最近、高齢者ドライバーによる交通事故の報道が相次いでおります。

相次ぐ80代ドライバーの事故 「認知症のおそれ」でも免許更新可、家族の申し出でも取り上げられず
出典 Livedoor NEWS
2016年11月24日デイリー新潮
 ピーク時の年間約100万件から半分近くに減った交通事故。飲酒運転の厳罰化など、様々な取組の成果だが、それに逆行して急増したのは、高齢者が“加害者”となるそれだ。この秋も死亡事故が続出。今や「80代ドライバー」の愛車は、「走る凶器」と化している。

今回は、この高齢者ドライバーによる交通事故について検証してみたいと思います。

まず、このLivedoor NEWSの続きを読んでみましょう。

相次ぐ80代ドライバーの事故 「認知症のおそれ」でも免許更新可、家族の申し出でも取り上げられず
出典 Livedoor NEWS
2016年11月24日デイリー新潮
〈また高齢者事故 2人死亡〉(11月13日付読売)
〈高齢者運転 また悲劇〉(同産経)
〈高齢運転事故 また〉(同東京)
(中略)
 これが大きく報じられたのは、遡る2週間、同じような「80代ドライバー」による重大事故が全国で相次いでいたからである。
 主なものだけ挙げても、
〇10月28日
 横浜市で87歳男性が運転していた軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、6歳の男児が死亡、7人が怪我。容疑者には認知症の疑いあり。
〇11月10日
 栃木県下野市の自治医大病院構内で84歳男性の乗用車がバス停に突っ込み、女性が死亡、2人が怪我。
〇11月11日
 板橋区で86歳男性の運転する乗用車がコンビニに突っ込み、2人が怪我。本人には認知症の疑いあり。
「こうして報道されるのは重大事故が相次いだから。高齢者の死亡事故そのものは普段から頻発しています」
 と続けるのは、先の社会部デスク。
 公益財団法人「交通事故総合分析センター」の統計によれば、最新の2014年に、80歳以上が自動車等で死亡事故を起こした件数は266件に上る。1993年は62件だったから、約20年で4・3倍の増加だ。
「単純に計算すれば、80超えのお年寄りはひと月で22件、つまり3日で2件以上の割合で死亡事故を起こしていることになるのです」(同)
 先の統計によれば、80歳以上のドライバーが死亡事故を起こす確率は64歳以下と比べると実に3・75倍。オーバー80の免許保有者は2015年末で約196万人(警察庁「運転免許統計」より)もいるから、この事故をいかに減らすか、ということこそが、喫緊の要請であることは疑いあるまい。

どうも高齢者ドライバーの肩身が狭くなるような報道が相次いでいるようです。

ここで検証してみたいのが、「高齢者ドライバーが起こす交通事故はどれほど問題なのか?」です。

ディベートを学んでいると、「真実は何か」を追求したくなります。

そこで、統計を探してみました。

警視庁が公表している交通事故の発生状況データが最も信頼性が高いと思われますので、平成28年3月30日発表の平成27年における交通事故の発生状況を見てみましょう。

以下、統計数値は平成27年における交通事故の発生状況(警察庁交通局)より引用。

始めに、85歳以上のドライバーがどれほど交通事故を起こしているかを確認しましょう。

原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別交通事故件数の推移
85歳以上 平成17年 1,871件  平成27年 4,241件

確かに、11年間で2.26倍に増加しておりますね。

一方、年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数という統計もありますので、こちらも見てみましょう。

原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移
85歳以上 平成17年1,239.0件 平成27年811.3件

驚いたことに、35%ほど減少しているのです。

では、85歳以上のドライバーの10万人当たり交通事故件数減っているのに、85歳以上のドライバーの交通事故件数は増えているのでしょうか?

読者の方は、もうお気づきとは思いますが、これは免許を保有する高齢者数が増加しているからなのです。

出典:運転免許統計(平成17年版及び平成27年版)
85歳以上運転免許保有者数   平成17年末 146,281件 平成27年末461,875件

実に、3.15倍に増加しているのです。

ここまでの検証でわかったことは、過去11年間において、85歳以上のドライバーの交通事故数自体が増加しているのは、85歳以上運転免許保有者数が3倍以上増加しているからなのです。

それでも、交通事故数自体は免許保有者10万人当たりでは、2.26倍しか増加しておりません。

従って、85歳以上のドライバーの交通事故数は、免許保有者10万人当たりでは、35%ほど減少する結果となったわけです。

では、どうして85歳以上のドライバー事故が増えて危険だ、といった各種報道がよく見られるのでしょうか?

こちらについては、次回に検証してみたいと思います。

今回は、統計から85歳以上のドライバーの交通事故数について検証してみました。

 

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