るソフトが新型のアイフォーンを危険にさらすことはないと、開発者でモバイル向け基本ソフト「iOS」のセキュリティー専門家のダン・グイド氏は指摘する。

では、アップルがFBIに協力すべき考えに反対側の理由は何でしょうか?

アップルCEOティム・クックによれば、今回のFBIの要請に応えると、どのアイフォーンにでも侵入できるような「バックドア」を作ることになり、危険な前例を確立することになるというのです。

出典 ロイター ロック解除問題、米アップルと政府は何を争っているのか 2016年 02月 22日
Q:アップルはどのように反対しているのか。
A:アップルは、そのようなツールは実質的に、米連邦捜査局(FBI)、あるいはそれ以外の者がどのアイフォーンにでも侵入できるような「バックドア」を作ることに等しいと主張している。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は顧客に宛てた書簡のなかで、特別に作られたソフトウエアが「悪者」の手に渡る可能性を指摘し、今回の一件に限って利用されるという考えを否定している。
またクックCEOは、この動きは危険な前例を確立することになるだろうと述べている。「政府はこのようなプライバシー侵害を拡大し、アップルが監視ソフトウエアを開発して、皆さんのメッセージを盗聴し、治療歴や財務データにアクセスし、居場所を追跡し、皆さんが知らない間にアイフォーンのマイクやカメラにさえアクセスするように求めてくるでしょう」と彼は書いている。

例えば、FBIの要請に応えれば、過去のヤフーのように中国での人権問題にまで発展する可能性があるのです。

出典 ENLARGE iPhoneのロック解除問題をめぐるアップルとFBIの対立は中国に影響も 2016 年 3 月 4 日
 法律事務所ローブ&ローブ北京オフィスのパートナー、ベンジャミン・チウ氏は、アップルが仮にFBIとの訴訟で負けることがあれば、中国政府が同じような要請をすると考えるのが当然だと述べる。「中国政府に比べれば、FBIなど御しやすい相手だ」と同氏は述べる。(中略)
どの米国のハイテク企業も、中国人ジャーナリストの師濤氏の件で米ヤフーが陥ったような立場になることを恐れているに違いない。ヤフーは04年に中国政府の要請を受け、師氏のヤフーの電子メールアカウントの情報を提供した。中国当局はその情報を利用し、政府の秘密指令を海外のウェブサイトに公表した容疑で師氏を有罪とした。師氏は10年の禁錮刑を言い渡された。07年に開かれたこの件に関する米下院の公聴会で、ある議員がヤフーの幹部たちを「道義のかけらもない小者だ」と糾弾し、ヤフー関係者が謝罪する場面もあった。

こうした危険性に対して、国連人権高等弁務官までもが、アップル支持を表明する騒ぎとなっています。

出典 iPhone Mania人権高等弁務官が政府当局の動きに釘を刺す 2016年3月5日 
ヨルダンの王族にして国連人権高等弁務官のZeid Ra’ad Zeid Al-Hussein氏は暗号化を支持する声明を発表し、プライバシーはセキュリティにおいて欠くことのできないものだとの見解を示しました。
米サンバーナーディーノ郡の銃乱射事件でFBIがアップルに対して勝利を収めるとすれば、それは「権威主義政権への賜物」であり、権力が「数百万人の人権、そして彼等の物理的、経済的安全に対して、計り知れないほどの悪影響を与えかねる」パンドラの箱を開けるというリスクに晒されることになると警鐘を鳴らしました。

さて、IT業界はアップル支持を表明しております。

出典 WIRED アップル「iPhoneロック解除」拒否で団結する米テック界
2016年3月3日(現地時間)、アップルの協業企業ら数十社は、FBIに対する同社の立場を支持して法廷助言書を発表した。まずグーグル、マイクロソフト、フェイスブックらが共同で、一方で、ツイッターやAirBnB、eBayらインターネット関連の著名企業らも、これとは別の法廷助言書を提出した。

一方、2つの世論調査では、FBIとアップルの支持が相反している状況です。

出典 日本経済新聞 テロ対策かプライバシーか 世論も二分 2016/2/27
 【シリコンバレー=兼松雄一郎】テロ対策か、プライバシー保護か。アイフォーンのロック解除問題を巡り、米世論は二つに割れている。米研究機関ピューリサーチセンターの調査によれば回答者の51%が米連邦捜査局(FBI)を支持し、アップル擁護派(38%)を上回ったが、ロイターなどの調査ではFBI支持36%に対し、46%がアップルを支持した。

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