世界三大音楽コンクールの一つと言われる、ショパン国際ピアノコンクールが昨年10月にポーランドのワルシャワで開催されました。

出典 一般社団法人全日本ピアノ指導者協会2015ショパンコンクールレポート
第17回ショパン国際コンクールが、いよいよ10月3日から開催される。ショパンコンクールが誕生してから88年。ショパンに対する想いや憧れ、そしてショパンコンクールというステージそのものが、様々なドラマを生み出してきた。第1回優勝者レフ・オボーリンから始まり、歴代優勝者は音楽史に名を刻むピアニストばかりである。(中略)
さて今回はDVD審査、予備予選を経て、世界20か国78名の精鋭がワルシャワで競演を繰り広げる。

私が驚いたのが、事前審査から第1次予選・2次予選・3次予選・ファイナルまで全ての演奏がライブでYoutube経由で配信されていたことです。

また、各演奏はライブ終了直後は勿論のこと、この原稿を執筆している時点でも下記のリンクからYoutubeで視聴できるのです。

the 17th Chopin Competition

さらに、審判の採点が全てウェブサイトで公開されているのです。

例えば、フィナルでは10人のファイナリストがいたのですが、審判17名の採点が下記のPDFで公開されています。

(注:最近公開が終了してしまいました)

私は、今回のショパンコンクールの体制はIT技術の進歩で可能になったと思いますが、その結果として、コンクール自体がオープンになり、結果的に不正が出来にくい仕組みとなったのだと思います。

一方、日本ではどのような状況でしょうか?

先般のブログでは、旧五輪エンブレム選考過程の「耳打ち」不正問題を取り上げました。

脳科学者である茂木健一郎氏は、似たようなことは、日本の社会では「頻繁に起こっているように思う」とコメントしておりました。

出典:BLOGOS 茂木 健一郎2015年12月19日 エンブレム耳打ち事件
日本の「著名なデザイナー」8名にあらかじめ応募を要請した他、エンブレムの選考で二次に進むために、票が足りなかった著名デザイナーの2作品について「耳打ち」することで、追加投票して進めるようにしたのだという。
「耳打ち」というのがとても面白いが、いずれにせよ、談合というか、出来試合というか、阿吽の呼吸というか、情けないが、いかにも典型的で、というのも、日本の社会を見ると、今回の「エンブレム耳打ち事件」のようなことは頻繁に起こっているように思う。
すぐに思い出すのが「公募展」で、しばらく前に、「入選」作品が事前の根回しで調整されているというのがスキャンダルになっていた。それは是正されたけれども、日本社会のあちらこちらに、似たような話があることはいわば「常識」だろう。

ここで茂木健一郎氏が触れている「公募展」問題とは、100年以上の歴史を持つ日展の審査での「不正」のことです。

出典 JCASTニュース日展審査で「不正発覚」と朝日スクープ 2013/10/30
2013年10月30日、朝日新聞は朝刊1面に「日展書道、入選を事前配分」という大きな見出しを載せた。(中略)「日展(日本美術展覧会)」は100年以上の歴史を持つ。日本を代表する公募展の一つだ。(中略)
朝日新聞は「書」の篆刻部門で09年度に審査を担当した人物が有力会派幹部に送ったという資料を入手。書道会の重鎮である日展顧問(89)の指示により、「有力8会派に入選数を事前に割り振る不正が行われていた」と報じた。8会派に所属していない人たちはひとりも入選しなかったという。

NHKは、入選数割り振りは50年近く行われてきたという証言を報道しています。

出典 NHK「かぶん」ブログ2013年10月30日 日展 入選者事前割りふりの疑い
審査の不正が行われていた疑いがあるのは、石や象牙などに文字を彫る「てん刻」の部門で、過去、20回以上にわたって、この部門で入選したことのある男性が、NHKの取材に対し明らかにしました。
男性は「特定の会派に入選が集中するように入選数を割りふっていた。50年近く行われてきたことだ」と証言しました。
そのうえで、「審査が行われる前に、日展の顧問の自宅を訪れ、作品を見てもらったお礼として、高額の“指導料”を支払う作家もいる。その作家は、顧問の独断で入選している」と公平な審査が行われていない疑いがあることを明らかにしました。

高額の指導料を支払ったり、入選数を事前に割りふっていたことが50年以上続いていた証言が本当であるとするならば、実力がある人達が認められない公正さに欠けた仕組みと言わざるを得ません。

コンクールや公募展とは、誰が他より優れているかを明らかにする場であり、本質的にはグローバル社会と通じるところがあると思います。

即ち、グローバル社会とは、様々な才能や知見を持った人が実力で競い合う社会であり、グローバルで通用する手法に則って意思決定することが必要となります。

その手法がディベートであると私は考えており、日本社会でも、やはりディベートが必要になっていると痛感する次第です。

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