初めに、TOEICの点数と英語でどの程度仕事ができるかの関連性について考えたいと思います。
私自身は、この相関関係はさほど高くはないと思っております。
TOEICは文法や所謂受験テクニックを磨けば高い点数がとれるのですが、一方、ビジネスではどんなに文法や受験テクニックがうまくても使える英語にはなりません。
実際、海外でのビジネス経験がない日本人がTOEICで900点以上取れ、英語を使ってビジネスで活躍されている方が、800点代半ば程度しか取れないということが珍しくありません。
もし、TOEICの点数だけで、英語が仕事に使えるかを図るならば、間違ってしまうこととなります。
実は、一般的に言って、日本人が考える英語がうまいことと英語で仕事ができるということは、あまり関連性が無いのです。
日本人が考えるうまい英語とは、アメリカ人のような発音で、ペラペラと立板に水のごとく英語をしゃべることを示します。
しかし、グローバルな社会では、アメリカ人のような英語にはめったにお目にかかれません。
英語が第二外国語である人口がとても多いため、インド語訛りの英語や中国語訛りの英語、イタリア語訛りの英語、フランス語訛りの英語と、ビジネスで使われる英語は、各国の訛りだらけといっても過言ではありません。
しかも、彼らの英語はよく聞いてみると、文法などは結構間違っていることが多いのですが、臆せず主張をすることで、しっかりとビジネスはできるのです。
一方、日本人の英語はどうでしょうか?
日本人は、中高合わせて6年間、大学の教養課程を含めれば8年間は英語を勉強していますが、全くと言っていいほど、英語が喋れません。
これは、ひとつには、英語が話せない教師が文法中心の英語を教えるからです。
もうひとつの理由は、日本人は正解を覚えることを勉強だと教えられていることの弊害です。
即ち、問題をだされると、答えには丸かバツかの2つしかなく、正解しないと皆や先生に馬鹿にされたり、辱められた経験をもって育ってきているのです。
つまり、英語を話そうとすると、文法的に正しいかどうか悩んでしまうので、発言が全くできないことになってしまうのです。
ところが、欧米の学校では、正解など存在せず、皆で議論を重ねながら、より良い解を見出していく手法を学んできているのです。
欧米では、自分の意見を言わなければ存在意義がないと考えられるので、皆積極的に発言をします。
しかし、それぞれの発言は別段核心をついたものでなくても構わないのです。自分の考えを持って、それを共有することが重要なのです。
そのため、日本ではKY(空気を読めない)と揶揄されるかもしれない、独自性を持った意見は、返って尊重されるのです。
こうした文化の違いを考慮しなければ、仕事で使える英語を身につけることは出来ないのです。
では、どのようにすれば、仕事ができる英語を身につけることができるのでしょうか?
私は、ディベートを日本語と英語とで学ぶことが、最も良い手段だと思います。
実は、日本語でディベートを学ぶだけでも、英語がビジネスで通じるようになるのです。
これは、奇異に感じる方も多いことと思われますが、本当なのです。
その理由は、英語は論理的な言語である上、欧米人や欧米で高等教育を受けたビジネスパーソンは、思考回路が日本人と異なり、物事を順序だって、論理的に理解する習慣ができているからなのです。
そのため、英語自体はさほど上手でなくても、話す内容が論理的にしっかりしていれば、相手とコミュニケーションができるのです。
この傾向は、特にエンジニアに強いと思います。それは、エンジニア同士は専門用語という共通言語をもっているので、細かいアヤを説明しなくても、お互い理解できる素地が有るのです。
さて、この論理性を身につけるのに一番効率的な手法が、欧米で普及しているディベートなのです。
ディベートはソクラテス式問答法と試合形式という2つの方式があります。
ソクラテス式問答法とは、先生が学生に対していろいろ質問をしたり、学生同士が互いに議論をしながら、理解を深めていく手法で、欧米では小学校から当たり前のように、授業で使われているのです。
また、試合形式のディベートは、学校対抗のディベートの試合があったり、高校や大学になるとディベート部があり、学生のトーナメントが行われたりしております。
ソクラテス式問答法でディベートに慣れ親しんだ学生が、更に試合を経験して、その論理性に磨きをかけているのが実情です。
そこで、日本人も同じ手法を学ぶことで、欧米人に匹敵する論理性を身につけることが出来るのです。
ディベートの試合は、論理的思考力だけでなく、ビジネスに必須の様々な能力、即ち分析力、洞察力、質問力、問題解決力、コミュニケーション能力など、全てを身につけることができる効果的な手法なのです。
日本語でディベートの試合が出来るようになったら、今度は英語でディベートの試合をすることを勧めます。
論理的思考力の基礎ができているので、あとは日本語を英語に置き換えるだけになりますので、スムーズに移行ができます。
また、試合中に行われる英語の質問やプレゼンは、実際のビジネスの現場のシミュレーションとも言えるのです。
即ち、英語でディベートの試合を経験していけば、自然とビジネスで切れる英語になっていくのです。
効率という点から考えても、英語教育としての「英語ディベート」は眼を見張るものがあります。
英語ディベートにおける密度の濃さは、一般的な英会話プログラムの比ではありません。
一度の英語ディベートの試合を体験することで、形式にも寄りますが、準備から試合を含めて、英会話プログラムの数カ月分にも匹敵する経験を積める場合もあるほどです。
以上、企業研修プログラムとしての英語教育にディベートを取り入れることをお勧めする理由についてご説明いたしました。
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