「ディベートによる提案」とは、肯定・否定の両方の立場から議論を組み立て、より説得力のある提案書を作成し提案(プレゼン)することです。
誰でも自分の支持する立場が好きなので、自分の支持する立場だけで、問題解決を図ろうとします。
しかしながら、一方的な立場で構成された考えは、独善的で論理が飛躍しがちで、反感を買いやすく、否定されやすいという問題があります。
そこで、ディベートで課題の両面を検討することで、聞き手の立場を考慮した提案が行えるのです。
また、自分の支持する議論に対して、自ら疑問を呈し、その弱点を修正することで、より説得力のある提案を行えるというメリットも有ります。
こうした、「ディベートによる提案」について、説明していきたいと思います。
さて、現代の社会では、様々な問題があります。
財政問題、円高の対処、年金問題、原発の問題、震災からの復興や失業問題など、取り上げれば、いくらでもあります。
また、ビジネスに携わっている方に対しても、問題は山済みされています。
マーケットシェアの低下、売り上げの減少、高コスト、非効率生産、低い顧客満足など、日々頭を悩ます問題ばかりです。
こうした問題に対して、ディベートでは、提案手法が幾つかありますが、その中から最も基本的な提案である、問題解決型を説明していきたいと思います。
問題解決型の提案は次のような要素から構成されています。
1. 目標設定 【ゴール】
2. 現状変革の必要性 【ニーズ】
3. 解決策の提示 【プラン】
4. 解決策による利益 【メリット】
では、ひとつひとつ説明をしていきましょう。
1. 目標設定【ゴール】
提案者は、どのようなことを目標としているかを説明します。
船が航海をするとき、目的地をはっきりさせなければそこにたどり着くことができません。
同じように、ビジネスでは、解決策を提案するのは、何のためなのかを明確にする必要があります。
2. 現状変革の必要性【ニーズ】
ここでは、基本的に「問題は深刻で、原因には内因性があり、対策をとらないと問題は解決しない」ということを、提案先に納得してもらうことが大切です。
そのために、現状変革の必要性【ニーズ】は、次の2つから構成されます。
a) 具体的問題
現状の問題点を説明します。特にこの問題が重大な問題であることを明確にします。
問題解決をする場合、一般的には資金や人のようなリソースに限りがあります。
そこで問題を重要度順に順番に並べ、上から順に対策を取っていく必要性があります。
重要度は、置かれた立場で異なりますので、人により、会社により、同じ問題でも、重要度は異なりますね。
しかしながら、取り上げた問題が重要であることが認められなければ、何も始まりません。
これは、「問題を解決しないとかなり困る」という状況が認識されると言い換えても良いかもしれません。
b) その原因=現状の制度や仕組み
何故その問題が生じているか、原因を説明します。
勿論、原因には様々なものがあり、どれもが、少しずつ問題にたいして寄与率を持っています。
寄与率を持っているということは、問題を引き起こしている要因であるということです。
しかしながら、寄与率の低い要因を対策しても、大して改善は期待できません。
それは、寄与率が低い、つまり、その要因がなくなっても、問題のほんの少ししか、解決ができないからです。
その為、本当の原因、あるいは寄与率の極めて高い要因を特定する必要があります。
重要なのが、内因性の証明です。
内因性とは「問題は、対策をしないで放っておくと悪くなる一方である」ことです。
例えば、風邪を考えてみましょう。
風邪にかかった場合、読者の皆様はどのような対処をしますか?
具合が悪ければ、一般的には、医者に行く、休暇をとって家で寝ているなどの対処をするかと思います。
医者に行くかどうかについて、内因性があるかどうか考えてみましょう。
風邪にかかると、ある時期つらい症状はあっても、人の体には病気を治す力があるので、1週間もたてば、多くの場合治ってしまうものです。
これは、ディベート的に言えば、風邪を治すのに医者にいくことは内因性がないということになります。
内因性があるということは、「放っておくと直らない」ことが証明されねばならないからです。
同様にして、もし、ビジネスにおいて、ある問題が重要でも、その原因に内因性がないと、何もしなくても問題が解決することになってしまいます。
一方、内因性がある原因に対しては、対策を採らない限り、問題は解決しませんね。
以上、「a. 具体的問題」と「b. その原因=現状の制度や仕組み」を通じて、「問題は深刻で、原因には内因性があり、対策をとらないと問題は解決しない」ことが、確認されたことになります。
今回は、提案力の導入として、次の2つを解説しました。
1. 目標設定 【ゴール】
2. 現状変革の必要性 【ニーズ】
次回は、提案力の残り2つを解説します。
3. 解決策の提示 【プラン】
4. 解決策による利益 【メリット】
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