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WHOが喫煙シーンのある映画を「R指定」にすべきと勧告:賛成ですか?反対ですか?

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WHOが喫煙シーンのある映画を「R指定」にすべきと勧告:賛成ですか?反対ですか?

問題の背景

今年2月、若者を喫煙に誘導しているとして、世界保健機関(WHO)が、喫煙シーンのある映画やドラマを「R指定」(保護者同伴がなければ17歳未満は入場・鑑賞できない)に指定するよう勧告しました。

皆様はこれに賛成ですか?反対ですか?

煙草シーン映画にR指定勧告 「若者の喫煙助長」は本当か
出典 NEWSポストセブン 2016.02.16
 映画が未成年者の喫煙を助長している――。2月1日、WHO(世界保健機関)が出した「勧告」が波紋を広げている。
 WHOによれば、2014年に上映された米ハリウッド映画の44%に喫煙シーンが登場したほか、米国で喫煙を始めた青年の37%が、映画がきっかけだったとする調査結果もあるという。そこで、喫煙シーンのある映画について、「R指定」などの年齢制限を設けたり、放映前に“禁煙広告”を流したりする措置を取るよう各国に勧告したのだ。

ここで注意することがあります。それは日米で映画レーティングに違いがあることです。

即ち、アメリカの「R指定」は保護者同伴があれば17歳未満でも入場・鑑賞できますが、日本の「成人向け」は18歳未満の入場・鑑賞は一切禁止されているのです。

つまり、WHOの勧告は、必ずしも17歳未満(米国)或いは18歳未満(日本)の鑑賞を一切禁止すべきとしているわけではないのです。

それでは、問題の背景を見てみましょう。

現在、日本は世界保健機関(WHO)におけるたばこ規制枠組条約を採択しており、未成年者の喫煙防止に十分配慮し、次のようにタバコの広告を規制していますが、確かに現在の広告規制では、映画は対象になっていないことがわかります。

出典 製造たばこに係る広告を行う際の指針 財務省告示第百九号 平成十六年三月八日
(1) テレビ、ラジオ及びインターネット等におけるたばこ広告
成人のみを対象とすることが技術的に可能な場合を除き、行わないこと。
(2) 新聞紙及び雑誌その他の刊行物におけるたばこ広告
主として成人の読者を対象としたものに行うこととし、その場合においても、日刊新聞紙については、その影響力に鑑み、広告方法等に配慮すること。

但し、明確に法律で禁じるのではなく、あくまで大臣がお願いして、業界が自主的に応じるという形式になっています。

一方、映画やテレビ番組では映画やテレビドラマの劇中において、役者の小道具として、または背景として、さり気なく商品などを宣伝する、プロダクト・プレイスメントという宣伝手法が活用されております。

プロダクトプレイスメント
出典 ウィキペディア
プロダクト・プレイスメント(Product Placement)とは、広告手法の一つで映画やテレビドラマの劇中において、役者の小道具として、または背景として実在する企業名・商品名(商標)を表示させる手法のことを指す。(中略)
誕生は1955年公開のハリウッド映画『理由なき反抗』と云われる。劇中でジェームズ・ディーンがポケットから櫛を取り出し整髪するシーンが何度も出てくるが、これを観た当時のアメリカの若者たちから「ディーンが使っていた同じ櫛はどこで買えるのか?」と映画会社(ワーナーブラザーズ)に問合せが殺到。これが新しい宣伝ビジネスモデルになると気づいた映画会社は、以降、一般企業との「劇中広告でのタイアップ」を始める。これが「プロダクト・プレイスメント」と呼ばれ、一般化した。現在、アメリカではPP専門の広告代理店が数十社存在する。

例えば、有名スパイ映画『007 スカイフォール(原題:Skyfall)』で、主人公のジェイムス・ボンドがハイネケンのビールを飲むシーンがあるのですが、さりげなくて、広告だなんて思う人はほぼいないのではないでしょうか?映像コンテンツ内で、実在する商品と登場人物たちを自然な形で絡ませる。そうすることで、視聴者にさりげなく企業名や製品名を記憶させる。(中略)「広告に見えない広告」なのです(シネフィル編集部)。

映画E.T.のなかでE.T.が食べたキャンディーの売り上げが公開前に比べ、65%も伸びたとも言われております(株式会社フロンティアコンサルティング)。

2012年のアメリカでの興行収入1位34作品の中には、397のブランド製品が登場したり、言及されたりしている(1作品あたり11.7ブランド)というのです。

アカデミー賞のサムソン露出は戦略的な「プロダクト・プレイスメント」
出典 BLOGOS 014年03月06日
 ハリウッド映画を見ていると、ジャンルによっては本当によく目につく。2012年のアメリカでの興行収入1位34作品の中には、397のブランド製品が登場したり、言及されたりしている(1作品あたり11.7ブランド)。ちなみに、その34作品の中に最も多く登場したブランドはメルセデス・ベンツで、10作品に登場している。作品ごとに見ると、近年の有名作品でプロダクトプレイスが多かったのは『セックス・アンド・ザ・シティ』(2008年)で、実に94ブランドが登場している。『セックス・アンド・ザ・シティ』もそうだが、作品によっては、ブランドが物語上、非常に重要な役割を果たしたり、登場人物のキャラクターを印象づける上で不可欠だったりすることもある。

即ち、一般媒体での自由な広告が制限されているタバコには、このプロダクト・プレイスメントは格好の広告手法ということになります。

では、どれくらい喫煙シーンが映画に含まれているのでしょうか?

WHOの今回のレポートSmoking free moviesによれば、2002年から2014年米国でのチケット販売の95%を占める1800以上の長編映画の分析したところ、次のような統計が得られたというのです。

(筆者翻訳)
-最高興行収益を上げた映画の分析:59%がタバコの画像を含んでおり、喫煙シーンはR指定の映画の78%、PG-13の60%、G及びPGの25%に登場し、約35500に及ぶタバコを吸うシーンが含まれていた
-2014年にはPG-13においてタバコを吸うシーン数が10年間で一番多かった
-いくつかのPG-13映画は5分間以上のタバコを吸うシーンが含まれていた

日本では、米国映画は人気があり、2015年日本興行収入トップ10の合計616億円のうち米国映画は約64%(392億円)となっております(出典 ウィキペディア)。

従って、タバコ喫煙シーンの分析データは米国映画しかありませんが、米国映画の分析結果は日本人にも大きな影響があると考えられます。

なお、ここで映画鑑賞年齢規制を確認しておきましょう。

映画のレイティングシステムは各国で異なっております。
日本では PG-12 R-15 R-18であり、アメリカではG PG R NC-17となっております。

映画のレイティングシステム
出典 ウィキペディア
(日本)
G:全ての年齢層が鑑賞可能な指定。
PG12:12歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言や指導が適当とされる指定のこと。
R15+:15歳未満の入場・鑑賞を禁止する指定のこと。これまでと同様にPG12より刺激が強いものに加え、いじめ描写や暴力も審査の対象になる。
R18+:18歳未満の入場・鑑賞を禁止する指定のこと。いわゆる18禁や成人映画と呼称される。
(米国)
G:全年齢に適している。
PG:視聴(入場)制限はないが、子供に見せる前に保護者が内容を検討することを提案したもの。
PG-13:視聴(入場)制限はないが、13歳未満(12歳以下)の子供の観賞については、保護者の厳重な注意が必要。暴力・恐怖表現・ヌード・卑語などを含むが、マイルドであるもの。
R:17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要。
卑語、激しい暴力、ヌード、薬物乱用など成人向け要素を確実に含むと判断されたもの。
NC-17 :17歳以下の観賞を全面的に禁止したもの。極めて暴力的な映画や性描写が著しい映画。

日本と米国の大きな違いは、日本ではある年齢にならないと年齢指定された映画は見ることができないのですが、米国ではG PG Rについては、親の同伴があれば見ることが出来る点です。

即ち、今回のWHOの提案は米国の映画レイティングシステムにもとづいているので、R指定されても、親と同伴ならば18才未満の子供でも見ることが出来るわけです。

ところが、18才以上というところだけを同じに考えてしまうと、日本では親の同伴があろうとなかろうと18才未満の子供は見ることが出来なくなってしまうのです。

WHOが喫煙シーンのある映画を「R指定」にすべきと勧告に賛成側の意見

WHOによれば、たばこ広告が厳しい規制を受けてきた中で映画は最後の広告チャンネルの一つだと指摘しています。

出典 MYナビニュース [2016/02/01]
WHOは、喫煙シーンを映した映画は、数百万人もの若者に対してたばこを始めるように促してきたと説明。 WHOのDouglas Bettcher博士は、「たばこ広告が厳しい規制を受けてきた中で、映画は数百万もの若者にたばこを露出させている最後のチャンネルの一つとして、いまだに残っている」と苦言を呈している。

何故タバコ会社が喫煙シーンを映画に入れたいかというと、プロダクトプレースメント(PP)という手法で映画等に登場する製品広告は、2倍以上もブランド記憶率が上昇するからなのです。

Vol.3 二倍のブランド記憶率を生む!!「プロダクトプレースメント」
出典 DREAM GATE
企業にとっては、テレビCMに比べ、スクリーンを注視している観客には必ず自社商品を目に留めることができるという利点があります。さらにはストーリー上、好感を持って使われるシーンで登場すれば、自社商品の認知率、好感度は一定の上昇率を稼げると判断できたのです。
  ある調査によると、テレビなどの一般メディアに比べ映画でのプロダクトプレースメントでは、2倍以上もブランド記憶率が上昇したと報告されています。(中略)
 このように残像効果が高く、忘却率が低いプロダクトプレースメントの効果は、テレビCMでは得られないと考えられてきました。その理由は、観客は劇場に足を運び、お金を払って映画という作品を見に来ていることです。映像から得られる情報に対し、どん欲なまでに吸収しようとする観客の能動的な態度によるものだといわれています。

例えば、マルボロをスーパーマンⅡに、007 シリーズの中でキャメルやウインストンを吸わせる、シルベスター・スタローンに 5 本以上出演映画で自社製品を使う場面を入れたなら50 万ドル払う契約など、米国で判明したPPは数多くあります。

表1 映画に対するタバコ産業䛾プロダクト・プレイスメントの歴史(抜粋)
出典 映画の喫煙シーンはタバコを吸う子どもを増やす 松崎道幸 日本禁煙学会理事
1979 フィリップモリスがマルボロをスーパーマンⅡに PP するために資金支出。
1982 Rogers and Cowan 社が RJR に、1 万ドルでショーン・コネリー等に 007 シリーズのリメーク版 Never SayNever Again の中でキャメルやウインストンを吸わせる事に成功したと報告。
6 月 B&W がシルベスター・スタローンに 5 本以上䛾出演映画で自社製品を使う場面を入れたなら 50 万ドル払うと申し入れ、契約成立。
1984 20 世紀フォックス Licensing and Merchandising 社が、1 作品あたり 2 万~2 万 5 千ドルで PP を行うタバコ会社を募集。
1988 フィリップモリスが、ジェームズボンド出演 License to Kill で、ラークを PP し、日本でのプロモーション活動を行う権利を 35 万ドルで入手。
1989 フィリップモリスのマーケティング調査文書:「映画とテレビにこそ紙巻タバコ䛾力強さとポジティブなイメージを人々に焼き付ける力がある」
2000 映画での喫煙シーン頻度が 1960 年代を上回る。
2001 1990 年代の映画の喫煙シーンの80%がフィリップモリスのマルボロであるとの調査報告。タバコ会社の PP 自粛宣言前よりも、トップスターが銘柄名が分かる喫煙を行うシーンの出現回数が増加していた。

一方、ダートマウス医科大学によれば、2603 名子ども(10~14 才)を長期間追跡調査したところ映画の喫煙シーンを見る回数が最も多かったグループが、最も少なかったグループの 3 倍近く喫煙を始めていたことが分かりました。

映画の喫煙シーンはタバコを吸う子どもを増やす
出典 松崎道幸 日本禁煙学会理事 
Lancet 論文
2003 年にダートマウス医科大学小児科の研究グループの、映画の喫煙シーンが 10 才から 14 才子どもの喫煙開始主要原因となることを証明した調査データを発表した。研究チーム䛿、それまで一回も喫煙したことのない2603 名子ども(10~14 才)を長期間追跡調査した。(中略)
ダートマウス大学䛾研究者グループが、13~26 か月後に再調査すると、対象の子どもの10%が喫煙を始めていた。
前述の多くの因子の影響を調整した結果、映画の喫煙シーンを見る回数が最も多かったグループが、最も少なかったグループの 3 倍近く喫煙を始めていた。映画の喫煙シーン視聴回数(4 分位)と喫煙開始(=経験)率の間には、正の相関がみられた(図 1)。

さらに、全米から 6500 名を無作為抽出した追跡調査を行った結果、子どもの喫煙開始の44%が映画の喫煙シーンを見たことによって引き起こされたことが分かったというのです。

出典 同上
Lancet 論文を発表したダートマウス大学の同じ研究者チームは、2005 年に、ニューイングランド地域で行われた断面調査結果が、米国全体に当てはまるかどうかを検証するために、全米から 6500 名を無作為抽出した追跡調査を行った。この大規模全国調査の成績は、ニューイングランド調査と基本的に一致した。
この調査結果から、映画の喫煙シーン曝露が米国全体の子どもの喫煙開始に対する寄与率を計算したところ、子どもの喫煙開始の44%が映画の喫煙シーンを見たことによって引き起こされたことが分かった。

その結果として、2014年の米国だけでも、若者は映画の喫煙シーンがキッカケで600万人もの新しい喫煙者が生まれ、そのうちの200万人はたばこ関連の疾患で将来死ぬというのです。

出典 MYナビニュース [2016/02/01]
米国のある研究によると、新規の思春期世代の喫煙者の37%は映画やドラマがきっかけとなって喫煙を始めているという。米国疾病管理予防センター(US Centers for Disease Control and Prevention)は、2014年の米国だけでも、映画の喫煙シーンに触れたことで600万人もの新しい喫煙者が生まれ、そのうちの200万人はたばこ関連の疾患で将来死ぬだろうと見積もっている。

こうした喫煙に関する問題の対策として、WHOは「たばこ関連映画の鑑賞に関する年齢制限」「たばこを含む映画鑑賞前における、強力な反たばこ広告の表示」などの政策を講じるよう、呼びかけているのです。

WHOが喫煙シーンのある映画を「R指定」にすべきと勧告に対して反対側の意見

始めに、『表現の自由』に対する憲法違反の可能性があります。

日本国憲法は、表現の自由を保障した第21条2項で、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と規定しているのです。

憲法問題に詳しい作花知志弁護士は、『表現の自由』に対する憲法違反の可能性を指摘します。

出典 弁護士ドットコム2016年2月4日
「仮に、日本政府が、WHOの勧告を受けて、喫煙シーンが含まれる映画やドラマを『成人向け』に指定する措置をとったとします。それは当然、映画やドラマを発表する『表現の自由』(憲法21条)に対する制約であり、憲法に違反しないかどうかが問題となります。
(中略)
そもそも、WHOの根拠とする『登場人物や役者の行動に影響されやすい若者が、まねして喫煙を始めるケースが多い』という点は、どのような科学的根拠があるのかが問題です。
仮にそのような関係にあるとしても、たとえば、喫煙シーンのある映画やドラマについては、喫煙の危険性を伝えるメッセージを冒頭で流すなどすれば、表現そのものを制限しなくても未成年者の健康を保護するという目的を実現できるのではないかと考えられるからです。

表現の自由について、映画評論家の野村正昭氏は、往年の名作にはたばこが表現の幅を広げる重要な小道具として使われたケースが多く、喫煙シーンが禁止されれば、場面の深みや登場人物の感情表現、時代背景などの演出効果も薄れてしまうと問題を指摘しています。

煙草シーン映画にR指定勧告 「若者の喫煙助長」は本当か
出典 NEWSポストセブン 2016.02.16
 「往年の名作には、たばこが表現の幅を広げる重要な小道具として使われたケースが多い」と話すのは、映画評論家の野村正昭氏だ。
 「ハードボイルドの最高傑作と呼ばれた探偵モノの『ロング・グッドバイ』(1973)や、ウィレム・デフォーが戦場でたばこを吸う『プラトーン』(1986)など、画面にたばこが出てくる名作は無限にあって挙げきれません。
 映画史上最高にたばこを効果的に使ったのは、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン主演の『さらば友よ』(1968)でしょうね。ラストシーンで警察に連行されるブロンソンが咥えたたばこに、他人のふりをしながら無言で火を貸すアラン・ドロンの姿はとても印象的でした。こうしたシーンはたばこなくしては生まれなかったでしょう」
 日本映画でも刑事モノやアクションシリーズ、時代劇などで、喫煙シーンは台詞をつなぐ「間」に使われたり、場面転換、煙による空間演出を表現したりするのに欠かせないアイテムだった。  ところが、近年の過度なたばこバッシングにより、作り手も委縮せざるを得ない状況に追い込まれている。大手映画会社の幹部が嘆く。(中略)
 もちろん、敢えて荒唐無稽な作品にする必要はありませんが、合法でもあるたばこを使ったシーン自体がNGになれば、劇場の大画面だからこそ味わえる場面の深みや登場人物の感情表現、時代背景などの演出効果も薄れてしまいます。映画はわざわざお金を払って観に来てもらうもの。『表現の自由』を手放してしまったら終わりです」

また、大ヒットした宮崎駿の作品『風立ちぬ』における喫煙シーンへの苦言に対して、制作サイドは、表現に注文をつけるのは表現の自由を脅かす行為にもなりかねないと指摘をしております。

『風立ちぬ』喫煙シーンへの禁煙学会の苦言に批判殺到!「日本刀使う時代劇もNG?」
出典 Business Journal 2013.08.15
 そんな『風立ちぬ』内で頻出するタバコの描写に対し、NPO法人・日本禁煙学会(以下、学会)が苦言を呈し、波紋を呼んでいる。
 学会が8月12日付で制作担当者へ送付した要望書「映画『風立ちぬ』でのタバコの扱いについて(要望)」によれば、「教室での喫煙場面、職場で上司を含め職員の多くが喫煙している場面、高級リゾートホテルのレストラン内での喫煙場面など、数え上げれば枚挙にいとまがありません」と具体的にシーンを列挙し、主人公が病室で結核患者の妻の横で喫煙するシーンや、学生が“もらいタバコ”をするシーンを特に問題視している。そして「さまざまな場面での喫煙シーンがこども達に与える影響は無視できません」「映画制作にあたってはタバコの扱いについて、特段の留意をされますことを心より要望いたします」と、制作側へ求めている。
 この学会の要望について、ネット上では早くも賛否両論の声が寄せられているが、この問題について、映画制作の現場を知る業界関係者や、実際に映画を見た観客たちは、どのように受け止めているのだろうか?
 まず、ある映画制作会社社員は、制作現場の実情を交えながら、次のように話す。
「タバコのポイ捨てや“歩きタバコ”、未成年の喫煙など違法な演出はもちろん極力避けますが、それ以外の喫煙シーンについては、演出上・登場人物の“キャラづけ”上の必要性から生まれるもので、意図的に自粛するようなことはありません。『風立ちぬ』における喫煙シーンもすべて、演出上必要なものばかりだと受け止められます。学会は、病室や教室、職場での喫煙シーンなどが頻出することを問題視していますが、戦中や終戦後間もない時代を描くほかの映画では、電車内や映画館など公共の場で喫煙するシーンは数多く見られ、当時の時代状況を描く上では、必然的な演出だったといえます」
 また、学生が“もらいタバコ”をするシーンについても、「戦争や震災という、常に死と隣り合わせの極限状態の中で、貴重な贅沢であるタバコを通じて友情を交わすこのシーンには、宮崎監督のさまざまな思いが込められている。その演出に対し、現在の価値観を持ち出し『違法だから駄目』ということに対しては、違和感を覚えます」と、学会の要望に否定的な感想を漏らす。
 加えて別の映画業界関係者は、学会が要望書の中で「なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはずです」と指摘している点について、「制作サイドは、その当時の時代状況を踏まえ、より自然かつ日常的なかたちで、登場人物の置かれた心理状態やキャラクターを表現すればよいのかを検討した結果として、タバコを使った。その表現に注文をつけるのは、表現の自由を脅かす行為にもなりかねない」と指摘する。

第2点として、WHOが新たな規制の根拠としている映画の喫煙シーンを見ることがタバコを吸い始めるという統計は、少なくとも日本には当てはまらない可能性が高いのです。

株式会社マクロミルの「タバコに関する意識調査」によると、吸い始めたきっかけとしてテレビ・映画から影響を受けたとしたのは、5.8%しかいなかったのです。

出典 株式会社マクロミルウェブサイト 2006年5月29日
株式会社マクロミル(本社:東京都港区、社長:福羽泰紀)は、全国20歳以上の男女を対象に、「タバコに関する意識調査」を実施いたしました。調査手法はインターネットリサーチ。調査期間2006年5月18日(木)~5月19日(金)。有効回答数は1032名から得られました(男女および喫煙者・非喫煙者の割合は各半数ずつ)。
喫煙者に、吸い始めたきっかけとして影響を受けた人・モノを尋ねたところ2人に1人が「友達」(53%)からの影響を受けたと回答しました。テレビ・映画としたのが、5.8%(筆者がグラフより引用)。

また、最近では「しらべぇ」が調査したところ、「映画の喫煙シーンがきっかけでタバコを吸い始めた人」の割合は全体の3.8%だったのです。

映画のタバコシーンが喫煙誘導…識者が反論「表現の自由は?」
出典 しらべぇ 2016/02/08/
しらべぇでは、アンケートサイトマインドソナーを使って、全国10代〜50代の男女313名に「映画の喫煙シーンがきっかけでタバコを吸い始めた人」の割合を調査してみた。すると、全体では3.8%とかなり少数であると明らかに。

第3点として、知る権利が侵害されるのです。

憲法問題に詳しい作花知志弁護士は、『知る権利』に対する憲法違反の可能性をも指摘します。

出典 弁護士ドットコム2016年2月4日
「さらに、映画やドラマの制作者など、『発表する側』の表現の自由だけでなく、それを見る未成年者の『知る権利』に対する制限にもあたる可能性があります。(中略)
喫煙シーンのある映画について、国が年齢規制を設けた場合、子どもの『知る権利』に対する必要最小限の規制と言えず、憲法違反と判断される可能性があると思います。

WHOが喫煙シーンのある映画を「R指定」にすべきと勧告に対して反対側に対する賛成側の反ばく

第1論点:日本では、映画の喫煙シーンがタバコを吸うきっかけではないという点について。

これは、否定側が引用した調査の統計的信頼性が低いからと考えられます。

始めに、喫煙シーンを映画で見ることでタバコ開始率が増加したのは、米国だけでなく、欧州6カ国(ドイツ、アイスランド、イタリア、オランダ、ポーランド、イギリス)でも同じ傾向だったのです。

映画の喫煙シーンはタバコを吸う子どもを増やす
出典 松崎道幸 日本禁煙学会理事 
欧州 6 カ国でも同様の結果(図7)
出典 映画の喫煙シーンはタバコを吸う子どもを増やす 松崎道幸 日本禁煙学会理事
ドイツ、イタリア、イギリスなど欧州 6 カ国でも同様䛾調査が行われたが、やはり、映画の喫煙シーン曝露が増えるほど、子どもの喫煙開始率が有意に増加することが明らかになった。喫煙シーン曝露最高群の最低群は2 倍から数倍の喫煙開始率だった。

また、実際の各国の喫煙開始率の比率は、喫煙シーンを映画で見ることへの被爆が高いグループでは低いグループより、ドイツ、アイスランド、イギリスでは約4~5倍高かったことが分かりました。

出典 同上
図7 映画の喫煙シーン曝露頻度と子どもの喫煙開始率。欧州 6 カ国
注:筆者が図7から読み取った、各国の曝露最高群と曝露最低群の喫煙開始率の比率
ドイツ 約5倍
アイスランド 約5倍
イタリア 約3倍
オランダ 約2.7倍
ポーランド 約2.5倍
イギリス 約4倍

即ち、これは様々な言語文化で異なる環境下の先進国においても同様の傾向が有ることを示していることがわかります。

第2論点:インターネットによる調査には偏りがあり、日本全体を母集団とする世論調査とはなり得ないのです。

出典 ウィキペディア 世論調査
ただし内閣府の調査では、訪問面接聴取法とインターネット調査でサンプルの偏りを修正した結果を比較しても、調査手法、そしてインターネットの利用頻度によっても、回答傾向が異なるという。そのため、ただちにインターネットによる世論調査が既存の世論調査と置き換わることはないという。

何故ならば、インターネット調査では、統計的(サンプル数とランダム化)に不備があるからなのです。

始めに、各種の世論調査はどれも1500~2000人というサンプル数ですが、これは1億人の意見を調べようとすれば2000人の意見を調べたら十分という統計処理方法があるからなのです。

サンプル数について
出典 Human Resource Inc. 統計のサンプル数は信憑性があるのか?
各種の世論調査はどれも1500~2000人を対称に行っている。そしてなぜか、5000人を対称とした世論調査も8000人で調べた世論調査も存在しない。1億人の意見を調べようとすれば2000人の意見を調べたらもうそれで十分だかららしい。さらに言うと、10万人の意見を調べるのも2000人で十分なのである。
なぜ2000人でいいかと言うと、そういう計算式と言うか統計処理方法があるからである。これに基づくと、1万人の世論調査に必要なサンプリング数は 1300人ほど。10万人で1500人ほどであり、それ以上はいくら母集団が増えてもサンプリング数は1500でよいと言う結果になる。

次に、世論調査のようなサンプル調査(標本調査といいます)では、サンプルをランダムに抽出することが大切で、マスコミの世論調査では、「層化二段無作為抽出法」がよく利用されます。このようにすることで、ランダムなサンプルの抽出が可能となるなるのです。

ランダム抽出の手法
出典 ニッセイ基礎研究所 標本調査はサンプル抽出が命−何人からアンケートをとればいいか? 2014年09月22日
このような標本調査では、サンプル数を大きくして誤差を小さくするとともに、サンプルをランダムに抽出することが大切である。例えば、東京都在住の30歳代の男性会社員にばかりアンケートをして、サンプル数を増やしたとしても、ランダムに抽出したとは言えない。
マスコミの世論調査では、「層化二段無作為抽出法」がよく利用される。この方法では、例えば、全国をいくつかのブロックに分け、それぞれのブロックで、市区町村を、都市規模や産業別就業人口構成比などによって一定数の層に分類する。まず、各ブロックの人口数の大きさに比例して、各層から無作為に調査地点を抽出する。次に、住民基本台帳をもとに、各調査地点ごとに、一定数のサンプルを無作為に抽出する。このようにすることで、ランダムなサンプルの抽出が可能となる。

インターネット調査では、こうしたランダム抽出ができていないので、世論調査の代替とは成り得ないのです。

第3論点:映画の喫煙シーンは表現の自由と、さほど関係がないのです。

例えば、シルベスター・スタローンの映画でたとえ喫煙シーンが印象的だったとします。

しかしながら、お金をもらうことでその映画でタバコを吸うシーンを入れたということであったら、その喫煙シーンは本当に必要であったかが疑問視されます。

実際、カリフォルニア大学が公開しているタバコ会社の内部文書によれば、シルベスター・スタローンが映画でB & W のタバコを吸うシーンを入れることの見返りにお金をもらっていたのです。

シルベスター・スタローン とタバコマネー (プロダクト・プレースメント続き)
出典 禁煙センセイ 2009年8月14日
 それでは、具体的にはどんなものがあるでしょうか?
“ランボー”や“ロッキー”でも有名なシルベスタ・スタローンの例が挙げられます。
UCLA を擁するカリフォルニア大学が公開しているタバコ会社の内部文書です。
 これらのタバコ会社の内部文書で明らかになったことの一つにシルベスタ・スタローンのタバコ会社に対する確認書があります。
 これによると、5本の映画で、B & W (ブラウン & ウィリアムソン) のタバコを吸うシーンを入れることの見返りに1本に付き、50万ドルをスタローンに支払って欲しいとあります。

これが、プロダクトプレイスメントの怖さなのです。

視聴者には自然と喫煙シーンが刷り込まれてしまうのですが、これは意図的なものなのです。

また、スタジオジブリ『風立ちぬ』で喫煙シーンが多く見られます。

実は、『風立ちぬ』のモデルと言われる堀越二郎氏は、ご子息によれば酒もタバコもやらなかったので、映画では事実を曲げて彼を喫煙者に仕立て上げ、「印象的な」喫煙シーンを映画に挿入したことになります(なお、堀越二郎の妻はもちろん結核で亡くなってもいませんでした)。

第 20 号:アニメ『風立ちぬ』の喫煙シーン論争から学ぶ
出典 北品川禁煙通信 平成 25 年 8 月 20 日 発行
今回の『風立ちぬ』には明らかな JT の関与は見られませんが、主人公である堀越二郎氏は若いころから結核を病んだために病弱であり、ご子息によれば酒もタバコもやらなかった(「堀越二郎と零戦」、学研、2013 年)ということですから、映画では事実を曲げて彼を喫煙者に仕立て上げたことになります。実は、宮崎駿監督はヘビースモーカーでタバコをこよなく愛しており、それは映画のウェブサイト内にあるプロダクションノートの項に 『空、飛行機、恋、たばこ…。宮崎監督が大好きなものがたくさん詰まった作品がここに完成した。』 とありますから、こうした多くの喫煙シーンは、前出の映画関係者の言う「演出に必要なもの」ではなく、多分に彼(或いは彼ら?)の作為の働いた結果という事になります。

これを裏付けるように、同映画の鈴木敏夫プロデューサーが意図的にタバコシーンを入れ込んだと明確にその意図を説明しております。

映画にかける思い
出典 AEON CINEMA 鈴木敏夫 株式会社スタジオジブリ プロデューサー
(鈴木氏がスタジオジブリ最新作『風立ちぬ』について語っている:筆者注釈)
―さて、最後になります。今後の「イオンシネマ」に期待することとは何でしょうか?
(中略)
まあ、要望は一個だけ、喫煙するスペースを作ってほしいなあ(笑)。
昔はジブリにも愛煙家が多かったけれど、気づけばいまや彼と僕だけ。
実は僕と宮崎駿は、そのことを恨んでいましてね。
今度の映画では、全編タバコだらけです。何かあれば吸っています。いっぱい出てきますよ(笑)。

なお、宮崎駿監督は、東日本大震災でタバコの「贈り物」をしたというほどの愛煙家なのです。

気仙沼の漁師にタバコを!宮崎駿監督から被災地へ「意外な贈り物」
2011/4/11(月)11:57 ニコニコニュース(オリジナル)
スタジオジブリ(東京都小金井市)の宮崎駿監督の「贈り物」が被災地に届けられた。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市の漁業共同組合に、宮崎監督が集めたタバコが渡されたのだ。東京から届いた意外なプレゼント。海の男たちも「今はタバコがなかなか手に入らないので、ありがたい」と大喜びだった。

一方、映画評論家の小野寺系氏は、今回のような規制が演出においてプラスに作用する面もあるかもしれないという意見を示しております。

「喫煙シーンのある映画」へのWHO勧告をどう捉えるか 小野寺系が映画史を踏まえつつ考察
出典 REAL SOUND 2016.02.04
 一方で、今回のような規制が、演出においてプラスに作用する面もあるかもしれないという。
「昔、ハリウッドに“ヘイズ・コード”という規制がありました。それは主に性的なシーンに対して、ベッドシーンは描かない、過激なキスシーンを描かないなどの自主規制をすることによって、映画会社自体が強い規制を受けないようにしようという流れでした。ディズニーが喫煙シーンを描かないようにしたのと近いかもしれません。ヘイズ・コードの下で製作された映画では、上記のような男女のシーンを描くことができないということで、そういうことがありましたよと暗示させるような演出が加えられたりしました。それは、規制の中でうまくやろうという製作者たちの工夫によるもので、結果的に彼らの演出力に広がりが生まれました。このような副次的というか、面白い演出がいろいろと生まれたという意味では、プラスになった面は多少なりともあるでしょう」

第4論点:知る権利の侵害について。

そもそも、知る権利とは国民の国政に関する情報収集活動が国家権力によって妨げられた場合に使う概念なのです。

出典 三省堂 大辞林
しる けんり [3] 【知る権利】
国民が公的な種々の情報について公開・提供を要求する権利。また,国民の国政に関する情報収集活動が国家権力によって妨げられない権利。

また、現在の日本の映画レーティングは自主規制であり、これは知る権利の侵害ではありません。即ち、喫煙シーンも自主規制すれば問題がないのです。

この理由については、反対側が引用した、憲法問題に詳しい作花知志弁護士が説明をしていることなのです。

出典 弁護士ドットコム2016年2月4日
ただ、「R-15」「R-18」は、業界が定めた自主的な基準だ。業界が自主的に規制を設けている場合でも、憲法問題になるのだろうか。
「いいえ、憲法は、原則として『国』と『国民』の関係を定めた法です。業界がレイティングを定めているからといって、未成年者は当然に『知る権利の侵害だ』と主張できるわけではありません。
一方で、国が法律で規制したとしたら、やはり『表現の自由』の観点から問題となるでしょう。
性的な表現や暴力的な表現は、一度見てしまうと、その影響を取り除くことが難しいといった側面があります。一方で、喫煙シーンは、さきほど述べたように、喫煙の危険性を伝えるメッセージなどを流すことで、その影響を抑えることができる可能性があります。
喫煙シーンのある映画について、国が年齢規制を設けた場合、子どもの『知る権利』に対する必要最小限の規制と言えず、憲法違反と判断される可能性があると思います」

WHOが喫煙シーンのある映画を「R指定」にすべきと勧告に対して賛成側に対する反対側の反ばく

第1論点:世論調査について
私共が引用した世論調査以外に、もし映画の喫煙シーン賛否に関する世論調査があるならば、賛成側はデータを示すべきです。

もし、他にないのであれば、少しでも世論の考え方を伺うことは有意義なことであり、こうした観点から、様々な調査結果を参考にする事自体は必要だと考えます。

追加の調査となりますが、LINEのサイト「BLOGOS」によると、投票総数1万7317のうち80%が反対の意思表示をしているというのです。

映画に「喫煙シーン」で成人指定勧告したWHOのナンセンス
出典 日刊ゲンダイDIGITAL 2016年2月25日
 そうした中、注目されるのはネットメディアの報道ぶりである。LINEのサイト「BLOGOS」はいち早くアンケートを実施。投票総数1万7317のうち1万3911票、なんと80%が反対の意思表示をしている。
「80%もの人が反対しているということは、喫煙者だけでなく、かなりの数の非喫煙者が異を唱えているということ。喫煙者率が2割という状況を考えれば、反対の過半数はたばこを吸わない人である可能性が高い。なぜ、こうした結果になったのか。それは、今回のWHO勧告が単なるたばこ規制ではなく、明らかに表現の自由を封じ込めかねない過剰規制であると感じているからでしょう。だいたい、映画の喫煙シーンに影響されて喫煙を始めるという前提からして、どれだけ明快な科学的根拠があるのか。ナンセンスな勧告です」(喫煙問題を取材するジャーナリスト)

投票総数1万7317は、賛成側が言う2000程度のサンプル数を大きく超える投票数であり、その80%が反対の意思表示をしていることは、重く受け止めるべきです。

賛成側が異なる見解を主張するのであれば、これに替わる世論調査結果を示すべきです。

第2論点:表現の自由について
喫煙シーンが映画において重要な場面であることは、別段「風立ちぬ」だけに限られたことではありません。

例えば、映像方面で活躍するクリエイターは、ドラマの『MOZU』では登場人物の喫煙シーンが、あの作品の持つ退廃性や大人のエンターテインメントとしての側面を支えていたと、具体例を挙げて表現の自由の重要さを述べております。

映画のタバコシーンが喫煙誘導…識者が反論「表現の自由は?」
出典 しらべぇ 2016/02/08/
編集部では、映像方面で活躍するクリエイター(30代男性)に、この報道について意見をもらうことに。
「僕はタバコは吸わない派なんですが、この勧告についてはどうかと思いますね。映画の中で喫煙シーンがあったとしても、それが必ずしも若者が吸うきっかけになるかなんてわからないじゃないですか。
それなのに、成人指定をしなきゃいけないとなると、それこそ表現の自由を奪われることにもなると思います」(中略)
たとえば、ドラマの『MOZU』では西島秀俊さん演じる主人公始め、非常に多くの登場人物の喫煙シーンが問題になったりもしましたが、そのことがあの作品の持つ退廃性や、大人のエンターテインメントとしての側面を支えていたことも、ひとつの事実です。ひとりの嫌煙家のクリエイターとして、そのことも忘れてはいけないと感じています」

実際、俳優の伊勢谷友介氏は、自身が出演した映画『劇場版 MOZU』で喫煙シーンが問題視されていることについて、「小道具捕まえて社会的な是非とか、本当に無駄だと思う」と意見を述べております。

出典 伊勢谷友介 ツイッター 2015年11月10日
本当にどうでも良いと思ってる。そういう所やーやー言われても、無視していくべきだと思う。映画の空気や、キャラクターのバックグラウンドを作る小道具捕まえて社会的な是非とか、本当に無駄だと思う。悪役の言葉使いが悪いとかと同じ範疇の話

例えば、「マイ・バック・ページ」の山下監督は、喫煙シーンによって当時の日本の様子を表していたと説明しております。ここにはプロダクトプレイスメントなど、全くありえません。

「マイ・バック・ページ」山下監督、喫煙シーン連発を種明かし
出典 映画.com 2011年5月15日 11:00
[映画.com ニュース] 妻夫木聡、松山ケンイチが初共演を果たした「マイ・バック・ページ」のメガホンをとった山下敦弘監督と脚本の向井康介が5月14日、東京・早稲田大学で開催された「プレミア講義付き試写会」のゲストとして登壇した。(中略)
講義に出席した学生からも質問が寄せられた。喫煙シーンが多いことに何か特別な理由はあるのか? という質問に、山下監督と向井のこだわりが垣間見られた。「当時を知っているスタッフがいて、彼が当時の日本の様子を、排気ガスや砂ぼこりで街がくすんでいたと言うんです。それをヒントに、タバコの煙が当時を表すキーになるかなと。吸ってないシーンはないんじゃないかなって思うくらいキャストに吸わせました(苦笑)」と語る山下監督の裏話に、学生たちは興味津々な様子で聞き入っていた。

アル中になって酒をがぶがぶ飲みまくるシーンが許される一方で、子どもが葉巻を吸うシーンがあり、それを“悪行”として描いているディズニーの『ピノキオ』という映画を子どもたちが見られなくなるのは問題と指摘する意見もあります。

「喫煙シーンがある映画を成人指定に」WHO勧告の愚 
出典 ダイアモンドオンライン 降旗 学 2016年3月19日
 とりわけ『スタンド・バイ・ミー』では、主人公の少年らの喫煙シーンまである。
「あの映画は子どものころに見るからこそ意味があると思うんだけど」
「子どもにスタンド・バイ・ミーも見せられない時代がきたら終わりだぞ」
「私の一番大好きなスタンド・バイ・ミーの一番大好きなあのシーンが18禁になる」
 ファンの嘆きだ。映画評論家の小野寺系氏が言う。(中略)
「喫煙自体は合法なのに、その表現を規制するのは垣根を越えてきている印象です。『ウォルト・ディズニーの約束』では酒を飲むシーンがたくさん出てきています。登場人物がアル中になって酒をがぶがぶ飲みまくるんですが、そっちはいいのかって思ってしまいます(中略)
 ディズニーの『ピノキオ』という映画では、子どもが葉巻を吸うシーンがあって、それを“悪行”として描いています。こうした表現まで規制されるのはおかしな話ですし、そこに線引きをするとして、そもそも誰がその境界線を判断するのかという問題もあります。今回のWHOの大雑把な勧告には、そういった細やかな部分が欠けていると思います」

第3論点:知る権利について
私たちにとって、自由に物事を判断し意見を構成し自由にそれを表明し議論するためにも、知る権利はとても重要なのです。

出典 一般社団法人日本書籍出版協会
メディアには,重要な責務がある。
国民の「知る権利」への奉仕である。
国民の一人ひとりが,自由に物事を判断し,意見を構成し,自由にそれを表明し
議論する。そうであってこそ,社会の〈知恵〉は深まり成熟する。そのためには,まず
「知る」ことが必要だ。何事も,知らなければ,判断も議論もなしえない。

そして、映画では「映画は現実を反映するべきだ」とする考え方があるのです。

例えば、『アバター』のジェームズ・キャメロン監督は「映画は現実を反映するべきだ」と主張しております。

うまそうな「一服」シーンはスクリーンから駆逐すべきか、映画は「現実」を反映するべきか
出典 Newsweek 2010年10月8日 
今年1月、『アバター』のジェームズ・キャメロン監督は、カリフォルニア大学サンフランシスコ医学校教授スタントン・グランツに公開の場でけんかをふっかけられた。グランツが『アバター』で植物学者がたばこをふかすシーンは「上水道にプルトニウムをぶち込むようなもの」と、ニューヨーク・タイムズ紙に語ったのだ。
 キャメロンは同紙上で、シガニー・ウィーバー演じるこの科学者を青少年のお手本にしようとしたつもりはない、と反論した。だが「喫煙シーンは許されないというのは独善的な考え。映画は現実を反映するべきだ」とも主張した。

こうした表現の自由に関わる問題は、国家権力による直接的な規制介入を避ける為に、自主規制に任せるべきなのです。

映画については映倫管理委員会が、映画倫理規程に基づきとくに厳格な事前の審査を行っているのです。

出典 コトバンク 検閲(公権力) 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
 このほか、表現行為の主体であるマス・メディアが、法律や公権力からの介入によることなく、自らの表現活動に制約を加える、いわゆる「自主規制」が、事実上の検閲的効果をもつ場合がある。新聞や放送は、業界として自主規制機関を設け、また記事、番組の表現内容についての自主規制基準を定めているが、映画については映倫管理委員会が、映画倫理規程に基づきとくに厳格な事前の審査を行っている。自主規制は、マス・メディアがもっている社会的影響力の大きさに対応する社会的責任の一つの表現であり、国家権力による直接的な規制介入を避けながら表現内容の適正化を図りうるという側面をもつが、他方で少数の者の私的・利己的な理由に基づいて規制が行われ、国民の知る権利が縮減される危険性も含んでいる。

以上、今回は喫煙シーンのある映画を「R指定」にすることの賛成側の反ばくに対して反対側の反ばくを見てみました。

これまで、5回に渡り、喫煙シーンのある映画を「R指定」にすることに対して、問題の背景、賛成側/反対側の意見、そして賛成側/反対側の反ばくを見てきました。

皆様は、喫煙シーンのある映画を「R指定」にすることに賛成ですか?反対ですか?

なお、行政に携わる地方自治体の方々と住民側として社会行政問題に関わる方々に対して、懸案問題に対して賛成と反対の両面から検討することで、問題の本質を掴み、内因性を理解することで、合理的で本質的な解決策を見出していくことを目指す、ディベート教室をご提案致します。

ディベート教室:地方自治体や住民代表向け

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