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簡単に内容を振り返って見ましょう。

問題に対して、ディベートでは、提案手法が幾つかありますが、その中から最も基本的な提案である、問題解決型を説明していきたいと思います。

問題解決型の提案は次のような要素から構成されています。

1. 目標設定 【ゴール】
2. 現状変革の必要性 【ニーズ】
3. 解決策の提示 【プラン】
4. 解決策による利益 【メリット】

さて、前回は、「問題は深刻でなく、原因には内因性がなく、対処する必要がない」ことを論じました。

今回は、解決策と解決策による利益に対する反論を考えたいと思います。

論題は、「職場・公共の場所は全面禁煙すべき」」です。

ところで、否定側はどういう立場であるべきでしょうか?

そうです、「プランは問題を解決しないし、返って解決策で不利益が生ずる」ですね。

この流れを理解するために、具体例を見てみましょう。

始めに、否定側は公共の場の全面禁煙が引き起こす重大な問題を取り上げます。

=== プランの否定 ===
プランは公共の場で罰則を伴った全面禁煙を提案しています。

しかしながら、このプランは飲食業界に大きな混乱と問題を引き起こすのです。

始めに、飲食店経営者ら約8万人が加盟する全国飲食業生活衛生同業組合連合会事務局長は「面禁煙は大変な打撃になる」と懸念を示しております。

出典:毎日新聞 2010-02-22
 全国の飲食店経営者ら約8万人が加盟する全国飲食業生活衛生同業組合連合会(東京)の園田房枝事務局長(60)も「お酒を飲みながらたばこを吸いたいというお客さまは少なくない。不景気で客足が遠のいている中、全面禁煙は大変な打撃になる」と話す。

実際、ワタミ社長(当時)渡邉氏は、経営する居酒屋で禁煙を実施したところ、売上が30%も減少してしまったと、全面禁煙化に反対しております。

出典:日経レストラン オンライン ワタミ渡邉美樹社長が「神奈川県の禁煙条例に物申す!」
確かにタバコを吸わない人たちにとっては、快適な飲食空間ができると思います。一方で、飲食店経営者の多くを赤字に陥れるような事態を招く可能性も高い。それほどの血を流してまで、この禁煙条例は成立させなくてはいけないものなのか。松沢成文県知事は飲食店経営者の痛みを分かっているのでしょうか。パフォーマンスだとしか思えません」。

―― 逆に禁煙だからこそ行ってみようというお客が増えることは考えられませんか?

「現実はそううまくはいかないのです。本音を言えば、私も飲食店は全面禁煙にしたい。そう思って3年前に全席禁煙の居酒屋『手づくり厨房』をオープンしたことがあります。開店当初は子供連れの家族に大勢来店していただくなど売り上げも好調でしたが、結果的にはうまくいきませんでした。4店舗まで広げましたが、1年経たずに撤退しました。

なぜうまくいかなかったのか。2つの理由があります。宴会のお客様が極端に少なかったのと、深夜帯に弱かったことです。例えば10人のグループで宴会しようとなった場合、その中に2~3人でも喫煙者がいたら、禁煙の店では宴会をしないわけです。さらに深夜帯のお客様はタバコを吸う人が多い。この人たちにも敬遠されました。結局このダブルパンチで『手づくり厨房』は『和民』に比べて30%も売り上げが少なかった。禁煙居酒屋はまだ早すぎたのです。

ワタミのお店は神奈川県に73店舗あります。もし禁煙条例が施行されたら相当のダメージを受けます。他の飲食店も大変なことになると思います」。

 

また、客の7~8割が喫煙者といわれるパチンコ業界ですが、禁煙にすれば売り上げが落ち、集客力が低下する懸念があります。

出典:毎日新聞 2010-02-22   
 全国約1万2000店舗を傘下に抱える全日本遊技事業協同組合連合会(東京)の担当者は「禁煙にすれば売り上げが落ち、集客力が低下するという現場の声は大きい」。通知には罰則がないこともあり、禁煙対策が劇的に進むめどは立っていない。担当者は「各店舗ができるだけ受動喫煙を防ぎ、快適な環境を整備する努力をしていくしかないが、一律禁煙は正直難しいと思う」と話した。

次に、否定側は屋内の全面禁煙によるデメリットがメリットより大きいことを示します。

=== デメリットがメリットより大きい ===

それなのに、こうした政策変更での経済的メリットは146 億円しか無いのです。

出典:日 本 学 術 会 議脱タバコ社会の実現に向けて 2008 年3 月4 日
(財)医療経済研究機構の2001 年度調査報告書「たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究」によれば、(中略)間接喫煙者のそれ(注:経済的損失)が146 億円(中略)と推計されている。

一方、職場や公共の場が全面禁煙されれば、2兆円規模のたばこ税自体が減少して国の財政に大きな影響があるのです。

出典:日経オンライン 猪瀬直樹の「眼からウロコ」 全面禁煙化は中小企業や飲食店には厳しい
 一方で、全面禁煙は、たばこ税の税収減をもたらすおそれもある。

 たばこ税税収は、国が1兆円、地方が1兆円、合計2兆円規模だ。東京都だけでも、都と区市町村あわせて1200億円となっている。2兆円のたばこ税税収の重要性を忘れてはいけない。

 小さな町や村では、たばこ税税収の重要性がとくに大きい。東京都でも、たとえば奥多摩町で2600万円、檜原村で600万円のたばこ税税収がある。これだけの税収がなくなったら、財政への影響は甚大である。

 法人税は好況時には10兆円の税収があるけれども、世界不況で5兆円に税収が減った。企業が赤字になると税収が減る法人税にくらべて、たばこ税は安定した税収だ。分煙したうえで、喫煙者にたばこを吸ってもらえれば、安定した税収が得られるのだから、こんなにありがたい話はない。

 

また、喫煙にはストレスへの対処というメリットがあり、むやみに禁止すべきではありません。

出典:日本パイプクラブ連盟
ここで、興味ある「ストレスへの対処法」に関する調査結果を具体的に示します(表参照)。
これは、2001年に発表された厚生労働省による保健福祉動向調査です。この調査結果によれば、たばこをストレス対処法にあげた人は、男性22.8%、女性7.2%でした。この時の喫煙率が男性55.1%、女性13.3%でしたので、男女ともおおむね半数の喫煙者が、たばこをストレス対処法としてあげていたことになり、いいかえれば、喫煙によるストレス解消作用が認識されていたということができます。

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さて、「ディベートによる提案」の問題解決法について、2回に渡り反論の仕方を具体的に見てみました。

「ディベートによる提案」とは、肯定・否定の両方の立場から議論を組み立て、提案書を作成し提案(プレゼン)することです。

これは、一方的な立場で構成された考えは、独善的で論理が飛躍しがちで、反感を買いやすく、否定されやすいという問題があるので、ディベートで課題の両面を検討することで、聞き手の立場を考慮した提案が行えると考えております。

また、自分の支持する議論に対して、自ら疑問を呈し、その弱点を修正することで、より説得力のある提案を行えるというメリットも有ります。

こうした観点から、論題「職場・公共の場所は全面禁煙すべき」」において、賛成と反対の両方の議論を組み立ててきました。

賛成と反対の両方の議論を考えることで、問題点がより深く理解ができたことと思います。

今後の参考にして頂ければ、幸いです。
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