ディベート解説 理論編
ディベート教育の考える理論編とは、ディベート思考を支える論理的背景を解説するものです。
ディベート思考を身につけるには、第一段階として、論証、推論法、三段論法、反駁、質疑などの理論を理解することが大切です。
では、簡単にディベートの理論を見てみましょう。
ディベートとは
ディベートは、ビジネスを遂行するに必要とされる論理的思考力、分析力、洞察力、質問力、問題解決力を身につける手法のひとつです。
一方、ディベートはよく言葉の格闘技とも言われますが、ここではディベートを情緒的にではなく、論理的に捉えて解説していこうと思います。
では始めに、皆様に質問です。是非とも紙に回答を書いてみて欲しいと思います。
いかがでしょうか?
議論と書いた方もいらっしゃるでしょうし、討論と書いた方もいらっしゃるかもしれません。
また、学生時代にESS(英語クラブ)などでディベートを実際に経験した方ならば、「ある論題に対して肯定と否定で討議すること」という意味を書かれた方もいらっしゃることでしょう。
残念ながら、私は皆様の回答を直接見ることはできませんが、恐らく、いろいろな定義が書かれたのではないかと思います。
ディベート的な発想からすると、こうした定義・意味を皆様がバラバラに持っていると、今後議論をすすめる中で、「私はそのようには考えていない」とか「それはディベートじゃないと思う」などと、様々な行き違いが発生するかもしれません。
こうした行き違いや誤解を未然に防ぎ、ここでのディベートの議論を効果的に有意義に進めていきたいと、私は考えております。
そこで、これから議論を進めるにあたり、読者の皆様と同じ理解をもつために、ここで定義をしてみたいと思います。
さて、「ディベート」は、いわば欧米から輸入された言葉であり概念ですので、ここは欧米で権威のある辞典を見てみましょう。
出典:Oxford Advance Learner’s Dictionary
1 a formal discussion of an issue at a public meeting or in a parliament. In a debate two or more speakers express opposing views and then there is often a vote on the issue
訳:公開の場や議会における問題についてのフォーマルな議論。ディベートにおいては、2者あるいはそれ以上の発言者が対立する見解を発言し、しばしば、その問題に対して投票が行われる
2 an argument or discussion expressing different opinions
訳:異なる意見を表明する議論やディスカッション
また、日本の辞典による定義も見てみましょう。
出典:三省堂提供「大辞林 第二版」
ディベート:特定のトピックに対し、肯定・否定の二組に分かれて行う討論。
ディベートには概ね2つの意味があることがわかります。
ひとつは「異なる意見を表明する議論やディスカッション」であり、これは、広い意味(広義)のディベートと、私としては考えております。
これに対して、「2者あるいはそれ以上の発言者が対立する見解を発言し、しばしば、その問題に対して投票が行われる」ディベートがあります。
議会などを除けば、日本では「特定のトピックに対し、肯定・否定の二組に分かれて行う討論」は教育ディベートとしてよく知られています。
後者を狭い意味(狭義)のディベートと、私としては考えております。
今後は、話題に応じて広義と狭義の2つの意味のディベートを取り上げていきたいと、私は考えております。
以上、ディベートの議論をしていくにあたって、まずは定義を確認しました。
ここでひとつディベートを学んでいく上でのヒントをお話したいと思います。
それは、重要な言葉や概念は定義をしてから、議論をスタートするということです。
これは、定義をすることで、全員が同じ意味を前提にして、議論をしたり理解したりできるからです。
ちょっと面倒かもしれませんが、これはより良い結論を導くためには、とても重要で、効果的なことなのです。
議論の始めに定義をして、行き違いや誤解を未然に防ぐことは、ディベートの第一歩なのです。
三段論法
ディベートの基礎となる考え方が、推論です。
では、これも意味を調べてみましょう。
すいろん 【推論】
ある事実をもとにして、他の事をおしはかること。推理や推定を重ねて結論を導くこと。「調査結果から事故原因を―する」
(三省堂提供「大辞林 第二版」より)
即ち、推論することで、自分が経験していないことでも理解できるようになるのです。
定義だけでは解りずらいので、実例で考えて見ましょう。
まず、こうした推論でよく使われる手法に、演繹法と呼ばれる三段論法があります。
三段論法は3つのステップからなります。
2) B—>C
従って
3) A—>C
数学でならったのを覚えている方も多いでしょう。実は三段論法は論証として極めて有効な推論法なのです。
この三段論法を使って「クリントン元米国大統領は死ぬ」ことを推論してみましょう。
まず、どれがAで、どれがBで、どれがCになるかを考えないといけません。
最も解りやすいのが、(A—>C)です。何故ならば、これが証明する結論だからです。
つまり、次のようになります。
C: 死ぬ
次に考えるべきことは、どうしたら(今生きている)クリントン元米国大統領が死ぬことが証明できるかということです。
ここで(B—>C)が必要になってくるわけです。ここに誰もが納得する、いわゆる「真理」や「法則」を持ってくることができれば、問題は解決できます。
ところで、人は誰もが「人間は死ぬ」ことを知っています。人間が発生して数万年以上が経ちますが、人間たるものいつかは死ぬのです。
これは誰もが認める真理ですね。これを(B—>C)に使うのです。
その結果、
となります。
こうして三段論法が完成しました。全体は次のようになります。
(B—>C)人間は死ぬ。
従って
(A—>C)クリントン元米国大統領は死ぬ。
「クリントン元米国大統領は人間である」(A—>B)ことを受け入れれば、「人間は死ぬ」ことから、「クリントン元米国大統領は死ぬ」という命題が証明されました。
でも、世の中もっと複雑な問題が沢山ありますね。
そこで、次には実際的な具体例を取り上げて見たいと思います。
三段論法の応用
さらに理解を深めるため、次の課題を取り上げてみましょう。
問題
お母さんが子供に次のように言い聞かせています。
「遊んでばかりいないで、お勉強しなさい。良い大人になれないわよ。」
1 お母さんの論理を三段論法で説明しなさい。
2 あなたが子供だったらお母さんにどのように反論しますか?
まず始めに、お母さんの推論法を三段論法で説明する前に、三段論法の復習をしましょう。
(B—>C)人間は死ぬ。
従って
(A—>C)ソクラテスは死ぬ。
ここで、(B—>C)では「人間は死ぬ」のように、一般的に認められている真理や法則、社会的なルールなどを示すのです。
三段論法とは、個別の事象を、一般的に認められている真理や法則、社会的なルールに当てはめることで、結論を導く推論法でしたね。
皆さん、ここまでは大丈夫ですね。
それでは、この三段論法を今回のケースに当てはめてみましょう。
何をAとし、何をBとし、何をCとしたらいいでしょうか?
このケースの場合、結論(A—>C)が明確なので、結論から考え始めたほうが簡単です。
つまり、次のようになります。
C: 良い大人になれない
次に、(A—>B)を考えてみましょう。Bは何になりますか?
そうですね、Bは「勉強しない」ですね。
これで全部が決まりました。
解答例
(A—>B)あなた(母親の子供)は勉強しない。
(B—>C)勉強しないと良い大人になれない。
従って
(A—>C)あなた(母親の子供)は良い大人になれない。
さて、これでお母さんの論理が明確になりました。
子供の立場でしたら、お母さんにどのように反論しますか?
三段論法の分析と反駁
前段ではお母さんの推論法は次のようになることを導きました。
(B—>C)勉強しないと良い大人になれない。
従って
(A—>C)あなた(母親の子供)は良い大人になれない。
さて、ここでちょっと論理の飛躍があるかな、と感じるのが「(B—>C)勉強しないと良い大人になれない」ですね。
確かに、「勉強すれば、良い成績がとれて、良い学校に入れて、良い就職ができ」、結果的に「良い大人」になれそうには思われます。
でも、「良い大人」とは、単に良い成績を取って、良い就職をすることなのかどうか、疑問を感じる人も多いのではないでしょうか?
例えば、スポーツが優れていれば、勉強ばかりするよりサッカーや野球の練習をしたほうが、将来性が高まるかもしれません。
あるいは、音楽に才能があるならば、音楽に集中したほうが良いかもしれません。
また、作家になるには、様々な経験を積むことも遠回りのようで、近道かもしれません。
つまり、「良い大人」とは自身の才能によって、様々な形がありえるのではないでしょうか?
こうした前提をとった場合、もし読者の皆様が子供ならどのようにお母さんに反論しますか?
解答例
子供:学校で良い成績を取れば、良い将来が約束されるという訳ではないでしょ?!
それに僕には学校の勉強の才能がないかも?むしろ僕にはサッカーが向いていると思う。
やっとレギュラーメンバーにも成れたし…
だから、今はサッカーに集中したいんだ。
勿論、反論の形は色々考えられると思いますので、あくまでも参考として考えてください。
さて、こうした反論をすることを、ディベートでは反駁と言います。
はんばく 【反 駁】
他人の主張・批判に対し論じかえすこと。反論。論駁。
(出典:大辞林 提供: 三省堂)
ここで、子供は、お母さんにどのように反駁したかを論理的に考えてみましょう。
「(A—>B)あなた(母親の子供)は勉強しない」は、子供の現状として受け入れましょう。
すると(B—>C)が真理であれば、必然的に(A—>C)を受け入れないといけませんね。
そこで、子供は、(B—>C)を疑った訳です。
つまり、「(B—>C)勉強しないと良い大人になれない」が単純に全てに当てはまる訳ではないと考えて、ここを反駁したのです。
別な言い方をすると、「(B—>C)勉強しないと良い大人になれない」は真理とは言えないという、いわば弱点を突いた訳です。
こうした真理とはいえない理由で結論を導き出すことを、論理の飛躍ということもあります。
このように三段論法を使うと、相手の議論を3つに分けることができるので、論理が明確になり、どの部分に論理の飛躍があるかが、分かりやすくなるのです。
これが、三段論法を使う理由の一つなのです。
そして、反駁する場合、論理の飛躍を見つけることが大切なことは、理解できるかと思います。
経験を法則にする推論法 帰納法
ここで、簡単に三段論法を復習してみましょう。
三段論法は3つのステップからなります。
2) B—>C
従って
3) A—>C
有名な例として次のようなものがあります。
(B—>C)人間は死ぬ。
従って
(A—>C)ソクラテスは死ぬ。
注意する点は、(B—>C)です。
(B—>C)では「人間は死ぬ」のように、一般的に認められている真理や法則、社会的なルールなどを示すのです。
三段論法とは、個別の事象を、一般的に認められている真理や法則、社会的なルールに当てはめることで、結論を導く推論法でしたね。
この推論法は演繹法といわれます。
では、ここで演繹(法)の意味を確認してみましょう。
演繹(えんえき、英: deduction)
演繹は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る推論方法である。対義語は帰納。帰納の導出関係は蓋然的に正しいのみだが、演繹の導出関係は前提を認めるなら絶対的、必然的に正しい。したがって実際上は、前提が間違っていたり適切でない前提が用いられれば、誤った結論が導き出されることがある。近代的には、演繹法とは記号論理学によって記述できる論法の事を指す。
(出典:フレッシュアイペディア)
つまり、「一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る推論方法」であって、「演繹の導出関係は前提を認めるなら絶対的、必然的に正しい」ということです。
これを三段論法に当てはめれば、「人は死ぬ」という「一般的・普遍的な前提」を認めると、「ソクラテスは死ぬ」という「必然的に正しい」、「個別的な結論」が導き出されるということです。
さて、推論法にはもうひとつ大切な手法が有ります。
それが、帰納法と言われるものなのです。
先ほどの演繹の定義の中に、対義語として帰納法が書かれていたのを覚えていらっしゃるかと思います。
き‐のう【帰納】
[名](スル)個々の具体的な事例から一般に通用するような原理・法則などを導き出すこと。
(Goo辞典より)
帰納法は例を見れば、直感的に分かるかと思います。
例えば、富士山にかかる雲と雨の関係です。
富士山が見える地方では、よく「富士山が笠をかぶれば近いうちに雨」といわれます。
これは、昔から人々が、経験的に富士山が笠をかぶった後、雨が降ることが多いことから、こうしたことわざとして、現在まで伝わっているのです。
実際、笠雲がかかったあとの天気を調べてみると、24時間後までに雨となる確率は、春秋が約70%、夏は約75%、冬も約70%と、かなり信頼性が高いとのことです(富士山豆知識コーナーより)。
つまり、この例では、「富士山が笠をかぶった」後、多くの場合「24時間後までに雨となる」という経験を身近に伝えるため、「富士山が笠をかぶれば近いうちに雨」ということわざ(法則)を導き出した訳です。
このように、経験や知識から、一般に通用するような原理・法則などを導き出すことを帰納というのです。
ここで、もう少しことわざについて考えてみたいと思います。
始めに、ここでディベートらしく、ことわざの定義を見てみましょう。
ことわざ(諺)
ことわざは、観察と経験そして知識の共有によって、長い時間をかけて形成されたものである。その多くは簡潔で覚えやすく、言い得て妙であり、ある一面の真実を鋭く言い当てている。そのため、詳細な説明の代わりとして、あるいは、説明や主張に説得力を持たせる効果的手段として用いられることが多い。
(ウィキペディアより)
つまり、昔から人々の間で言いならわされた、教訓などをもった簡潔な言葉、つまり、過去いろいろな経験をした人々の間で伝えられてきた智慧と考えることもできるわけです。
ここで、ことわざがどのように出来たのかを考えてみましょう。
「ことわざは、観察と経験そして知識の共有によって、長い時間をかけて形成されたもの(ウィキペディアより)」ということは何を意味するのでしょうか?
これは、ことわざが、様々な過去の観察と経験そして知識から導き出された結果であるということです。
つまり、帰納法で導き出された結論ともいえるわけです。
では、次には質問だけで相手の主張を崩すというディベートの醍醐味である質問力を学びましょう。
質疑「質問力」
最近、この「質問力」という言葉をよく耳にします。「質問力」を取り上げた書籍もずいぶんとあるようですので、読者の皆様もご存知の方が多いのではないでしょうか。
「質問力」とは新しい言葉で、その意味するところは「質問をすることで本質を探り当てる能力」とか「質問によって必要な情報を入手する力」というような意味に使われております。
では、この「質問力」とディベートとどのような関係があるのでしょうか?
ディベートが演説やスピーチなどと最も異なるのは「質疑(あるいは尋問)」です。
演説やスピーチでは、話し手が一方的に持論を展開していきます。それに対して、ディベートの「質疑(あるいは尋問)」は相手に対して質問をすることになります。
実は、この「質疑(あるいは尋問)」の良し悪しがディベートを大きく左右するといっても過言ではありません。
ディベートでは「質疑(あるいは尋問)」に使える時間が数分程度と限られております。
その為、ディベートでは如何に短時間で効果的に相手の展開している論理を崩すかという点が、重視されます。
さて、ディベートの「質問力」を次のよう定義したいと思います。
「質問力」を使うことで一瞬にして相手の論理を崩し矛盾を指摘することができるのです。
つまり、この「質問力」を磨けば、日常のビジネスでも大きな効果があげられると考えられます。
それでは、どのように相手の論理を崩せば良いかを考えましょう。
これは次のような三段階からなります。
第2ステップ:新事実などを提示して転換をはかる
第3ステップ:相手の論理の矛盾を示す
私はこの三段階を「質問力」の3ステップと呼んでいます。
次に、いくつかのテクニックのうち、新事実を提示するという手法を具体的な例で考えてみましょう。
このケーススタディでは、イラクに自衛隊を派遣すべきかどうか、小泉首相との仮想質疑の形式でまとめてみました。
ケーススタディ:「何故イラクに自衛隊を派遣すべきか」
小泉首相:その通り。今や日本はどのように国際社会の中で責任を果たすかという点で注目を集めている。自衛隊の派遣は大いに評価すべきである。
ディベーター:ではもしイラクに自衛隊を派遣しなければ、「国際社会の一員としての責任」を果たすことができないとお考えですか?
小泉首相:お金だけ出すというやり方ではもう責任を果たしたとはいえない。やはり他の国と同様に危険をおかしても貢献をすることを求められているのだ。
ディベーター:仏、独、中国など世界の大国も当然「国際社会の一員」であるにもかかわらず、イラクに派兵をしていない。首相の考え方ではこれらの国々は「国際社会の一員としての責任」を果たしてはいないことになりますね。
小泉首相:他の国はそれぞれ考え方がある。対応の仕方はいろいろだ。わが国ではこのように捉えているということだ。
ディベーター:それでは国連安保理の理事国で派兵しているのが十五カ国中五カ国にとどまっているのはご存知ですね。すると首相の言う「国際社会の一員」とは国連を軸としたものではないわけですね。
小泉首相:イラクのフセイン政権に対して大量破壊兵器の完全な武装解除を求めた修正決議案を国連安保理に提出したが、決議にいたらなかった。本来は国連決議に基づくのが理想であるが、今回はそのようにならなかったのは残念だ。わが国は日米安保条約を結んでおり、米国は日本にとって唯一の同盟国。その米国がイラクに安定した民主政権を作るため大きな犠牲を払って努力しているのだから、わが国がそれを支援するのは当然である。
ディベーター:日本の安全保障の第一に来るのは国連ではなく日米安保関係、つまり、日米関係を最優先するということですね。
小泉首相:国連を軽視するわけではないが、日米関係を優先することは当然じゃないか。日本の平和と安全の確保は1国ではできない。だからこそ日米安保条約を結んでいる。日本も米国にとって信頼に足る同盟国でなければならない。
ディベーター:日本の自衛隊派遣を受け、ブッシュ大統領は1月20日の演説のなかで「イラクに軍隊を派遣している国として、英国、オーストラリアに続いて3番目に日本の名前を挙げ、イラクの戦後復興作業は十分に国際化している」と主張しましたね。
小泉首相:実に日本の英断を十分評価してもらえたと誇りに思っている。
ディベーター:つまり「日本が自衛隊を派遣することで、イラクの復興が国際化した」わけですね。これは、小泉首相の言う「国際社会の一員としての責任をはたす」のではなく、「イラクの復興が国際化をするために日本が自衛隊を派遣した」ことになりますね。
小泉首相:。。。。。。。。
このケーススタディを「質問力」の3ステップに沿って解説したいと思います。
第1ステップ:相手の論理を確認する
まず、次の2点において小泉首相からYesと言わせています。これで、小泉首相の基本的な考え方を確認できました。
ディベーター:ではもしイラクに自衛隊を派遣しなければ、「国際社会の一員としての責任」を果たすことができないとお考えですか?
第2ステップ:新事実などを提示して転換をはかる
次に、次のように「他の多くの大国はイラクに派兵をしていない」という新事実を提示しました。
ディベーター:それでは国連安保理の理事国で派兵しているのが十五カ国中五カ国にとどまっているのはご存知ですね。すると首相の言う「国際社会の一員」とは国連を軸としたものではないわけですね。
この新事実により、 「イラクへ派兵」が「国際社会の一員としての責任」を果たすとはいえないということが明快になりました。
つまり、小泉首相の基本的な考え方に矛盾があることがわかりました。
第3ステップ:相手の論理の矛盾を示す
最後に、小泉首相の言う「国際社会の一員としての責任をはたす」のではなく、「イラクの復興が国際化をするために日本が自衛隊を派遣した」ことになると小泉首相の論理の矛盾を指摘しています。
小泉首相:実に日本の英断を十分評価してもらえたと誇りに思っている。
ディベーター:つまり「日本が自衛隊を派遣することで、イラクの復興が国際化した」わけですね。これは、小泉首相の言う「国際社会の一員としての責任をはたす」のではなく、「イラクの復興が国際化をするために日本が自衛隊を派遣した」ことになりますね。
以上、ディベートの理論について概論をご説明いたしました。
理論編をより深く学ばれるには、eラーニング「ディベート思考理論編」をお勧め致します。
ディベート教育株式会社では、次のような企業研修を行っております。ご参考まで。
————【ディベート企業研修例】————
■ディベート研修: 総合的ビジネス力習得
■ディベート研修 管理職向け
■ディベート研修: 切れる英語力習得