前回は、米国大統領選挙戦とディベートの関係が深いことを、2012年のオバマ・ロムニー大統領候補者間のテレビ討論会を例にして、検証致しました。

オバマ・ロムニー両候補ともハーバード大卒業者でディベートの達人同士だったのです。

これは決して偶然では有りません。米国では政治家を志す者は皆ディベートが強いのです。

これと対極にあるのが日本の選挙演説です。

残念ながら、日本は大統領制ではないので、比較として自民党総裁選挙と国会での党首会談を取り上げてみましょう。

始めに、自民党総裁選挙ですが、安部晋三自民党総裁が選出されたのが、2012年です。その時に、公開討論会が日本記者クラブ主宰で実施されました。

こちらも動画がありますので、ご覧ください。

日本記者クラブ主宰自民党総裁選挙公開討論会

ここでは、米国の大統領選挙に見られるような白熱した議論は感じられない上に、この公開討論会が自民党総裁選挙にどのような影響を与えたのかさえ、まったくわからない状況です。

これでは、討論会というレベルではなく単なる自説を言いっぱなしという状態です。これでは候補者が集まって司会の元で選挙演説をしているにすぎません。

実際、総裁選挙で重要だったのは、むしろ派閥間の票の取り合いだったという見方もあるほどです。

出典:ウィキペディア 2012年自由民主党総裁選挙
当初は再選に強い意欲を見せる現職の谷垣を軸に、元首相の安倍晋三、幹事長の石原伸晃、前政調会長の石破茂、元内閣官房長官の町村信孝、政調会長代理の林芳正らの出馬が取りざたされた。

しかし、谷垣は総裁を支える立場の幹事長である石原との間での候補者の一本化に失敗し、出身派閥である宏池会会長の古賀誠が谷垣再選を支持しない方針を示すと共に、党の重鎮である森喜朗・青木幹雄が相次いで石原支持を表明したことなどもあり、9月10日に「党の執行部の中から(自分を含めて)2人が立候補するのは好ましくない」として、総裁選挙不出馬を表明した。

また、安倍は所属する町村派会長の町村が総裁選への意欲を見せていたこともあり、町村本人や森から立候補を自重するように要請されていたが、その意に反する形で総裁選挙に立候補、町村もそのまま立候補したため、派閥分裂選挙となった。町村派としては町村支持である程度まとまり、安倍は派閥から満足な支援が得られなかったが、麻生派と高村派が組む形で安倍の支持を決定したため、これが総裁選での中核となった。

一方、党首討論でも同様です。本来党首討論は国会で行われる党首同士のディベートとも位置づけられるものですが、日本では大変に内容が乏しい限りです。

2015年6月17日に衆参両院 国家基本政策委員会合同審査会で実施された、安倍晋三内閣総理大臣と民主党の岡田克也代表の党首討論を見てみましょう。

一部ですが、両者の発言の詳録を引用したいと思います。

出典:産経ニュース2015.6.17 22:19
【党首討論詳録(2)】安倍首相「岡田さんは答えられないのか?」 岡田氏「集団的自衛権はいらない」

岡田氏「首相は私の質問に全然答えていただいていないが、重要影響事態があって、そこで自衛隊が警察行動はやっている。海上保安庁もいる。そういう中で、プラスアルファ何が加わったら、存立危機事態になるのか。首相が言ったのは、法律の定義をそのまま読んだだけじゃないですか。首相が実際に事態の認定をし、そして防衛出動をする。存立危機事態になれば、防衛出動になる、武力行使になる。だから、それは具体的にどういうことなのか。朝鮮半島有事のその例で、どういう時に存立危機事態に総理は認定するのかということを聞いている。お答えください」

首相「同時に、先程、岡田さんも私が質問した2つには全くお答えにならない。これはおそらく、もしかしたら、岡田さんは私は答えられないのかなとも思うわけであるが、ぜひ答えていただきたいと思う。これは基本的な問題だ。民主党の集団的自衛権の行使に対する基本的なスタンスだ。皆さんよく、憲法違反だ、憲法違反だということは言うけれど、民主党として憲法違反だというふうに考えているかどうかということについても、ぜひお伺いしたい。そうした問いかけに対しても全くお答えをされていない」

 「そして、個別の事態に対する判断というのは、その状況において、その状況において、(ヤジに対し)すみません、ちょっと委員長。

小川勝也委員長「ご静粛に願います」

首相「注意してください。やっぱり皆さん、ルールはしっかりと守っていこうではありませんか。私が自分でしゃべっている声が聞こえないほどのヤジはぜひやめていただきたい、このように思います。岡田代表も指示されていますから皆さん静かにしていただきたいと思います。」

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