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【事例】日本でカジノを解禁すべきか

日本でカジノを解禁すべきか

カジノ法案成立 与党・維新の賛成多数
出典 J-CASTニュース 2016/12/15
カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の整備を推進する法案(カジノ法案)が2016年12月15日未明の衆院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。
法案は14日夜の参院本会議で修正のうえ可決され、衆院に戻されていた。これを受け22時から開かれた衆院本会議で、14日までだった会期を17日まで再延長することを議決し、15日未明に成立させた。法案に反対する野党4党が提出した内閣不信任決議案は、与党などの反対多数で否決された。

ここでは、日本におけるカジノ解禁問題を賛成・反対の両方の観点から議論していきます。

ひとりディベート:日本でのカジノ解禁問題の背景

こうした新たな問題を検証する場合、始めに言葉の意味を確認する必要があります。

カジノとは何を指すのでしょうか?

【出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説】

カジノcasino

(1) 賭博,音楽,ショー,ダンスなどの各種の娯楽設備をもった集会場。カード,ルーレット,ダイス,スロットマシンなどの賭博が特に盛ん。モナコ公国やアメリカ・ネバダ州のラスベガスのものが有名。

そうですね、カジノといえば、映画などでよく出てくるラスベガスを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

巨大なホテルの大空間にスロットマシンやルーレット等などところ狭しと並んでいる様子は、初めて見ると驚いてしまうほどです。

日本では、「賭博」というと、悪いイメージがつきまといますが、カジノは現在世界120カ国で公認されており、かつては王侯貴族の社交場であった様です。

【出典:ビジネスジャーナル 2013年06月09日】

現在、120以上の国にカジノはあり、G8の中でカジノを合法化していないのは日本だけである。いずれの国のカジノでも、当然、マフィアなど反社会的勢力の関与は厳しく排除され、大きな社会的問題は発生していない。シンガポールのカジノが特に成功しており、多くの雇用創出とともに、莫大な税収効果をあげている。

日本では、「賭博」というと、とかく良くない暗いイメージがつきまとうが、世界的にみれば、カジノは、かつてのヨーロッパにおいて、王侯貴族などの社交場として認知され、その後は、温泉やオペラなどの天然資源や演劇・音楽文化と一体として発展してきた。また、アメリカでも、華やかなショービジネスと結びついて発展してきた。例えば、日本でも人気のあるサーカス、シルク・ドゥ・ソレイユはラスベガスで大成功したことによって、世界に名をはせるようになったし、セリーヌ・ディオンもカジノホテルと長期契約を結んでいる。

最近では、マカオやシンガポールがカジノで大成功を収めているのです。

【出典:日経BPオンライン 2013年11月13日】

カジノ解禁に向けて動きが本格化、社会問題と経済効果のバランスをどうとるか

1999年にイギリスから中国に返還されたマカオ(特別行政区)。それまで地元企業に独占されていたカジノの経営権を国際入札によって開放し、香港や米国企業がマカオでのカジノ運営に大規模に参入した。現在、40以上の大規模カジノ施設があり、マカオは巨大リゾート都市に変貌した。

2000年に年間800万人だった観光客の数は、カジノ開放後に大幅に増加し、2012年には2800万人に達した。その内訳は、中国から1500万人、香港から1100万人、そして日本からの直行便を含む空路経由の入国が200万人という。

マカオのカジノ収入は世界一だ。2011年に前年比42%増の約2兆6000億円に達している。1人当たりの国内総生産(GDP)は5万8000ドル。日本の4万6000ドル、米国の4万8000ドルを上回り、マカオ経済は先進国以上に発展したといわれる。

こうしたマカオの成功を目の当たりにして、長年ギャンブルを禁止していたシンガポールも、2010年に巨大カジノをオープンさせた。シンガポールでカジノを経営する米国のラスベガス・サンズは2010年に600億円ほどの利益を上げたとされる。

シンガポールがカジノ解禁に動いた背景には、膨張するアジアの富裕層が生み出す成長市場をマカオなどに独占されることの危機感があったとされる。

さて、そのカジノ解禁が、今何故日本で話題沸騰しているのでしょうか?

財政問題もあるのですが、実は、2020年東京五輪の誘致決定がカジノ推進を表舞台に後押ししたというのが真相のようです。

【出典:政府がカジノ解禁に動き出した理由 All About 2014年06月25日】

今なぜカジノなのか?

先の国会で審議入りしたカジノ推進法案(通称「カジノ法案」)。
ニュースで目にし、やや唐突感を持つ人もいるかもしれないが、実はこの議論は10年以上も前から行われてきたものだ。

推進論の一方で反対論も根強く、毎年のように法案提出が試みられてきたが、いつも寸前で止まっていた。そのわけは、カジノ解禁を歓迎する有権者がいる一方、ギャンブルを忌み嫌う有権者も少なからずいることで、選挙への影響を恐れた各党が、揃って尻込みしていたからだ。

そんなカジノが、ここに来て本格的に検討されるのは、一にも二にも国の財政問題だ。日本はいま税収減に苦しみ、国家予算の不足分を巨額の赤字国債に頼る異常事態に陥っている。

さらに少子化による国内消費の落ち込み、社会の高齢化に伴う福祉予算の増加といった要因が加わり、国の財政はにっちもさっちも行かない状況まで追い込まれている。

そんな状況の打開策として、増税以外の手段として着目されたのがカジノによる税収と雇用拡大だ。

その動きを一気に後押ししたのが2020年東京五輪の誘致決定だ。

五輪は東京都のみならず国の一大イベント。その開催に合わせ、カジノをはじめとした複合的な施設を設置し、相乗効果を狙おうというのだ。

スポーツイベントとカジノは相性がよく、2010年バンクーバー五輪の際も、観戦した外国からの観光客が連れ立ってバンクーバーのカジノに行きゲームを楽しむ姿が見られた。

東京五輪はお台場を中心とした湾岸エリアに会場が設けられるが、その近くにカジノが設置されるなら、環境としてはバンクーバーに近いものとなり、相乗効果も期待できる。

実際、日本でカジノが解禁されれば、その収益は3箇所で年間100億ドル(約9900億円)、長期的には1000億ドル(約9兆9000億円)近くになる可能性があるという予想もあるほどです。

【出典:AFP 2013年06月11日】

日本でカジノ解禁に向けた動きが本格化、マカオに次ぐ規模になるとの予想も

証券大手CLSAはレポートで「カジノ法案が国会を通過すれば、その影響は極めて大きい」と分析。「法的に認められた賭博産業の規模で日本は世界有数となる可能性がある。おそらくマカオに次ぐ規模だ」と述べた。CLSAの試算によると、東京2か所と大阪1か所のカジノリゾート事業は合計で年間100億ドル(約9900億円)の収益を生むという。

米調査会社Galaviz & Coのジョナサン・ガラビズ(Jonathan Galaviz)氏は、全国にホテルやショッピングセンター、エンターテインメント施設を併設するカジノリゾートが全国各地で開業すれば、収益は大きく伸びると述べ、カジノ産業の規模は「制約を受けずに成長できるとしたら、長期的には1000億ドル(約9兆9000億円)近くになる」可能性があるという予想を示した。

賭博産業は過去数十年にわたりアジア全域で急成長してきた。シンガポールにある2か所のカジノリゾートは紛れもない成功を収めており、2012年は合計で約53億ドル(約5200億円)の収益を上げた。

旧ポルトガル領マカオは今や世界最大のカジノ都市。主に、大金を賭ける中国人VIPの投資を支えに、米ラスベガス・ストリップ(Las Vegas Strip)の6倍以上の収益を生み出している。12年の収益は、中国の経済成長が鈍化した影響で前の年から伸びが鈍化したものの、過去最高の380億ドル(約3兆8000億円)を記録した。フィリピンとベトナムも巨大リゾート施設建設でアジア地域の市場シェア獲得をもくろんでいる。

一方、カジノ解禁に依る負の面も忘れてはなりません。

カジノ解禁では、反社会的勢力の資金源や資金洗浄の温床になる懸念もある上、ギャンブルを繰り返す依存症対策もどのようにするのか問題があります。

【出典:2014/7/26 2:00 情報元 日本経済新聞】

カジノ、治安・依存症対策が前提

政府は議員立法の成立を前提にカジノ整備に着手したが、議員立法が成立した後も課題は残る。

日本の刑法が競馬、競輪など公営ギャンブルを除き、賭博行為を認めていないのは、社会的な弊害が大きいためでもある。カジノ法案では政府が指定する地域に限り、民設民営のカジノを認める。法務省などは、治安悪化などの弊害を除去しきれるかどうか懸念しているという。政府が法案成立後に固める制度設計が重要になる。

カジノでは莫大なお金が動く。その分だけ反社会的勢力の資金源になったり、資金洗浄の温床になったりしないように厳しい監視が必要になる。

テロ資金対策などを手掛ける国際機関の金融活動作業部会(FATF)は6月、日本の資金洗浄への対策が不十分とする異例の声明を出した。国際基準に沿った不正資金への対策が整うことがカジノ解禁の大前提だ。

議員立法では、治安対策や不正防止の中核組織として、内閣府に「カジノ管理委員会」を置くことになっている。100人規模で監視にあたる海外の事例を参考にしたものだが、カジノに精通した人材をどこからどれだけ集められるのか実効性に不透明な面が残る。

ギャンブルを繰り返す依存症対策も不可欠だ。日本人に限り入場料をとるのは対策の一つだが、常習者への心理カウンセリングの充実なども求められる。日本は賭博をする人のうち1割近くが常習性があり、2%前後の主要国よりも高いとの調査もある。

以上のように、賛否両論があるのがカジノ解禁問題です。

では、今後カジノ解禁に向けて、賛成・反対の両方から議論をしていきたいと思います。

ひとりディベート:カジノ解禁賛成派の論理

まず、カジノ解禁賛成派の論理を取り上げてみたいと思います。

カジノ解禁には、次の3つのメリットが有ります。

メリット1:経済効果

メリットの第一は、カジノがもたらす大きな経済効果です。

大阪商業大学の佐和良作教授の試算によると、カジノの経済波及効果は、何と、最大で約7兆7000億円にも及び、雇用が49万1863人~78万7204人増加するというのです。

【出典:ZAKZAK 2013.09.18】

大阪商業大学の佐和良作教授らの「カジノ開設の経済効果」という論集では、日本でカジノが開設された場合、市場規模は2兆1517億円~3兆4438億円、経済波及効果は4兆7873億円~7兆6619億円、誘発雇用人員は49万1863人~78万7204人と計算している。

また、米調査会社Galaviz & Coも、同様に、長期的には約9兆9000億円との経済波及効果を予想を発表しているのです。

【出典:AFP 2013年06月11日】

日本でカジノ解禁に向けた動きが本格化、マカオに次ぐ規模になるとの予想も

米調査会社Galaviz & Coのジョナサン・ガラビズ(Jonathan Galaviz)氏は、全国にホテルやショッピングセンター、エンターテインメント施設を併設するカジノリゾートが全国各地で開業すれば、収益は大きく伸びると述べ、カジノ産業の規模は「制約を受けずに成長できるとしたら、長期的には1000億ドル(約9兆9000億円)近くになる」可能性があるという予想を示した。

一方、シティバンクグループのシティリサーチでは、東京、大阪、沖縄にカジノができた場合、収益は1兆3300億円~1兆4900億円と予想、税収は東京都は3.4%、大阪府は9.0%、沖縄県は16.8%増えると見込んでおります。

【出典:J-CAST 2013/11/13 19:07】

2020年「お台場カジノ」実現に動く フジテレビの運営参加が噂される

シティバンクグループのシティリサーチが13年8月に発表した試算によると、東京、大阪、沖縄にカジノができた場合、134億~150億ドル(1兆3300億円~1兆4900億円)の収入がもたらされる。シンガポールを抜いてアジアではマカオに次いで2番目に大きい規模だ。ホテルやショッピングの売り上げも考慮すると、さらに経済効果は大きくなる。

猪瀬知事が言うように、地方自治体の税収増にもつながる。同じ試算では、東京都は3.4%、大阪府は9.0%、沖縄県は16.8%税収が増えると見込んでいる。

しかも、膨張するアジアの富裕層を考えると、その成功確率は非常に高いのです。

1999年にイギリスから中国に返還されたマカオが、カジノを国際入札によって開放してから、2011年にはカジノ収入約2兆6000億円に達したのです。シンガポールも、2010年に巨大カジノをオープンさせたのですが、シンガポールのラスベガス・サンズは2010年に600億円ほどの利益を上げたほどです。

出典:日経BPオンライン 2013年11月13日

カジノ解禁に向けて動きが本格化、社会問題と経済効果のバランスをどうとるか

1999年にイギリスから中国に返還されたマカオ(特別行政区)。それまで地元企業に独占されていたカジノの経営権を国際入札によって開放し、香港や米国企業がマカオでのカジノ運営に大規模に参入した。現在、40以上の大規模カジノ施設があり、マカオは巨大リゾート都市に変貌した。
(中略)
マカオのカジノ収入は世界一だ。2011年に前年比42%増の約2兆6000億円に達している。1人当たりの国内総生産(GDP)は5万8000ドル。日本の4万6000ドル、米国の4万8000ドルを上回り、マカオ経済は先進国以上に発展したといわれる。

こうしたマカオの成功を目の当たりにして、長年ギャンブルを禁止していたシンガポールも、2010年に巨大カジノをオープンさせた。シンガポールでカジノを経営する米国のラスベガス・サンズは2010年に600億円ほどの利益を上げたとされる。

メリット2:地方の活性化

次に、メリットの第二は、国外からの新規観光客を呼び込め、特に地方の活性化につながることです。

ゴールドマン・サックス証券の杉山賢さんによれば、カジノ解禁を「日本を訪れる海外客を増やすためですよ。単純なギャンブル振興策ではありません」と明確に指摘しています。

【出典:日本経済新聞 2013/12/7】

「カジノをつくるメリットは何かな」。章司の疑問にゴールドマン・サックス証券の杉山賢さん(25)が答えた。「日本を訪れる海外客を増やすためですよ。単純なギャンブル振興策ではありません」

政府は日本を訪れる海外客を20年までに2千万人に増やす目標を掲げる。集客の目玉としてカジノを併設した「統合型リゾート(IR)」計画も浮上。この施設には「MICE(マイス)」と呼ばれる国際会議や学会、展示会などを開ける大型施設、ホテルや劇場、ショッピングモールを集める計画なのだそうだ。

施設を新設すれば建設投資が促されるほか、観光消費が活発になり、雇用や税収も生まれる。国内各地で新たな地域振興策としてカジノ誘致への期待が高まっている。

このカジノ誘致に熱心なのが、靜岡県熱海市や北海道の小樽市、苫小牧市、釧路市,長崎県佐世保市です。

【出典:ロイター 2013年 11月 28日】

アングル:地方から相次ぐカジノ誘致、観光への波及期待

その一方、地方からのアピールも相次いで出てきている。その1つが、1960─70年代に温泉で集客力を発揮した静岡県熱海市。

「日本の人口がどんどん減っている中で、これから観光地では海外のお客様とどう取り組むかが非常に大切になる。温泉と日本食とフジヤマゲイシャだけでは駄目で、やはりそこに外国人における文化的な要素の高いカジノという要素を入れることで外国人からも人気の観光地にするができる」と、熱海・カジノ誘致協議会の森田金清氏は力説する。

北海道もカジノの誘致に熱心だ。小樽市、苫小牧市、釧路市が候補地として積極的に活動している。

米カジノホテルチェーン、シーザーズ・エンターテインメントの国際部長、スティーブン・タイト氏は、大都市から北海道の山間の温泉地まで、日本中どこにでもカジノホテルを運営することができると話す。そのシーザーズの幹部がすでに釧路市を訪問。カジノ建設の可能性を探った。
(中略)
オーストリアを拠点とするカジノ・オーストリアは、小樽などでのカジノ運営に興味を示している。小樽市には年間700万人の観光客が訪れるが、ほとんどが日帰りだ。小樽市の中松義治市長は、カジノが誘致されれば観光客は宿泊も兼ねるようになり、彼らが小樽市に落とすカネも、大幅に増えるだろうと期待する。小樽市の人口の約三割が65歳以上と、北海道の中でも高齢化比率は高い。カジノが観光を盛り上げてくれれば街の活性化につながると、同市長はみている。
(中略)
今や九州を代表する観光地となったハウステンボスは、すでにエンターテーメント施設やホテル、レストランなどがそろっている。土地の買収からIRの建設をするより、低いコストで複合施設を完成させることができることを強みとして、市や商工会議所が一枚岩となり誘致をアピールしている。統合型リゾート建設に向けて活動する西九州統合型リゾート研究会には、長崎県の中村法道知事も特別顧問として参画している。

メリット3:カジノ消費の国内シフト

最後に、メリットの第三は、国外へ流れるカジノ消費を、国内にシフトすることができることです。

カジノというのは、実は一般の人で成り立っているのでは有りません。お客の2割程度の、VIP顧客と言われる常連さんによって、経営が成り立っているのです。

【出典:世界のカジノ事情【2】ラスベガスの超VIP顧客対応システムとは?】

―では、カジノにちょっと興味があって来たというくらいの一般客と、VIPのような常連さんは、各カジノではどのくらいの割合なのでしょうか。
「マカオカジノの売上で考えると、総売上の60%以上はVIP顧客からもたらされています。顧客比率に関しては正確な統計データはありませんし、また国ごとに違いはありますが、経験値でいえば人数は一般客:純粋なカジノ客=8:2くらいで、2割の本当のカジノ客が、カジノの運営を支えているのではないでしょうか。カジノ側は、2割の本当の顧客を大切にするために、コンプのようなサービスを行っているのです。」

ここで分かることは、カジノが成功するか否かは、このVIPをいかに掴むかということに依るわけです。

では、日本にはどれほどのVIPがいるのでしょうか?

具合的な統計は無いのですが、マカオにカジノが出来てから、日本の観光客が200万人になったことから、少なからず日本では200万人程度が日本にカジノが無いがゆえに、海外に出かけてしまっていると考えることができると思います。

【出典:日経BPオンライン 2013年11月13日】

カジノ解禁に向けて動きが本格化、社会問題と経済効果のバランスをどうとるか

1999年にイギリスから中国に返還されたマカオ(特別行政区)。それまで地元企業に独占されていたカジノの経営権を国際入札によって開放し、香港や米国企業がマカオでのカジノ運営に大規模に参入した。現在、40以上の大規模カジノ施設があり、マカオは巨大リゾート都市に変貌した。

2000年に年間800万人だった観光客の数は、カジノ開放後に大幅に増加し、2012年には2800万人に達した。その内訳は、中国から1500万人、香港から1100万人、そして日本からの直行便を含む空路経由の入国が200万人という。

日本でカジノが解説されれば、海外に流出している200万人にも及ぶ日本人カジノ客を日本にとどめておくことができるのです。

以上、カジノ解禁に依るメリットを考えてみました。

ひとりディベート:カジノ解禁反対派の論理

次に、カジノ解禁反対派の議論を取り上げてみたいと思います。

反対側は、次の3点をカジノ解禁の主な反対理由としております。

1 ギャンブル依存症の増加
2 依存症対策の費用で差し引きマイナスになる可能性
3 暴力団などの資金源・マネーロンダリングの可能性

デメリット1:ギャンブル依存症の増加

まず始めに、ギャンブル依存症の増加の問題について考えてみましょう。

実は、日本においてギャンブル依存症は身近な問題なのです。日本では、なんと成人男性の9.6%がギャンブル依存症と言われております。

実際、厚生労働省が公表した調査では、ギャンブル依存症の生涯有病率は、欧米ではほぼ1%前後に対して、日本のギャンブル依存症は男性 9.6% 女性 1.6%と非常に高いのです。

出典:第2回依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会 資料

病的賭博(ギャンブル依存症)について 田辺等(北海道立精神保健福祉センター)
病的ギャンブリングと併存する精神障害の国内外の比較について(生涯有病率)

(筆者が分かりやすく必要部分のみ引用)
アメリカ 1.4%     1988
カナダ  1.3%    2001
イギリス 0.8%    2000
スペイン 1.7%    1996
スイス  0.8%    2000
スウェーデン 1.2%  2006
ノルウェー  0.3%  2006
フィンランド 1.5%  2006
オーストラリア 2.1% 1999
ニュージーランド 1.0%  2000
日本 男性 9.6% 女性 1.6%(ギャンブル依存症)2008

即ち、カジノを解禁すれば、カジノ解禁でギャンブル依存症患者が増加することは避けられないのです。

出典:Bloomberg 2014/6/24

回り始めたルーレット、カジノ解禁期待する推進派-反対論も

厚生労働省が公表した調査によると、成人男性の9.6%がパチンコなどギャンブル依存だという。女性は1.6%。日弁連の意見書では、カジノ解禁でギャンブル依存症患者が「増加することは避けられない」と指摘している。

日本共産党の大門参院議員は、多重債務問題に取り組んできた経験から、カジノ解禁に対して警鐘を鳴らしています。

出典:The Page 2013.10.06

カジノ解禁に反対する理由「ギャンブル依存症を増やす」/共産・大門参院議員

僕はずっとサラ金問題に取り組んできました。サラ金被害とは、つまり「多重債務」の問題です。もちろんすべての人が多重債務に落ち込んでいくわけではありませんが。

多重債務に落ち込む原因として、一番多いのが「生活困窮」。そして、次に多い理由が「ギャンブル依存症」だといわれていて、これは全体の約2割を占めます。依存症の原因は主にパチンコです。パチンコは今の日本の法的にはギャンブルではありませんが、一晩で10万円負ける、など射幸性が強いのが問題です。

そして、そのパチンコメーカー、ゲーム機器メーカーが、次に狙っているのがカジノだといいます。もしカジノが解禁されたら、多重債務どころの話ではありません。一晩二晩で工場を失う、なんてことも起こりかねない。とてもひどいギャンブル被害が起こる恐れがあります。僕は、多重債務で苦しむ人を実際にたくさん見てきました。だからカジノは解禁するべきではないのです。

実際、大王製紙の前会長の井川意高氏は、海外のカジノにのめり込み、子会社から総額106億8000万円の資金を借り入れ、逮捕されたことを覚えている方も多いかと思います。

出典:Bloomberg 2014/6/24

回り始めたルーレット、カジノ解禁期待する推進派-反対論も

大王製紙の前会長、井川意高氏は、自分が徐々に海外のカジノにのめり込み、子会社から総額106億8000万円の資金を借り入れ、特別背任で逮捕されるまでの経緯を著書「熔ける」(双葉社)で明らかにした。

同書によると、井川氏は休みを利用した友人とのオーストラリア家族旅行で初めてカジノを経験。100万円の元手が2000万円になるまで勝ったという。「この大きすぎたビギナーズ・ラックが、私をカジノのおそるべき底なし沼へ引きずりこんでいくことになる」と回想している。そのうち週末を利用してマカオやシンガポールに通うようになり、20億円の賭け金をテーブルに積んだこともあったという。

デメリット2:依存症対策の費用で差し引きマイナス

第2の問題として、依存症対策の費用を考えると差し引きマイナスになる可能性もあるのです。

読売新聞は社説で、依存症者対策の社会的なコストの大きさを考える必要があると指摘をしています。

出典:読売新聞 2014年06月19日

社説:カジノ解禁法案 娯楽の「負の側面」も勘案せよ

中国・マカオ、シンガポール、韓国など海外のカジノでは、ギャンブル依存症者の増大が社会問題となっている。自国民の入場制限や入場料の徴収、カウンセリングなどの対策を講じているが、解決の決め手にはなっていない。

日本でも、競馬、競輪などの公営ギャンブルやパチンコで多重債務に陥る人が少なくない。日本のギャンブル依存症者の割合は諸外国より高いとの統計もある。この傾向に拍車をかけないか。

依存症者対策の社会的なコストの大きさを考える必要がある。

実際、韓国では、ギャンブルの売上高が2009年16.5兆ウォン(約1.65兆円)に対し、社会・経済経費は78兆ウォン(約7.8兆円)に上るとし、差し引き60兆ウォンの負の効果との研究結果が公表されているのです。

出典:カジノ推進法案の問題点

新里宏二さん(弁護士・全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会代表)

同法案では、「民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与する」等とされている。

2000年から自国民向けカジノを解禁した韓国の「江原ランド」のある地域では犯罪率が急増し、自殺率も全国平均の1.8倍になったとの報告もなされている。韓国全体でのギャンブル産業の売上高が2009年16.5兆ウォン(約1.65兆円)に対し、社会・経済経費は78兆ウォン(約7.8兆円)に上るとし、差し引き60兆ウォンの負の効果との研究結果が公表されている(韓国「射幸産業統合監視委員会」ホームページ)。

ギャンブル中毒に伴う社会的コストは総額で年間78兆ウォン(7.8兆円)が現実的な数字とすれば、日本でもカジノ賛成派の言う経済効果を超える負の社会的コストが発生することになるのです。

デメリット3:暴力団などの資金源・マネーロンダリング

第3の問題として、暴力団などの資金源・マネーロンダリングの可能性があります。

カジノ解禁に向け検討が進む中、テロ資金対策などを手掛ける国際機関の金融活動作業部会(FATF)は今年6月に日本の資金洗浄への対策が不十分とする異例の声明を出したのです。

出典:2014/7/26 日本経済新聞

カジノ、治安・依存症対策が前提

カジノでは莫大なお金が動く。その分だけ反社会的勢力の資金源になったり、資金洗浄の温床になったりしないように厳しい監視が必要になる。

テロ資金対策などを手掛ける国際機関の金融活動作業部会(FATF)は6月、日本の資金洗浄への対策が不十分とする異例の声明を出した。国際基準に沿った不正資金への対策が整うことがカジノ解禁の大前提だ。

議員立法では、治安対策や不正防止の中核組織として、内閣府に「カジノ管理委員会」を置くことになっている。100人規模で監視にあたる海外の事例を参考にしたものだが、カジノに精通した人材をどこからどれだけ集められるのか実効性に不透明な面が残る。

国際機関が懸念するテロ資金対策だけでなく、日本では暴力団などの反社会的勢力の問題もあるのです。

出典:[朝日新聞] カジノ解禁?―危うい賭けには反対だ (2014年06月23日)

カジノ解禁への議論が動き出した。

安倍政権が成長戦略の素案で「検討する」とうたったのに続き、自民、維新、生活の3党による法案が衆議院で審議され、次の国会へ引き継がれた。
結論を先に言いたい。カジノ解禁には反対だ。利点より弊害のほうが大きいと考える。
まず、不正な資金の洗浄(マネーロンダリング)に使われる懸念である。暴力団など国内外の反社会的勢力に利用されることを防げるのか。

こうした、不正な資金の洗浄を防止できるのか、大きな疑問があるのです。

今回は、カジノ解禁反対の立場で、3つのデメリットを考えてみました。

ひとりディベート:カジノ解禁賛成派から反対派への反駁

カジノ解禁賛成派としては、反対派の論理を反駁する必要があります。

ここで、反駁とはディベートで反対の論証をするということです。

カジノ解禁賛成派は、次の3つの論点で反駁します。

反駁1:カジノ解禁はギャンブル依存症が増加させる訳でもなく、依存症はコストではない

始めに認識すべきなのは、「ギャンブルが無くなれば依存症が無くなる」などという主張は問題の本質を正確に掴んでないことです。

木曽 崇 国際カジノ研究所・所長は、ギャンブル依存症は別段カジノ解禁で生まれるわけではなく、カジノがなくともパチンコなどでギャンブル依存症を発病すると指摘をしています。

なお、木曽 崇氏は、ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)しており、日本で数少ないカジノ経営に関する第一人者です。

出典:木曽 崇 国際カジノ研究所・所長 2014年8月19日
カジノ合法化で新たな依存症は生まれない

1)カジノは依存症発生の原因ではない
糸数慶子氏も福島みずほ氏も「カジノが出来ると依存症が増える」と主張をするわけですが、依存症発生の原因というものを勘違いされているような気がします。依存症の発生に置いて、「ギャンブルにハマル」ことはあくまで病気の「結果」であって、「原因」ではないですよ。

これは依存の対象物をお酒に置き換えてみると判り易いと思います。誰かがアルコール依存になったとして、その原因は「そこに酒があったから」なのでしょうか? それとも、お酒に逃げなければならない何らかの事情があったからなのでしょうか?
(中略)
それと同様に、ギャンブルに依存する人の話を良く聞いてみると、定年退職後の自分の居場所がない、子育てで行き詰まっているがその相談の先がなかったなど、依存症になる人達はそれぞれそこに至るまでの何らかの要因を持っているのですね。依存症の発生を抑えるためには、このような社会の中にある様々な負の要因を解消する事、もしくは困った時に相談に駆け込める先を作る事が重要なのであって、「ギャンブルが無くなれば依存症が無くなる」などという主張は問題の本質を正確に掴んでない、全く間違ったアプローチであるといえます。
(中略)
糸数氏も福島氏も、「推進派はカジノ導入による経済効果を煽るが、依存症の発生など社会コストの方が大きい」という論調を取るわけですが、全段の前提に基づくと「はたして依存症の発生をカジノ導入により発生するコスト」として数えて良いのかどうかに関して疑問が出てきます。

繰り返しになりますが、カジノは依存症発生の原因ではありません。すなわち、世の中で不幸にも何かに依存しなければならない状況にある人達は、カジノがある/なしに関わらず、すでに何らかの問題を抱えているといえます。カジノがなければパチンコへ、パチンコがなければ競馬・競艇へと、その依存の対象は容易に移行します。もっといえば、ギャンブルが身近になければ、アルコールへ、アルコールが身近になければ薬物へという形で、依存の「出口」を求めて対象を変えてゆく。このような症状は、精神医療の世界でクロスアディクト(複合依存)などと呼ばれています。

すなわち、カジノが出来る/出来ないに関わらず、依存症は発生し、すでに社会コストとして存在しているわけですから、依存症発生をカジノ導入によって生まれるコストとして数えること自体が間違いとなります。

反ギャンブルの立場にいる人達は、依存症の原因をギャンブルの存在そのものに求め、ギャンブルさえなければ社会は幸せになるというスタンスを取りがちですが、それは大きな間違いです。繰り返しになりますが、依存症というものは人の中に内在する様々な負の要因が折り重なり、依存対象物に「逃げ場」を求めることで発現するわけで、個別の依存対象物を排除したところで問題は何も解決しません。

以上から、カジノ解禁と依存症は別の問題であり、依存症はカジノ解禁のコストではないことが、理解できるかと思います。

反駁2:カジノ合法化は日本のギャンブル行政そのものの改善

All About「カジノ合法化についての大きな誤解」によれば、カジノを合法化すると、ギャンブル関係の法律が全体的に整備され、事業者にはギャンブル依存症対策も義務づけられる為、カジノの合法化とは、単にカジノを解禁するのではなく、日本のギャンブル行政を根本から整備し、問題に対応する制度を作るものであるとしています。

即ち、カジノを合法化することで、事実上放置されているギャンブル依存症対策に、はじめて法的な手が加えられることとなるのです。

実際、2010年当時、日本にはパチンコ店が12,479店舗あり、その売上は19兆3800億円にも及ぶのです。

また、日本におけるギャンブル市場(パチンコを含める)は、24兆8408億円あり、パチンコはその78%を占めているのです。

即ち、法律上ギャンブルとは分類されていないパチンコは日本のギャンブル市場の78%を占め、パチンコ依存症が日本のギャンブル依存症の実態といえるのですが、パチンコはギャンブルと定義されていないがゆえに、この実態が曖昧なままに放置されているのが実情です。

つまり、カジノ解禁をすることが、依存症ビジネスに正しく向き合うきっかけになる訳です。

反駁3 カジノ解禁により、マネーロンダリングや闇社会への資金は逆に根絶される

カジノは禁止されているにも関わらず、摘発報道から考えてもカジノは「違法」状態で日本に存在しているのです。米国の禁酒法時代を顧みれば、禁止をすることでカジノが闇の資金源になってしまうことになるのです。

つまり、カジノを解禁して管理が行き届く状態にすることで、闇社会への資金は逆に根絶されることになるのです。

「日本を除く世界約140カ国がカジノを合法化した大きな理由がまさにそれである。」と指摘するのが、作家であり貴社でもある、松井 政就氏です。

出典:All About カジノ合法化についての大きな誤解 松井 政就 2014年07月01日

あまり知られていないことだが、日本にはすでに数多くのカジノが存在する。ただしそれらはすべて「違法カジノ」。当然のことながら売り上げは闇に流れていく。

4月10日の朝日新聞でも報じられたが、ガーナの駐日大使名義で貸借された渋谷のビルで違法な裏カジノが運営されているのが明るみに出た。

だがこれも氷山の一角に過ぎず、首都近郊だけで数百軒の裏カジノがあると噂されている。だがそれは、遊びたい客がそれだけいるという証拠でもあり、このままでは闇への資金流出は止まらない。どうすればいいのか。

アメリカにはかつて「禁酒法」によりアルコール飲料の販売が禁止された時代がある。ではその時、アメリカ国民がアルコール飲料を飲めなかったかといえば全くそうではない。マフィアから買っていたからである。

国がアルコール類の販売を禁止したことで、そのビジネスがそっくりそのままマフィアの手に渡ったのだ。
(中略)
裏社会の人間にとって、人の欲望を禁止する法律ほど金の成る木はない。

カジノも同じで、その禁止を解くことで、ようやく闇社会への資金流出を断ち切ることができる。日本を除く世界約140カ国がカジノを合法化した大きな理由がまさにそれである。

では、カジノが非合法の日本はどのような状況なのでしょうか?

経済評論家の池田信夫氏は、「今はパチンコは「遊戯」ということになっているが、それがギャンブルであることは公然の秘密」だとし、「パチンコ業界が北朝鮮や暴力団の資金源になっている」ことが問題だと指摘をしています。

出典:Newsweek 2014年07月02日

「パチンコ税」を創設し、ギャンブルを合法化せよ

パチンコの産業規模は、2012年で約19兆円(日本生産性本部調べ)。通信業界とほぼ同じ巨大産業である。これに1%課税するだけで、1900億円の税収が上がる。今はパチンコは「遊戯」ということになっているが、それがギャンブルであることは公然の秘密だ。東京では「T.U.C.」という看板の店にパチンコ屋の景品をもっていくと、換金してくれる。
(中略)
特に問題が大きいのは、パチンコ業界が北朝鮮や暴力団の資金源になっていることだ。警察がそれを見逃す代わりに天下りしているとすれば、パチンコ業界だけの問題ではない。
(中略)
ギャンブルがよくないのは、売春と同じく非合法化されるために「地下経済」の資金源になるからだ。

「ギャンブルを合法化すると子供の教育によくない」という人もいるが、競輪・競馬が合法なのに、なぜパチンコやカジノが違法なのか、説明できる親がいるだろうか。

すなわち、カジノを禁止されている現状は、返ってカジノは闇社会の資金源となって現状があるわけで、カジノ解禁をすることで公的に管理すれば、闇社会の資金源を絶ちマネーロンダリングを防止することが可能となるわけなのです。

以上、今回はカジノ解禁賛成派の立場で、反対派の議論に対して反駁をしました。

ひとりディベート:カジノ解禁反対派から賛成派への反駁

カジノ解禁反対派としては、賛成派の論理を反駁する必要があります。

ここで、反駁とはディベートで反対の論証をするということです。

カジノ解禁反対派は、次の3つの論点で反駁します。

反駁1:カジノ解禁賛成側はギャンブル依存症の対策は十分だとしているが、依存症対策は簡単なものでは無い

精神科医の和田秀樹は「依存症に対する日本人の認識は甘すぎる」と指摘をし、「日本人は依存症に対して、外国と比べて非常に危険」と警鐘を鳴らしているのです。

出典:nikkei BPnet  2013年8月22日

依存症に対する日本人の認識は甘すぎる

さまざまな推計値でいくと、アルコール依存症は約230万人、ギャンブル依存症は560万人、インターネット依存症は270万人、ニコチン依存症1534万人、そのほか、ゲーム依存とか、処方される睡眠薬や安定剤などの薬物依存、買い物依存、セックス依存など、なんらかの形で依存症の人をすべて合わせると、優に3000万人に達するとされる。
(中略)
要するに、日本人は依存症に対して、外国と比べて非常に危険な状態になっているのである。

また、「依存症問題対策全国会議」事務局長の吉田哲也弁護士は「発症させないということが病気の対策であるべきなのに、依存症を発生させておいてから、入店を禁止するとか、そこでの利益を治療に使うという発想自体」が間違っていると指摘をしています。

出典:ロイター 2014年 05月 7日

ヤフーニュース焦点:大阪カジノ構想に影落とす地元政界の混乱とギャンブル依存症

「大阪にカジノはいりまへん」。4月6日、大阪市内で市民団が開いたカジノ誘致の反対集会で、参加者はこう書いたチラシを手に、学識経験者らの講演に耳を傾けた。

集会の運営には、多重債務問題を生み出すギャンブル依存症などの問題に取り組む「依存症問題対策全国会議」も参画した。事務局長を務める吉田哲也弁護士(兵庫県弁護士会)は「発症させないということが病気の対策であるべきなのに、(ギャンブル)依存症を発生させておいてから、(事業者が)入店を禁止するとか、そこでの利益を治療に使うという発想自体が道徳的に間違っている」と話す。

石川 公彌子氏によれば、社会人がギャンブル依存症になると、「ギャンブル資金調達のため、使い込みや横領、経費の水増し請求、社員間借金等金銭トラブルなどが起こる可能性が高まる」というのです。

出典:アゴラ2014年08月07日

ギャンブル依存症への理解と支援のために(2)〜 病との認識を – 石川 公彌子

社会人の場合は、問題はさらに深刻となる。ギャンブルが関心の大半を占めるようになり、労働意欲やモラル、作業効率は大幅に低下する。抑うつ状態やうつ病に至ると、長期休職が必要になりうる。さらにギャンブル資金調達のため、使い込みや横領、経費の水増し請求、社員間借金等金銭トラブルなどが起こる可能性が高まる。

これらが原因となった社員の暴力事件など、企業の信用失墜行為がなされることもありうる。ギャンブル依存症者が既婚者や子持ちであった場合は、家族に与える影響はより大きなものとなる。ギャンブル依存症が社会にもたらす経済的損失は、かくも大きいのである。

反駁2:暴力団が直接関与しなくてもカジノは資金源になる

カジノ解禁賛成派は、カジノでは暴力団などの関与は排除されるとしていますが、実は暴力団が直接関与しなくてもカジノが資金源になってしまう危険性があるのです。

出典:日弁連 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する意見書 2014年(平成26年)5月9日

(2) 暴力団対策上の問題
(中略)
この点,カジノ営業を行う事業主体からは暴力団を排除するための制度が整備されるとのことであるが,事業主体として参入し得なくても,事業主体に対する出資や従業員の送り込み,事業主体からの委託先・下請への参入等は十分可能である。

カジノ利用者をターゲットとしたヤミ金融,カジノ利用を制限された者を対象とした闇カジノの運営,いわゆる「ジャンケット」(VIP顧客をカジノに送客し,カジノ事業者からコミッションを得る者)を典型とする,顧客とカジノとの間の「媒介者」としての関与等,周辺領域での資金獲得活動に参入することも可能である。

しかも,これら資金獲得活動を行うに際しては,暴力団員が直接関与する必要がなく,その周辺者,共生者,元暴力団員等を通じて関与することが十分可能であり,これら業務を通じて獲得した資金が暴力団の有力な資金源となり得る。近時,暴力団による金員の要求は巧妙化し,支払いの態様は多様化しており(広告料,会費,飲料品の対価名目等,その支払形態は様々である。),その支払事実を捕捉することは必ずしも容易ではない。

実際、マカオとシンガポールでは売上が伸び悩む時期に、借金を取り立てる役割もある「ジャンケット」にVIP客斡旋を認めているのです。

出典:出井康博2013年10月31日

「お台場カジノ解禁」で吹き出す「危ない話」――シンガポールを訪ねて

そうしたVIP客を斡旋しているのが「ジャンケット」と呼ばれる仲介業者だ。前回のマカオ・ルポでも触れたが、ジャンケットは犯罪組織と関係が強く、非合法の金をカジノでマネーロンダリングする手助けも担っている。セント・ジョセフ大学(マカオ)のエミリー・トラン教授が言う。

「ジャンケットはマカオで始まった特有のシステムです。彼らは(ポルトガル統治下にあった)何十年も前から存在し、中国本土の客をマカオに連れてきていた。2002年にカジノの経営権が外資系企業にも認められた直後には、米国資本はジャンケットを嫌い、使っていなかったのです、しかし、全くVIP客が集まらず、やがて頼った。それ以降、ジャンケットのビジネスは急拡大していったのです。現在、マカオのカジノを訪れるVIP客の約半数がジャンケット経由と見られています」

シンガポール政府もジャンケットを排除したかったのか、カジノ解禁からしばらくは存在を認めていなかった。しかし、カジノの収入が伸び悩み始めた2012年、2社に対して免許を発行している。

その背景には、止むにやまれる事情もある。ホテルからカジノで信用枠を与えられて遊んだ末、負けを踏み倒して国外へと逃げてしまうVIP客が続出しているのだ。「ロイター」(2013年4月10日)によれば、25万シンガポールドル(約2000万円)以上の借金(カジノ以外での負債を含む)を踏み倒されてホテル側が裁判所に訴えたケースは、MBSだけで昨年1年間に62件にも上った。ただし、シンガポールではカジノでの借金踏み倒しは刑事事件として扱われず、被告が逮捕されることもない。

こうした問題も、ジャンケットと手を組めば解決できる。ジャンケットにはVIP客をカジノに紹介する一方で、借金を取り立てる役割もある。

以上で、カジノが解禁されれば、暴力団などの直接関与を排除できたとしても、否応なしに様々な形で資金が闇の世界に流れてしまうことが理解できたかと思います。

反駁3:カジノはマネーロンダリングに利用されるおそれが高い

カジノ解禁賛成派は、カジノ解禁で返ってマネーロンダリングが防止されるとしていますが、マネーロンダリング対策・テロ資金供与対策の政府間会合であるFATFでは、カジノ事業者はマネーロンダリングに利用されるおそれの高い非金融業者として指定されているのです。

出典:日弁連 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する意見書 2014年(平成26年)5月9日
(3) マネーロンダリング対策上の問題
我が国も加盟している,マネーロンダリング対策・テロ資金供与対策の政府間会合であるFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)の勧告において,カジノ事業者はマネーロンダリングに利用されるおそれの高い非金融業者として指定されている。

海外メディアでは,中国の官僚等が関与した多額の資金や北朝鮮が武器及び麻薬輸出によって得た資金が,マカオのカジノを通してロンダリングされている疑いが報道されている。

我が国にカジノを設けた場合,仮にカジノ事業者に対して,犯罪による収益の移転の防止に関する法律に基づく,取引時確認,記録の作成・保存,疑わしい取引の届出を求めたとしても,こうしたマネーロンダリングを完全に防ぐことができるとは考えられない。

なお,IR議連においては,キャッシュレスシステムにより,カジノ場内での資金の流れを捕捉し,マネーロンダリングを抑止することを検討していると伝えられるが,果たしてカジノ場内での資金の流れを全て捕捉することが技術的に可能であるのか疑問である。

また,仮に資金の流れを捕捉できたとしても,資金源が犯罪資金であるか否かを直ちに判別することは困難である。

以上、今回はカジノ解禁反対派の立場で、賛成派の議論に対して反駁をしました。

 

カジノ法案可決後の最新事情は次から御覧ください。

カジノ法案可決後の最新事情

なお、行政に携わる地方自治体の方々と住民側として社会行政問題に関わる方々に対して、懸案問題に対して賛成と反対の両面から検討することで、問題の本質を掴み、内因性を理解することで、合理的で本質的な解決策を見出していくことを目指す、ディベート教室をご提案致します。

ディベート教室:地方自治体や住民代表向け

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