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新聞購読料に軽減税率適用:賛成ですか?反対ですか?

新聞購読料に軽減税率適用:賛成ですか?反対ですか?

問題の背景

昨年12月、政府は平成 29 年4月より消費税を10%に引き上げる際、軽減税率導入を閣議決定しました。

出典 総務省 平成 28 年度税制改正の大綱の概要(平成 27 年 12 月 24 日 閣議決定)
現下の経済情勢等を踏まえ、経済の好循環を確実なものとする観点から成長志向の
法人税改革等を行うとともに、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として消費税
の軽減税率制度を導入する。(中略)
○ 消費税の軽減税率制度の導入
・平成 29 年4月から軽減税率制度を導入。
・対象品目は、①酒類及び外食を除く飲食料品、②新聞の定期購読料
・軽減税率は8%(国分:6.24%、地方分:1.76%)

「消費税率引上げに伴う低所得者への配慮」として飲食料品に加えて適用項目となった新聞の定期購読料について、賛否を含めた議論が起こっております。

皆様は新聞購読料に軽減税率適用に、賛成ですか?反対ですか?

新聞購読料に軽減税率適用に賛成側の意見

始めに、日本新聞協会白石会長は、「公共財としての新聞の役割を認めた」として新聞購読料軽減税率適用を評価する談話を発表しております。

出典 一般社団法人日本新聞協会 白石興二郎・新聞協会会長談話 2016年12月16日
 与党の税制改正大綱は、週2回以上の発行で定期購読される新聞を軽減税率の対象とした。新聞は報道・言論によって民主主義を支えるとともに、国民に知識、教養を広く伝える役割を果たしている。このたびの与党合意は、公共財としての新聞の役割を認めたものであり、評価したい。私たちは、この措置に応え、民主主義、文化の発展のために今後も責務を果たしていく所存である。

さて、新聞各社は軽減税率適用が必要と主張しておりますが、一例として、新聞は「豊かな国民生活を維持するのに欠かせない公共」とする読売新聞社説を引用してみましょう。

出典 読売新聞社説 軽減税率 円滑導入で増税の備え万全に (2015年12月13日)
海外では、軽減税率を採用する大半の国が、食品と並んで新聞や出版物を対象にしている。
新聞と出版物は、民主主義の発展や活字文化の振興に貢献してきた。単なる消費財でなく、豊かな国民生活を維持するのに欠かせない公共財と言える。

また、日本新聞協会では、ウェブサイトにQ&Aを掲載して軽減税率必要性の説明をしております。

出典 一般社団法人日本新聞協会
こうした社会的役割を踏まえ、日本でも、新聞と出版物に軽減税率を適用すべきである。
Q:なぜ新聞に軽減税率が必要なのか?
A:ニュースや知識を得るための負担を減らすためだ。新聞界は購読料金に対して軽減税率を求めている。読者の負担を軽くすることは、活字文化の維持、普及にとって不可欠だと考えている。
Q:軽減税率という制度は外国にもあるのか?
A:欧米をはじめ先進諸国では、食料品などの生活必需品や活字媒体への税負担を減免する制度がある。
Q:新聞にも適用されているのか?
A:書籍、雑誌も含めて、活字文化は単なる消費財ではなく「思索のための食料」という考え方が欧州にはある。新聞をゼロ税率にしている国もイギリス、ベルギー、デンマーク、ノルウェーの4か国ある。欧州連合(EU)加盟国では、標準税率が20%を超える国がほとんどで、その多くが新聞に対する適用税率を10%以下にしている。

日本新聞労働組合も、新聞社経営側と歩調を合わせて、公共性を持つ報道活動と言論・表現の自由を守ることを使命とする立場から、知識への課税強化に反対しております。

出典 日本新聞労働組合連合(新聞労連) 2014年5月20日
 新聞労連は、日本の民主主義と地域・社会を発展させる役割を担う新聞労働者の団体として、高い公共性を持つ報道活動と言論・表現の自由を守ることを使命とする立場から、知識への課税強化に反対します。
 新聞は、世界を覆う課題から暮らしの身近な出来事まで、日々の膨大な情報を体系的・一覧的に整理し、誰でも手軽に読める形で迅速に持続的に社会へ届ける公共性の高いメディアです。インターネットやソーシャルメディアが普及した今日、社会全体における役割、存在感が相対的に縮小したとはいえ、使命の重さが変わったわけではありません。消費税率が2014年4月、5%から8%にアップし、さらなる引き上げも検討される中で、新聞がこれ以上、読者の手に届きにくくなる状況は回避しなければならないと考えます。

新聞購読料に軽減税率適用に反対側の意見

始めに、時事通信、日経新聞で9年間の記者経験を持つ自民党山下雄平参議員は「なぜ新聞だけなのか」と疑問を呈しています。

出典 山下雄平オフィシャルブログ2015年12月15日
きょう(12月15日)の自民党税制調査会で怒りを込めて、こう発言しました。
 元新聞記者だからこそ言いたいことがあります。消費税を10%に引き上げる際の軽減税率の対象について、食品とともに新聞が入っていますが、理屈が分かりません。新聞は「低所得者の日々の生活における必需品」であり、その購読料の負担は逆進的(低所得者に相対的に重い負担)だとの説明がありました。
 では軽減税率の対象となっていない電気やガス、水道は生活必需品ではないのでしょうか。衣類も布団も生きていくのに必要です。「新聞を通じて活字文化の保護をしなければならない」という意見もありますが、ではなぜ有料の新聞電子版は対象ではないのでしょうか。活字文化を持ち出すのであればノートや鉛筆、筆だって対象にした方がいいかもしれません。
 このように言い出したらキリがないから、いろんな意見があるかもしれないけれど食品だけを対象にすると政治決着したのだと認識しています。食品以外はすべて認められず、新聞の消費税だけが軽減されることに多くの国民の理解が得られるのでしょうか。
 これは新聞業界にとってもいいことではないはずです。「新聞は政治力を使って軽減税率をごり押しした」と批判されれば、新聞への信頼に傷がつきます。
日本新聞協会がいうように、新聞が国民の知る権利に寄与し、消費者の立場に立ち、民主主義社会の維持・発展や文化水準の向上に寄与してきたとしたら、近年発行部数が著しく減少しているのはなぜだろう。

実際、新聞発行部は2000年の5371万部から2014年には4536万部と、800万部以上減少しているのです。

出典 HUFFPOST山田肇東洋大学教授新聞に軽減税率を適用する必要はない2015年10月17日
2000年の新聞発行部数5371万部は、2014年には4536万部と、800万部以上減少している。電通の調べによれば、2014年の新聞広告収入は総額6057億円だが、2000年には1兆2474億円だったので、半減したことになる。
他のメディアとの競争に敗れたから、このように減少したことは明らかだ。NHK放送文化研究所が実施した『2010年国民生活時間調査』は、「新聞の主な読者層は60歳以上であるが,2005年に比べて若年層や中年層で行為者率は減少傾向にあり,これらの年代では”新聞離れ”がみられる。」と指摘した。東日本大震災直後の野村総合研究所の調査によれば、震災に関する情報提供で新聞を重視していた割合は36.3%に過ぎず、NHKテレビの80.5%を大きく下回った。また、新聞が提供した情報について、「信頼度が上昇した」と回答よりも、「低下した」という割合のほうが多かった

一方、森信茂樹中央大学法科大学院教授は、「安倍政権の政策批判はできなくなる」と警鐘を鳴らしております。

出典 なぜ新聞まで!?国民不在の消費税軽減税率 2015年12月17日
いずれにしても、これで読売をはじめとする新聞社は、安倍政権に大きな借りをつくった。
 これまでもそうだったが、彼らは以前にも増して安倍政権の政策批判はできなくなるであろう。「軽減税率の導入」と「安倍政権への配慮」は、だれが考えてもバーターということが明白だからだ。
 さらに言えば、書籍・雑誌の軽減税率適用が「引き続き検討」となった。政権にとっては、格好の書籍・雑誌の記事内容のけん制が可能になる。
 それにしても、社会保障費を削り、財政赤字を拡大し、自らの新聞に軽減税率を適用するという決定に対して、ごり押しをしたマスコミ人は本当に恥ずかしくはないのであろうか。「公益」と「私益」を混同した一部新聞社の横暴は、確実に読者離れを引き起こすと思われる。

以上、新聞購読率適用について、賛成・反対の意見を見てきました。

皆様は、賛成ですか?反対ですか?

なお、行政に携わる地方自治体の方々と住民側として社会行政問題に関わる方々に対して、懸案問題に対して賛成と反対の両面から検討することで、問題の本質を掴み、内因性を理解することで、合理的で本質的な解決策を見出していくことを目指す、ディベート教室をご提案致します。

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