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受動喫煙防止へ罰則付きで法整備へ:賛成ですか?反対ですか?

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受動喫煙防止へ罰則付きで法整備へ:賛成ですか?反対ですか?

問題の背景

最近、受動喫煙防止法案の整備がマスコミで取り上げてられております。

飲食店は原則禁煙 3月に法案提出
毎日新聞2017年1月31日
健康増進法改正案による受動喫煙対策
 他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案の概要が、30日分かった。多くの人が使う場所を「敷地内禁煙」「屋内禁煙」「喫煙室設置可の屋内禁煙」と3段階で規制し、悪質な違反には過料を科す。喫煙室には排煙性能などの基準を設け、自治体が適合性を判断する制度も盛り込む。政府は3月上旬に法案を提出する方針。
 最も厳しい「敷地内禁煙」の対象は、未成年者や患者が利用する小中高校や医療機関。社会福祉施設、大学、官公庁、バス、タクシーなどは「屋内禁煙」とする。飲食店やホテル内、駅・ビルの共用部分、鉄道の車内も屋内禁煙とするが、喫煙室の設置は認める。喫煙室は室内を密閉したり外部に煙を排出したりする設備などの基準を定める。

さて、始めに受動喫煙とはどんなことでしょうか?

受動喫煙
出典 三省堂 大辞林
受動喫煙(じゅどうきつえん)(passive smoking)
非喫煙者が喫煙者のたばこの煙を吸わされること
喫煙者本人ではなく、その周囲の人が間接的にたばこの煙を吸い込むこと。たばこを吸わない人でも、喫煙者と同様の影響があるとされる。間接喫煙ともいう。
受動喫煙では、直接たばこを吸っている人と同様に、肺がんや虚血性心疾患、呼吸器疾患、乳幼児突然死症候群などの危険因子が発生すると考えられている。そのため、嫌煙権として、受動喫煙からたばこを吸わない人を保護する社会環境が求められている。

即ち、受動喫煙とは、例え自分ではタバコを吸わなくとも、他人が吸うタバコの煙を吸い込むことで健康被害が起こることなのです。

では、何故最近になって、受動喫煙防止法について、多く報道されてきたのでしょうか?

それは、2020年の東京オリンピックがキッカケなのです。

IOCは、1988年(冬季カルガリー・夏季ソウル大会)以降、五輪会場の全面禁煙化を進めることに加え、開催都市の施設全体を禁煙化することも推進しているのです。

即ち、オリンピック開催する都市には、受動喫煙防止の為施設全体を禁煙化することを要請する、という方針なのです。

東京五輪まであと4年、「受動喫煙防止」ルールはどうする?
出典 ニューズウィーク日本版 2016年9月5日
国際オリンピック委員会(IOC)は、「たばこのない五輪」をスローガンに掲げている。(中略)
 WHO(国際保健機構)が策定した国際ルールである「たばこ規制枠組条約」には、世界178カ国が加盟しており、日本もそのひとつである。多くの加盟国がこの条約を守り、規制のひとつである罰則付きの受動喫煙防止法を制定済みだが、主要国の中で日本だけが、このルール作りを先送りしている。(中略)
 IOCは、1988年(冬季カルガリー・夏季ソウル大会)以降、五輪会場の全面禁煙化を進めることに加え、たばこ業者が五輪スポンサーに付くことを拒否し続けてきた。さらに、会場の中だけでなく、開催都市の施設全体を禁煙化することも推し進めている。2004年(夏季アテネ大会)以降は全ての大会で、開催国の法律や州法、開催都市の条例において、罰則付きの受動喫煙防止ルールが定められている。
 2020年の東京も、その「受動喫煙防止ルール」のリレーのバトンを引き継ぐのかどうか、IOCから遠回しの「外圧」をかけられている。東京としては、国際的な空気を読まざるをえないように思える。

そうなのです、国際オリンピック委員会(IOC)は、「たばこのない五輪」をスローガンに掲げて、開催都市の施設全体を禁煙化することを推し進めており、1988年(冬季カルガリー・夏季ソウル大会)以降は例外なくすべての大会で。罰則付きの受動喫煙防止ルールが定められている訳なのです。

そして、現実問題として、主要国の中で日本だけが、このルール作りを先送りしているというのです。

実は、日本における受動喫煙防止の活動は、最近始まったわけではありません。

2004年に、日本が19番目の国としてWHO(国際保健機構)が策定した国際ルールである「たばこ規制枠組条約」を批准し、2005年発効したところから始まっているのです。

では、このWHO(国際保健機構)「たばこ規制枠組条約」とはどのような内容なのでしょうか?

たばこ規制枠組み条約
出典 知恵蔵
正式名称はたばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約。2003年5月、世界保健機関(WHO)の総会で採択され、日本は04年6月に批准、05年2月27日に発効した。骨子は、(1)広告、販売促進、スポンサー行為の原則禁止(それが不可能な国は規制強化)、(2)「マイルド」などの表現を規制、(3)健康警告表示は包装の表裏面の30%以上、(4)自動販売機から未成年者が入手できないようにする、など。喫煙に関連した死者が、世界で年に500万人に達するような危機的な状況を打開するために締結された。

締約国数は、世界で172か国(2011年1月現在、外務省による)に上っているのです。

次に、日本では2003年に、受動喫煙の防止を含む健康増進法が施行されました。

健康増進法
出典 weblio辞典
国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることを目的として定められた法律。2003年5月に施行された。身近な問題として、同法第25条において、「(中略)受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」がある。

実際に、受動喫煙の防止を謳った、健康増進法第二十五条を見てみましょう。

出典 健康増進法
第五章 第二節 受動喫煙の防止
 第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

この健康増進法第二十五条の重要な観点は、施設を管理する者が受動喫煙防止の責任があるということと、その責任が「努力義務」、即ち反しても罰則がないということなのです。

その為、今回の受動喫煙防止法案制定には、ビジネスホテル業界や消費者団体が「罰則導入」に賛成する一方、飲食店業界などから反対相次ぐ事態になっているのです。

罰則付き受動喫煙対策、飲食店業界などから反対相次ぐ
朝日新聞 2016年10月31日18時30分

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、罰則付きの受動喫煙対策を検討している政府の検討チームが31日、屋内禁煙などの対象となる業界団体から意見の聞き取りを始めた。ビジネスホテル業界や消費者団体が容認・賛成した一方で、飲食店業界などからは反対が相次いだ。

中小飲食店等から強い反対に呼応するかのように、厚生労働省はバーやスナックなどの小規模店舗は規制の対象外とする案を提示するなど、状況は混迷を極めているのです。

小さなバーやスナック、「禁煙」規制せず 受動喫煙防止で厚労省が原案
投稿日: The Huffington Post  2017年03月02日
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、厚生労働省は3月1日、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙対策を盛り込んだ健康増進法改正案の原案を公表した。焦点となった飲食店は、建物内は原則禁煙とするが、主に酒を提供するバーやスナックなどの小規模店舗は規制の対象外とした。

過去、東京都でも受動喫煙防止条例制定の動きもありましたが、飲食店と共に「禁煙に反対するたばこ業界」からの懸念の声が強く、断念した経緯があります。

JT、たばこ受動喫煙防止条例に反対工作 山形県知事へ意見書、東京都も制定見送り
出典 Business journal 2015.01.20
 昨年末、舛添要一東京都知事が朝日新聞の単独インタビューに応じ、受動喫煙防止条例を当面見送ることを明らかにした。2020年の東京五輪開催を控え、公共の場所での受動喫煙対策をすべきだという声が大きくなってきていることを受けた発言である。
 近年の五輪開催地では、法律などで禁煙や分煙を定めるのがもはや常識となっている。世界一の喫煙国である中国でさえ、北京五輪の前には「無煙五輪」を宣言し、条例を制定して規制をかけた。そんな世界の常識に反して現時点での条例化を見送る理由について都知事は、飲食店と共に「禁煙に反対するたばこ業界」からの懸念の声があるためだと語った。

特に、日本ほどたばこに甘い先進国はない状況は、日本たばこ産業(JT)の影響力が強いとからという見方もあります。

日本たばこ産業(JT)は、もともと日本専売公社という国有企業で、現在でも33%以上を財務省が所有し、「たばこ事業法」という法律で保護されている上、日本たばこ産業(JT)は、毎年新聞・テレビに莫大な広告予算を注入することで、世論を抑える力もあるというのです。

JT、たばこ受動喫煙防止条例に反対工作 山形県知事へ意見書、東京都も制定見送り
出典 Business journal 2015.01.20
 あまり知られていないが、世界的に見れば先進国では喫煙場所や購入手段などに関して何かしらの法的規制がかけられている中、日本ほどたばこに甘い先進国はない。これは日本たばこ産業(JT)の影響力によるところが大きいといわれている。
 JTはもともと日本専売公社という国有企業であり、歴代トップには旧大蔵官僚が就いた。民営化された後も官との近さは変わらず、株式の33%以上を財務省が所有し、「たばこ事業法」という法律で保護されるという極めて公権力に近い企業である。そのため、当然政治家もすり寄り、JTや葉たばこ農家、販売組合などへ利益誘導する「たばこ族議員」という言葉もあったほどだ。
 そんな政治力に加えて、JTには世論を抑える力もある。世界第4位の「たばこコングロマリット(複合企業)」に成長したJTからは毎年、新聞・テレビに莫大な広告予算が注入されている。
 このような日本独自の環境を鑑みれば、都知事がこのまま条例をお蔵入りにする可能性は極めて高い。ある東京都議は、こんな結末を予測する。
「五輪の直前になんの法的拘束力もないスローガンなどを発表して、お茶を濁すというのが現実的な落としどころではないか」

一体、2020年の東京オリンピックにむけて、受動喫煙防止への法整備はどのようになるのでしょうか?

賛成側の意見

さて、何故受動喫煙は防止されるべきなのでしょうか?

受動喫煙によって、肺がんや虚血性心疾患等の疾患の死亡率等が上昇したり、非喫煙妊婦でも低出生体重児の出産の発生率が上昇するのです。

出典 厚生労働省
Q 周囲の非喫煙者への健康影響について
A  たばこの煙による健康への悪影響は喫煙者本人にとどまりません。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙についての健康影響は、流涙、頭痛などの症状だけでなく、肺がんや虚血性心疾患等の疾患の死亡率等が上昇したり、非喫煙妊婦でも低出生体重児の出産の発生率が上昇するといった研究結果が近年多く報告されています。小児では喘息、気管支炎といった呼吸器疾患等と関連があると報告されています。また、乳児では乳幼児突然死症候群と関連があると報告されています。
 ◆ 受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされること)と個別疾病との相対危険度
(非喫煙者を1とした時の喫煙者の危険度)
個別疾病の相対危険度 相対危険度
肺がん死亡数(US-EPA報告 1998) 1.19
虚血性心疾患死亡数(Heらによる調査 1999) 1.25

こうした受動喫煙による健康被害はどれほどでしょうか?
厚労省によれば、受動喫煙で毎年1万5千人死亡が死亡しているというのです。

受動喫煙で年1万5千人死亡 厚労省の推計が急増 半数以上が脳卒中
出典 日本経済新聞 2016/6/2
 受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で年間約1万5千人に上るとの推計を厚生労働省の研究班が2日までにまとめた。2010年の推計では約6800人で、その後に脳卒中との因果関係が明らかになったことから、脳卒中による死亡の約8千人が上積みされ、2倍以上になった。
 研究班は受動喫煙の割合や、受動喫煙と因果関係があるとされる肺がん、心筋梗塞を中心とする虚血性心疾患、脳卒中などによる死亡統計を基に年間の死亡数を推計。肺がんで2480人、虚血性心疾患で4460人、脳卒中で8010人、乳幼児突然死症候群(SIDS)で70人が死亡するとの結果になった。
 職場では男性3680人、女性は4110人、家庭では男性840人、女性6320人が死亡すると推計した。

こうした受動喫煙の問題に対応するため、今や先進国では受動喫煙防止が罰則付きで制定されており、遅れているのは日本だけといった状況なのです。

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 オリンピックと受動喫煙防止法
出典 村松弘康 先生中央内科クリニック院長 2017年01月
(3)他国での受動喫煙防止法
 世界では現在、50か国以上で受動喫煙防止法・条例が制定されており、アジアでもタイ、ベトナム、カンボジア、シンガポール、マレーシア、台湾、インド、パキスタン、バングラディッシュなど、ほとんどの国が、飲食店やバーも含めて屋内禁煙である。ブータンではタバコの製造・販売も禁止されている。
 近年では韓国、ロシア、中国といった喫煙率の高い国々でも、受動喫煙防止法が制定されている。いまや受動喫煙防止法がない主要国は、ほとんど存在しない(図3、図4)。

また、受受動喫煙が引き起こすPM2.5が深刻な問題だとする見方もあります。

PM2.5とは空気に含まれる直径が千分の2.5ミリ未満の微小粒子のことで、PM2.5はとても小さいので、たやすく肺の一番奥の肺胞まで入り込み、そこで様々な病気をおこします。

タバコの煙で汚された空気を吸うことを強いられる利用者と従業員の方が沢山いる、飲食サービス業における受動喫煙問題こそ、一刻も早く解決しなければならない日本の空気汚染問題だというのです。

日本では国内の受動喫煙が最大のPM2.5問題です
出典 NPO法人 日本禁煙学会
 PM2.5が多いと、心臓病や喘息、肺ガンなどが増え、死亡率が高まります。アメリカなどでの調査によると、PM2.5が10㎍/㎥増えると、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%、全死亡率が6%増えます(下表)。大気汚染はすべての住民に影響しますから、PM2.5 がわずか10㎍/㎥増えるだけで、その地域の住民の死亡率が6%増えるという深刻な事態が起きます。(中略)

 ただし、今の日本でもPM2.5が数百㎍/㎥の場所が沢山あるのです。

 えっ?! 本当ですか?
 下のグラフをご覧ください。これは日本禁煙学会の受動喫煙ファクトシートに掲載されている、わが国の飲食サービス業の店内(車内)のPM2.5です。全面禁煙の店舗以外は、ほとんどすべてでPM2.5が100㎍/㎥を越えており、自由喫煙の居酒屋などは、北京の最悪汚染時に匹敵するPM2.5レベルとなっています。日本では屋外の空気がだいぶきれいになったのに、生活の大半の時間を過ごす屋内では、タバコの煙で汚された空気を吸うことを強いられる利用者と従業員の方が沢山おられるのです。飲食サービス業における受動喫煙問題こそ、一刻も早く解決しなければならない日本の空気汚染問題です。日本のPM2.5問題の最大焦点は、毎日の大半を過ごす屋内での受動喫煙をどうなくすかにあります。(中略)

 とくに、現在日本の飲食店労働者281万人中、22万人が未成年者(女子13万人・男子9万人)、65万人が20歳から39歳までの女性であり、飲食店従業員の約3人にひとりは、こどもと生殖可能年齢の女性となっています。さらに、98万人は様々な病気が起きやすい50歳以上の中高年層であり、飲食店で働く人々の3分の2近くが、受動喫煙の悪影響を受けやすい階層となっています。したがって、飲食サービス業界の受動喫煙対策を他の分野より遅らせなければならない理由は一切なく、一刻も早くこの業界の完全禁煙化を進める必要があります。

受動喫煙が引き起こすPM2.5は、少しでもタバコ臭が漏れてもアスベスト汚染の上限を 100 倍以上上回る致死的環境汚染になっているのです。

出典 受動喫煙ファクトシート 
人間がタバコ臭を感ずる限界の PM2.5は1㎍/㎥でした。
ということは、ほんの少しでもタバコの臭いがした場所は、アスベスト敷地境界基準を16倍から100倍上回る死亡リスク(それぞれ 10 万人中 100 人、600 人の死亡)のある
危険な場所だということになります。
これまでのストーリーを表にまとめました。様々な環境と環境基準がどれほどの死亡リスクに当たるのかを示しました。
(中略)
受動喫煙で命を奪われないためには、タバコのにおいを感ずる限界の空気をさらに 100 倍に薄める必要があることが分かります。これを達成するには、屋内なのに野原で木枯らしに吹かれるような風速を伴う換気が必要です。
さらに、喫煙室から少しでもタバコ臭が漏れてもアウトです。それだけで、アスベスト汚染の上限を 100 倍以上上回る致死的環境汚染になっているからです。
「分煙」なのにタバコ臭いとか、喫煙室の出入りの時にタバコ煙が漏れる状態は、アスベストの敷地境界基準を 313ケタオーバーする高死亡リスク環境なのです。
「ほんの少しタバコの臭いがする」とき、そこはアスベスト敷地境界基準を100倍越えた
危険区域となっている
喫煙室を作って「分煙」したとして、ほんの少しでもタバコ臭が漏れたなら、そこはアスベスト汚染なら懲役 1 年の刑を科されるような人命を脅かす状態です。絶対に煙の漏れない喫煙室を作ることは不可能ですから、「分煙」という選択はあり得ません。時々アスベストが漏れるけれど気にしないでね、とアスベスト処理場の経営者が言ったらどう思いますか?

「完全分煙」あるいは「不完全分煙」という言葉が付いていても、店内の空気質は「危険」「緊急事態」レベルであり、室内を禁煙としても、建物のすぐ外を喫煙所にすると、建物の中にタバコ煙が吸い込まれて受動喫煙が生じるので、屋内の完全禁煙だけでなく、敷地内完全禁煙が必要なのです。

出典 受動喫煙ファクトシート 
禁煙でない飲食店や娯楽産業の店内の PM2.5はどれくらいになっているでしょうか?
サービス業店内等のPM2.5 を示します。左の色分けした棒グラフは、EPAの空気の質レベルを示しています。
未成年者と中高年者が働くサービス業店内の空気の質は受動喫煙によって「大いに危険」から「緊急事態」レベルの極めて不健康な環境にあります。棒グラフの一番下の黄緑が PM2.5が 15 ㎍/㎥以下の「良好」レベルです。完全禁煙のコーヒー店がかろうじてこのエリアにあります。
「完全分煙」あるいは「不完全分煙」という言葉が付いていても、店内の空気質は「危険」「緊急事態」レベルとなっています。(中略)
室内を禁煙としても、建物のすぐ外を喫煙所にすると、建物の中にタバコ煙が吸い込まれて受動喫煙が生じます。中は禁煙なのに、玄関先で吸われたタバコの煙の臭いが入り込んでいることはしばしば経験することです。ですから、屋内の完全禁煙だけでなく、敷地内完全禁煙が必要です。このようにして初めて、アスベスト汚染や食の安全と同じレベルの生命の安全が担保されます。

元神奈川県知事として、神奈川県の禁煙条例制定を手動した、参議院議員松沢成文氏は、
分煙では施設の従業員には健康への影響が及ぶという問題点や分煙措置への対応が困難な施設が生ずる可能性があるとして、原則全面禁煙を前提にすべきとの意見を示しております。

出典 松沢成文ウェブサイト
「受動喫煙を避けたければ分煙すればいいのではないか」という意見もよくいただく。
先に述べたように、「たばこの煙に曝されることからの保護に関するガイドライン」では、「一○○%禁煙以外の措置(換気・喫煙区域の使用つまり分煙)は、不完全である」としている。程度の差こそあれ、分煙では完全な受動喫煙防止は不可能という考え方を基本としているからだ。喫煙席と禁煙席を分けたとしても煙は流れてくるし、完全分煙にしたとしても、サービスのために喫煙スペースに出入りすることが避けられない施設の従業員には健康への影響が及ぶという問題点も無視できない。さらに、完全分煙を義務づけた場合には、施設の規模や立地条件より分煙施設設置に要する経費負担に格差が生じたり、あるいは分煙措置への対応が困難な施設が生ずる可能性がある。こうした点を考慮すると、不特定多数の人が利用する公共的施設については、まず原則全面禁煙を前提にした上で、より公平で実効性のある措置について論議の幅を広げていくことが必要だろう。

即ち、受動喫煙防止には完全喫煙しか無いのです。

NHK「クローズアップ現代」では、望月医師は、たばこ産業自らが「健康の問題」を「マナーの問題」に置き換えたことが、日本の遅れている1つの原因だという意見を示しております。

出典 受動喫煙防止NHK「クローズアップ現代」を見て 
望月医師:世界はなんでこういうふうに厳しくなっていったかというと、受動喫煙の害に対する健康のリスクが前提となって、特に屋内の禁煙規制から始まっていった。日本はどうかというと、JTは「迷惑とかマナー」ということで言いかられていたんです。これは、たばこ産業自らがリスクの問題、「健康の問題」を「マナーの問題」に置き換えて、ここからスタートしたということがあると思いますので、前提がそもそも間違っているということが、日本の遅れている1つの原因だと思います。世界と同じに健康のリスクを前提にした時に当然、屋内の禁煙を求めていこうという流れになります。

また、完全喫煙には設備投資が不要になり、資金不足の中小の飲食店などが不利になることはないのです。

反対側の意見

始めに確認をしておきたいのが、東京オリンピックを開催するには、建物内を全面的に禁煙とする法案を成立させないといけないという賛成側の意見は、正確ではありません。

実は、オリンピック開催都市は、すべて禁煙が実施されたと言う事実はありません。

例えば、2006年開催のトリノ(冬季)では、禁煙は医療施設のみで、官公庁、教育施設、飲食店等は分煙とされておりますし、2008年開催の北京でも、同様な状況です。

また、2014年開催の ソチ(冬季)では、飲食店等は禁煙の対象外とされているのです。

オリンピック開催都市の受動喫煙防止に関する法律等報告書
出典 東京都第1回受動喫煙防止対策検討会 平成26年10月29日(水曜日)
2006 トリノ(冬季)【禁煙】医療施設【分煙】官公庁、教育施設、飲食店等
2008 北京【禁煙】医療施設、教育施設【分煙】官公庁、飲食店等 有
2014 ソチ(冬季)【禁煙】官公庁、医療施設、教育施設 飲食店等は対象外

東京オリンピック開催では、分煙や飲食店等を対象外にしても、問題はありません。

次に、受動喫煙によって肺がんや脳卒中などの疾患リスクが上昇するとは、必ずしも言えないのです。

肺がんや脳卒中などの疾患については、受動喫煙によってリスクが上昇するという結果と上昇するとは言えないという結果の両方が得られており、未だ科学的に説得力のある形での結論は得られておりません。

厚労省研究班報告「受動喫煙で年間1.5万人死亡」という推計に関するJTコメント
出典 2016年5月31日日本たばこ産業株式会社代表取締役社長 小泉 光臣
今般、厚労省研究班は、「受動喫煙によって、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群で死亡する人は、年間15,000人と推計された」旨の発表を行ったものと承知しております。
この推定は、受動喫煙と関連性があるとされる上記疾病のリスク比や、アンケートに基づく受動喫煙を受ける人の割合の引用等、様々な仮定や前提を置いて試算されたものであると考えられます。
なお、前回2010年公表の推定値6,800人から倍増していますが、これは、脳卒中や乳幼児突然死症候群を受動喫煙に関連する疾病として追加したことによるものです。
受動喫煙の疾病リスクについては、これまで国際がん研究機関を含む様々な研究機関等により多くの疫学研究が行われていますが、肺がんや今回新たに推計に加えられた脳卒中などの疾患については、受動喫煙によってリスクが上昇するという結果と上昇するとは言えないという結果の両方が得られており、未だ科学的に説得力のある形での結論は得られていないものと認識しています。また、周囲の方の吸い込む煙の量は非常にわずかであり、たばこを吸われる方が吸い込む煙の量と比べ数千分の一程であるとの報告もあります。

次に、全面禁煙をする場合、大きな経済的な問題を引き起こしてしまいます。

ワタミの創業者で現在参議院議員の渡辺美樹氏は、「10坪以下の飲食店で禁煙にしたら間違いなくお店は潰れます」との意見を示しております。

居酒屋での禁煙。私の意見。
出典 渡邊美樹オフィシャルブログ 2017-03-05
実は私も、今から12年前に「禁煙居酒屋」を
大手居酒屋チェーン店では初めて挑戦したのですが、
1年足らずで撤退、つまり、「大失敗」してしまった経験があります。
そんな経験をもつ元経営者の政治家として、私は次のように考えています。
現実問題として、
10坪以下の飲食店で禁煙にしたら、
間違いなくお店は潰れます。(中略)
そんなお店をすべて潰して良い訳がありません。
ですから、
10坪以下の飲食店では、
禁煙は対象外にするべきです。
10坪以下の飲食店はプライベートゾーンとして考えます。

更に、もし飲食店などの屋内の全面禁煙や罰則が実際に施行された場合、外食市場での売り上げに8401億円ものマイナスの影響が及ぶとの予測もあるのです。

受動喫煙防止法案、外食産業に8400億円の打撃 民間調査
出典 日本経済新聞2017/3/3
 民間調査機関の富士経済は3日、厚生労働省が今国会に提出する方針の「受動喫煙」を防ぐための法案が外食産業に与える影響に関する調査結果を発表した。飲食店などの屋内の全面禁煙や罰則が実際に施行された場合、外食市場での売り上げに8401億円のマイナスの影響が及ぶとした。特に飲食しながら喫煙するスタイルが定着している「居酒屋、バー、スナック」への影響が6554億円と最も大きかった。
 調査は富士経済が東京、愛知、大阪の3都市圏にある居酒屋やカフェ、レストランなどの店舗運営の責任者に対し、法案が実際に施行された場合の売り上げ予想を聞き、有効な回答のあった1020店の結果をもとに市場への影響を予測した。(中略)
 業態別の売り上げへの影響で「居酒屋、バー、スナック」が最も大きかったのは、顧客の多くが喫煙者であるためだ。顧客のうち喫煙者の割合は53.8%を占め、他業態に比べて高かった。店内が全面禁煙になった場合に、客数減を予想する声は72.9%に上った。
 厚労省の法案の方針では飲食店は屋内禁煙だが、喫煙専用室を設けることは認める。だが居酒屋やバーは店舗面積が狭かったり、資金余力が少なかったりすることなどから現時点で分煙設備を設けているところは少ない。法案施行による売上金額への影響が続く期間は「1年以上、見通しが立たない」との回答も72%に上り、長期にわたって、売り上げ減を取り戻せないと懸念する声もみられた。
 そのほかの業態では「カフェ、喫茶店」が1173億円、「レストラン」が674億円とそれぞれ法案施行で売り上げにマイナスの影響があるとした。

また、「全国生活衛生同業組合中央会」「全国飲食業生活衛生同業組合連合会」「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会」「大阪外食産業協会」「日本フードサービス協会」の5団体は、一律禁煙でなく分煙など自主的取り組みへの理解を求める決議を採択しました(朝日デジタル2017年1月13日)。

この緊急集会では、喫茶店などが加盟する全国生活衛生同業組合中央会の大森利夫理事長は「会員からは廃業に追い込まれる」との懸念を表明しております。

出典 時事通信 1/12(木)
外食メーカーでつくる日本フードサービス協会などは 12 日、政府が検討する受動喫煙防止対策の強化に関する緊急集会を東京都内で開いた。
集会では、飲食業などに一律で建物内禁煙を求める厚生労働省案に反対意見が相次ぎ、
「分煙」を中心に自主的な取り組みを推進すべきだとの決議を採択した。
厚労省は昨年、2020 年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、飲食や宿泊などのサービス業は一律で原則建物内は禁煙とする案を提示。フード協の菊地唯夫会長は「(受動喫煙防止強化の)方向性に異論を唱えているわけではない」と語った上で、「外食は多様性が魅力の産業。禁煙か喫煙かどちらかを選べというのは乱暴な議論だ」と強調した。
喫茶店などが加盟する全国生活衛生同業組合中央会の大森利夫理事長は「会員からは廃
業に追い込まれるとの意見も寄せられている。知恵と工夫で『分煙先進国ジャパン』をつ
くろう」と訴えた。

更に、全国で5000店舗以上が営業している麻雀業組合総連合会も反対の立場であり、民間病院を中心とした四病院団体協議会(四病協)は、「敷地内全面禁煙は現実的でない。弾力的に考えてほしい」と要望しております。

「受動喫煙防止」法規制反対! 現場の主張<下>
2016年12月29日
一律の原則建物内禁煙には、麻雀業組合総連合会も反対の立場だ。
「全国で5000店舗以上が営業していますが、大半が20~30坪の店です。ストレス解消、気分転換でいらっしゃるお客さんの喫煙率は高い。プレー時間も4、5時間となるので、禁煙となったら営業に影響が出ます。うちの店でも入り口で禁煙と分かると帰ってしまうお客さんがいます。喫煙室を設置するには麻雀卓を1卓減らさなければならず、これも厳しい。受動喫煙対策の必要性は認識していますが、一律の規制は考え直していただきたいですね」(高橋氏)
一方、今回の厚労省のたたき台には病院関係者からも異論が上がっている。民間病院を中心とした四病院団体協議会(四病協)は、ヒアリングで「敷地内全面禁煙は現実的でない。弾力的に考えてほしい」と要望した。患者の入院期間が平均3~5日間と短い米国に比べ、日本は平均で16・8日間と長く、生活に近いという実態を紹介し、「生活に近い療養病棟は建物内禁煙で」と主張した。これに対して健康課長は「敷地内の喫煙所はできない」とバッサリ。四病協の受動喫煙問題担当で日本精神科病院協会(日精協)の山崎学会長は12月発行の日精協会報に「禁煙運動というファッショ」というタイトルの一文を寄せた。

自民党のたばこ議員連盟は、対案として飲食店が「喫煙可」のステッカーなどを掲げれば建物内でも喫煙できるとする規制案をまとめております。

飲食店内の喫煙認める対案作成 自民・たばこ議連
出典 日本経済新聞 2017/3/7
 自民党のたばこ議員連盟は7日、飲食店が「喫煙可」のステッカーなどを掲げれば建物内でも喫煙できるとする規制案をまとめた。厚生労働省は居酒屋や焼鳥店などの飲食店を原則禁煙とする受動喫煙対策を策定済み。政府・与党の調整は難航する可能性がある。
 議連案は厚労省の対案との位置づけ。喫煙の可否の表示を飲食店に義務づける。厚労省は小中高校や医療機関の敷地内を禁煙にする方針だが議連案は専用室の設置などを条件に喫煙を認める。
 議連会長の野田毅衆院議員は、タバコ農家などを念頭に「生計の基盤を損なわれてしまいかねない関係者が多々いる」と述べ、厚労省に働きかける考えを示した。一方、同省幹部は「議連案では受動喫煙が十分に防げない。歩み寄りは考えていない」と強調した。

一方、分煙ソリューションは、タバコの有害物質等の除去能力が不十分との指摘もありますが、ほぼ100%タバコの煙に含まれる有害物質等を樹居出来るソリューションも出来てきました。

下記に紹介する分煙キャビンは、タバコの煙に含まれる粒子状成分をほぼ100%除去できるのです。

出典 クリーンエア・スカンジナビア株式会社 ウェブページ
Qleanair(クリーン・エア)とはスウェーデンで創業し、25年以上の歴史を誇るグローバルな分煙ソリューションメーカーです。「分煙キャビン」は北欧・スウェーデンで非喫煙者によって喫煙者との共存のために開発されました。このシステムは、タバコ由来のガス状成分と臭いを完全に除去し、「喫煙」にまつわる諸問題を解決できる次世代の分煙ソリューションとして、世界をリードし続けています(欧州を中心に15カ国で約5500台の導入実績)。
クリーンエアの「分煙キャビン」は単なる喫煙室とは機能が大きく違います。換気によってタバコの煙を外に排出するのではなく、人がタバコに火をつけた瞬間から煙を強力に吸引し、特殊な処理によって空気清浄をするシステムなのです。分煙キャビンには、約0.11μの粒子を99.9995%ろ過するHEPA(高効率空気濾過)フィルターシステムが内蔵されており、これによりタバコの煙に含まれる浮遊粉じん、ニコチン、揮発性有機化合物などが、ほぼ除去されます。分煙キャビンの性能は、国内第三者研究機関およびスウェーデン王立研究所の厳格な検査によってその確かな品質が認められています。
また、吸い殻については、特殊な灰処理システムにより窒息消化され、回収された吸殻が大量であっても外に臭いが漏れない設計となっており、火災の心配もありません。このように高性能な吸収濾過機能のおかげで、驚くことに分煙キャビンはドアで密閉された個室ではなく、外部とオープンな空間を共有することができるのです。分煙キャビン室内でさえタバコのニオイがシャットアウトされているので、非喫煙者がキャビンの近くに来てもお互いストレスなくコミュニケーションが可能です。設置スペースも、少し大きめの電話ボックスサイズから用意されており、通常の100vの電源で設置可能な、省スペース・省エネ設計となっています。フィルター交換と吸殻の回収はクリーンエアによる定期メンテナンスによって行われますので、維持管理に手がかからないことも利点のひとつです。

最後に、経済アナリスト・森永卓郎氏は、「分煙してくれと言っているだけ。誰に迷惑もかけず、喫煙者だけでタバコを楽しむことも許さないことは”人権無視”っていうか、ひどい”人種差別”だと思う」と厳しく批判をしています。

森永卓郎氏、厚労省を激しく批判 喫煙規制は「ひどい人種差別」
出典 (AbemaTV/AbemaPrimeより)森永卓郎2017年3月1日 17時27分
 「一日一箱吸っている。死ぬまで吸ってやると言っている」。自他共に認める愛煙家の経済アナリスト・森永卓郎氏は、ある地方都市に出張した際、屋内外だけでなく、路上も禁煙と言われ、タバコを吸うために徒歩10分かかる市役所の喫煙所まで行ったというエピソードを披露、厚労省の方針について「一言で言えばファシズムそのもの」と一刀両断する。

 現在、世界各国でも屋内禁煙化が進んでいるが、一方で路上やテラスでの喫煙は許されているケースが多いという。「この法案が通れば、日本は世界で最も厳しい喫煙規制が敷かれることになる」と森永氏。

 「今回の法律はタバコを吸う人だけを入れる飲食店も全面禁止するということ。喫煙者は受動喫煙させたいなんて誰も思ってない、分煙してくれと言っているだけ。誰に迷惑もかけず、喫煙者だけでタバコを楽しむことも許さないことは”人権無視”っていうか、ひどい”人種差別”だと思う」と厳しく批判した。(中略)
 森永氏は「厚生労働省の一部の人たちの間で、タバコ嫌いが宗教的になっている。喫煙者そのものを殲滅しようと考えている。年金のことを考えれば、厚生労働省は科学的にも”どんどんタバコを吸って早く死ね”という政策を進めるべきだ」と激しい口調で持論を展開。さらに、「もしかしたらアメリカの圧力がかかっている可能性もある」と示唆。(中略)
 森永氏は「”地下に潜る”飲食店が増えた結果、暴力団などの資金源になることもある。あまりに追い詰められると、逆に社会的不安が深まる」との懸念を示した。

反対側の意見に対する賛成側の反ばく

第1に、「受動喫煙」と「健康」のあいだには「因果関係」は明確なのです。

ここで、因果関係とは、2つのことがらのうち、片方が原因となって、もう片方が結果として生じる関係のこと。「受動喫煙」と「健康」のあいだに因果関係がある場合、受動喫煙によって健康が損なわれるということになります。

この因果関係は、同じアルゼンチン国で同時期に、完全禁煙を実施した北部に位置するサンタフェ州とレストランやバーに換気装置を設置すれば喫煙してもよいという緩い規制を導入した首都のブエノスアイレス市の2つの都市において、住民の健康状況を比較することでわかるのです。

この比較の結果、2つの地域では規制が導入された後も喫煙率は変化しなかったことから、厳しい規制を導入したサンタフェ州(介入群)では心筋梗塞による入院患者がブエノスアイレス市よりも13%も低くなったことがわかり、受動喫煙の因果関係が証明できたと考えられます。

飲食店を全面禁煙にすると人々の健康や店の売上はどうなるのか
出典 ダイアモンドオンライン「原因と結果の経済学」【第5回】2017年2月21日
 受動喫煙を受けると不健康になるのか。これを明らかにすることはそう簡単ではない。多くの場合、受動喫煙は一緒に暮らしている家族にとっていちばん深刻だろうが、健康への意識が高くてタバコが嫌いな人は、そもそも喫煙者と一緒に暮らす可能性が低いかもしれない。

 これを明らかにするためには、「受動喫煙」と「健康」のあいだには「因果関係」があるのか、それとも「相関関係」にすぎないのかをよく考える必要がある。つまり「受動喫煙によって健康を害したのか」(因果関係)、それとも「健康に対する意識が低い人ほど喫煙者と一緒に生活している」(相関関係)だけなのか、どちらなのだろうか。

因果関係……2つのことがらのうち、片方が原因となって、もう片方が結果として生じる関係のこと。「受動喫煙」と「健康」のあいだに因果関係がある場合、受動喫煙によって健康が損なわれる、と言える。
相関関係……一見すると片方につられてもう片方も変化しているように見えるものの、実は原因と結果の関係にない関係のこと。「受動喫煙」と「健康」の関係が相関関係にすぎない場合、たばこを吸わない人が受動喫煙を受ける環境に長時間いても、それによって健康被害を受けることはない。

 そこで、アルゼンチンのデータを用いた研究を紹介しよう。2005年に世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組条約」を批准して以降、アルゼンチンでは急速にたばこ規制が強化された。しかし、地方分権が進み、国よりも州のほうが政治や財政面での自治権が大きいアルゼンチンでは、たばこ規制への対応も州によってばらつきがあった。

 たとえば、アルゼンチン北部に位置するサンタフェ州は、2006年8月から公共の場所では完全に禁煙とする厳しい規制を導入した。たばこを吸った人や、それを知りながらやめさせなかったレストランやバーを通報するホットラインまでもが設けられた。
 規制に違反すると、喫煙者当人のみならず、黙認した店舗も罰金を支払わなくてはならない。さらに、最終的に店舗は閉鎖に追い込まれるという極めて厳しい措置が取られた。

 一方、同じ時期、アルゼンチンの首都であるブエノスアイレス市は、レストランやバーに換気装置を設置すれば喫煙してもよいという緩い規制を導入した。

 アルゼンチン保健省の研究者らは、この状況を利用して「受動喫煙」と「健康」のあいだの関係を明らかにしようとした。規制の厳しいサンタフェ州(「介入群」と呼ぶ)と緩いブエノスアイレス市(「対照群」と呼ぶ)を比較しようと考えたのである。

 喫煙に対する規制の厳しいサンタフェ州の住民(介入群)と、規制の緩いブエノスアイレス市の住民(対照群)は、「制度の変更」という偶然の要素によってたまたま分かれたと考えられる。つまり、あたかも「喫煙に対する規制を厳しくするかどうかをランダムに割り付けられた」(「ランダム化比較試験。第3回 を参照」のと同じ状態だと考えられる。

 喫煙に対する厳しい規制を受けるかどうかを本人の意思で決められなかったのだから、介入群と対照群のあいだで、喫煙に影響を与えそうなほかの要素が似たもの同士になる。つまり、両者は「比較可能」になるのである。

 介入群と対照群が「比較可能」な状態ということは、この2つのグループの違いは「喫煙に対する厳しい規制を受ける」かどうかだけ、ということになる。この状態で、健康状態を比較すれば、「喫煙」と「健康」の関係を明らかにすることができるというわけである。

 この研究が示した結果は実に興味深い。2つの地域では規制が導入された後も喫煙率は変化しなかったことが示された。喫煙者は規制が導入されたとしても、たばこを吸うのをやめなかったのである。

 それにもかかわらず、厳しい規制を導入したサンタフェ州(介入群)では心筋梗塞による入院患者がブエノスアイレス市よりも13%も低くなった(図表1)。つまり、たばこを吸っていた当人ではなく、受動喫煙を強いられていた人々の健康状態が改善したと考えられる。

即ち、アルゼンチンの2つの地域では喫煙率は変化しなかったが、厳しい規制を導入したサンタフェ州では心筋梗塞による入院患者がブエノスアイレス市よりも13%も低くなったことから、受動喫煙を強いられていた人々の健康状態が改善したと結論を導き出した訳です。

こうした研究結果をもとに、受動喫煙で苦しむ人々は、様々な団体を通じて、例外を認めず完全喫煙の実施を求めているのです。

「例外認めぬ」声拡大…150団体要望
毎日新聞2017年2月25日
 受動喫煙防止を求める声が広がっている。23日のがん対策推進協議会に続き、24日には肺がん患者会や学術・医療関係などの約150団体が塩崎恭久厚生労働相に「例外なき禁煙」を求める要望書を手渡した。国際オリンピック委員会(IOC)などは「たばこのない五輪」を掲げており、東京五輪・パラリンピックを控えた今は「最初で最後のチャンス」(医療団体関係者)と意気込んでいる。
 日本肺がん患者連絡会は「『例外』は患者視点からとても容認できない。屋内全面禁煙の方針を貫いてほしい」と、罰則付きの受動喫煙防止法成立を求めた。塩崎氏との面会後に記者会見した同連絡会の長谷川一男代表は「反対派には、この法律は子どもや孫にたばこの害が及ばない世界や未来を創るものだと考えてほしい」と訴えた。(中略)
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟なども11日に緊急提言し、「例外」を認めないよう求めている。
 受動喫煙対策を巡っては、世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約が2005年に発効し、諸外国では相次いで建物内を全面禁煙にする法制化が進んだ。しかし、日本は対応が鈍く、国際的にも大きく後れを取っている。

第2に、受動喫煙防止は飲食店の売上を減らすことはないのです。

先程の、規制の厳しいサンタフェ州と緩いブエノスアイレス市のレストランやバーの売上を比較したその後の研究では、2つの地域の売上に統計的に有意な差がなかったことが示されました。

更に、アメリカ、メキシコにおいても、全面禁煙によってレストランやバーの売上だけではなく、ホテルや施工業界の売上にも影響を与えないことが明らかになっているのです。

また、ブエノスアイレスやアメリカの複数の都市では飲食店の全面禁煙によって逆に店の売上が増加したこともあるというのです。

飲食店を全面禁煙にすると人々の健康や店の売上はどうなるのか
出典 ダイアモンドオンライン「原因と結果の経済学」【第5回】2017年2月21日
 しかし、このような反論が聞こえてきそうだ。「あまりに喫煙に対する規制を強くすると、バーやレストランでの売上が減り、地域の経済に悪影響を与えてしまうのではないか」と。経済に悪影響を与えるのであれば、喫煙に対する規制をとにかく強化すればよい、ということにはならないのかもしれない。

 実はアルゼンチンの研究は、健康面だけでなく、「喫煙」と「地域の経済」のあいだの関係も明らかにしている。規制の厳しいサンタフェ州(介入群)と緩いブエノスアイレス市(対照群)のレストランやバーの売上を比較したその後の研究では、2つの地域の売上に統計的に有意な差がなかったことが示されている(「有意な差がなかった」というのは、その差が偶然による誤差の範囲で説明できてしまうということだ)。

 アメリカでも複数の州や都市で同様の規制が導入されており、メキシコシティでも2008年に同様の規制が導入されている。そして過去の研究より、それらの規制はレストランやバーの売上だけではなく、ホテルや施工業界の売上にも影響を与えないことが明らかになっている(ブエノスアイレスやアメリカの複数の都市では飲食店の全面禁煙によって逆に店の売上が増加したことが示唆されている)。さらには、39個の研究を統合したメタアナリシスでも、飲食店の完全禁煙化は店の売上に悪影響を与えないことが明らかになっている。

 日本は受動喫煙を防止する規制や対策が十分ではない国として知られるが、この研究から、ブエノスアイレス市のように部分的な受動喫煙防止策では、たばこを吸わない人々を受動喫煙の被害から守るだけの十分な効果が得られないことがわかる。

 日本人を対象にした研究ではないのだから結果は違うはずだ、という反論もあるかもしれない。しかし、アメリカの複数の都市や州、メキシコシティ、アルゼンチンなど世界中の複数の地域において同じような「因果関係」が明らかになっているものの、日本だけ何の根拠もなく違うという主張をするのには無理があるだろう。

更に、イギリスでは、2008 年末までにパブも完全禁煙とする法律が施行されが、パブの利用者は減らなかった。また、アルコールのみを提供するパブの数は 2000 軒以上減ったが、アルコール飲料と食事を提供する店舗の総数は 4000 軒以上増えたというのです。

また、日本を訪れる外国の方々の 7 割以上は、バーレストランが法律で完全禁煙とされた国から来ており、「分煙先進国ジャパン」など世界の笑い物でしかないと日本禁煙学会は指摘しております。

日本フードサービス協会 会長 菊地唯夫様「分煙先進国ジャパン」?
出典 一般社団法人日本禁煙学会 2017 年 1 月 15 日
屋内完全禁煙法施行によってバーやレストランの売上が減ることはないことは国際常識
となっている。それは、売上が減ると言う事前の懸念のほとんどが杞憂に過ぎなかった事
のほかに、サービス業界が、完全禁煙実施後でも利用者や売上が減らないように、積極的
に業態を変えたことによるものである。たとえば、イギリスでは、2008 年末までにパブも
完全禁煙とする法律が施行された。しかし、パブの利用者は減らなかった。また、アルコ
ールのみを提供するパブの数は 2000 軒以上減ったが、アルコール飲料と食事を提供する店舗の総数は 4000 軒以上増えた。禁煙法をきっかけとして、タバコを吸いながらビールを飲むという伝統的な営業形態を変えたパブが多いことを意味している。これらの企業努力と相まって、完全禁煙法によっても飲食業界の総売り上げは減らなかったのである(参考2)。飲食施設完全禁煙という世界標準を実現することが貴業界の未来を作る
受動喫煙防止の必要性と緊急性が科学的に明らかになった現在、日本の外食業界は、喫
煙と飲食の両方を提供するという伝統的サービス業態を終了させ、全面禁煙すべき時期に
来ていると認識すべきである。しかも、国際的には周回遅れの恥ずべき状況となっている
ことに気付くべきである。「分煙先進国ジャパン」など世界の笑い物でしかない。日本を訪
れる外国の方々の 7 割以上は、バーレストランが法律で完全禁煙とされた国から来られて
いる。中国本土からの旅行者は 25%を占めるが、北京の飲食施設は既に全面禁煙であり、
上海でも本年 3 月から全面禁煙となる。つまり、海外からのお客様のほとんどは、飲食施
設が完全禁煙の国あるいは地域から来られるのである。「クール・ジャパン」でなく「スモ
ーキー・ジャパン」のままでオリンピックを迎えられるのか? 今が正念場である。


一方、日本での調査によれば、全面禁煙の飲食店の利用頻度について、42%が「増える」と回答。「減る」は13%だったのです。

「例外認めぬ」声拡大…150団体要望
毎日新聞2017年2月25日
 また、九州看護福祉大の川俣幹雄教授は全国約1万人を対象に実施した調査結果を公表。全面禁煙の飲食店の利用頻度について、42%が「増える」と回答。「特に変わらない」は39%、「減る」は13%だった。
 川俣教授は「飲食店の禁煙化で収益が減るとの懸念があるが、調査結果は逆に(収益が)増える可能性が示された。科学的なデータに基づき政策を決定すべきだ」とした。

「そんなにたばこの煙が嫌ならば禁煙のお店に行けば良いだけだろう」という反論をする人がいるかもしれませんが、それが出来ないのが日本の現状なのです。

食べログに掲載されている店舗数は2017年1月19日12時の時点で848,992店ですが、そのうち完全禁煙のお店は僅か127,761店に過ぎません。たった15.05%しか無いというのです。

しかも、「分煙」のお店を選んだにもかかわらず、単に喫煙者と非喫煙者の席を離しているだけで、空気が分かれておらず受動喫煙の害を被ったことがあるのです。

五輪に向けた禁煙規制を邪魔する喫煙者の”思い上がり”
出典 【勝部元気のウェブ時評】2017年1月19日
また、食べログ等の飲食店情報サイトで「分煙」のお店を選んだにもかかわらず、単に喫煙者と非喫煙者の席を離しているだけで、空気が分かれておらず受動喫煙の害を被ったことがある人もいるのではないでしょうか? 私も何度かそのような経験があります。

分煙というのは「席が分かれていること」ではなく、読んで字のごとく「煙が分かれていること」が正しい意味ですから、単に席が分かれていることをもって分煙と表記するのは明らかに虚偽表示です。一刻も早く飲食店情報サイトは適切な表記基準を設けて、消費者庁も飲食店や飲食店情報サイトに対して是正を促して欲しいものです。

これに対して、「そんなにたばこの煙が嫌ならば禁煙のお店に行けば良いだけだろう」という反論をする人がいるかもしれませんが、それは日本の飲食店は非喫煙者を阻害しているという現状を無視した暴論です。食べログに掲載されている店舗数は2017年1月19日12時の時点で848,992店ですが、そのうち完全禁煙のお店は僅か127,761店に過ぎません。たった15.05%しか無いのです。

日本の喫煙人口は19.3%ですから、完全禁煙が約8割で、それ以外のお店が約2割というなら人口比的には公平なのかもしれません。ですが、84.95%ものお店が受動喫煙の被害に遭う状態であり、明らかに非喫煙者が受動喫煙という暴力に遭うケースのほうが多いのです。被害者側が被害に遭わないようにするために選択肢が5分の1以下に削られるというのは明らかに不公平だと言えるでしょう。

分煙に関われる更なる問題は、喫煙区域で働く方々の健康を守ることはできないことです。

特に、日本の飲食店労働者281万人のうち、未成年者が8%、23%は妊娠可能年齢の女性、35%は受動喫煙で持病が悪化しがちな中高年の方々なのです。

こうした人々を受動喫煙から守るには、分煙では決して出来ないのです。

出典 日本禁煙学会(松崎道幸理事作成)2015 年 6 月 16 日
「分煙」では、喫煙区域で働く方々の健康を守ることはできません。日本の飲食業従業員の8%は未成年、23%は妊娠可能年齢の女性、35%は受動喫煙で持病が悪化しがちな中高年の方々です。完全禁煙こそが、すべての人々の生存権を守ることのできる唯一の方法です。
受動喫煙防止法制定にあたっては、あれこれの分煙的措置を認めるのではなく、例外なき 100%完全禁煙の実施を義務付けることが、最も現実的であり、高い世論の支持を受けることが先行実施国、地域の経験から明らかになっています。

日本の飲食店労働者281万人の年代性別内訳
【出典】平成21年労働力調査年報
未成年8%
20-39才女性23%
50才以上中高年35%
その他34%

最後に、完全禁煙に対して「禁煙ファシズム」と批判する喫煙者もいますが、彼らこそ「喫煙ファシズム」である、との批判の声を紹介したいと思います。

「煙突から発ガン性物質を慢性的に排出する工場が自宅の目の前に進出すると聞いて、反対する人は「嫌煙家」と呼ぶでしょうか?」と問題を提議しています。

五輪に向けた禁煙規制を邪魔する喫煙者の”思い上がり”
出典 【勝部元気のウェブ時評】2017年1月19日
このように喫煙に関して様々な規制強化を求めていると、「嫌煙家」や「禁煙ファシズム」と言われることがあります。WHOからも批判され、世界標準から日本が取り残されているという現状を鑑みればあまりに禁煙を求めることをファシズムになぞらえるのは時代遅れの感覚でしょう。むしろ日本だけ喫煙を認めている実態を考慮すれば、禁煙ファシズムと批判する彼等こそ「喫煙ファシズム」の間違いではないでしょうか。

また、「嫌煙家」という表現も喫煙者の思い上がりから来る表現だと思うのです。というのも、自分の前でたばこを吸っても構わないという非喫煙者は、”特別に許してあげている”に過ぎません。むしろ許可する彼らのことを「許煙家」として特別視するほうが正しい認識でしょう。にもかかわらず、寛大過ぎる彼らのような存在を当たり前のように捉えて、嫌がる人を「嫌煙家」として特別視するのは自分勝手な思い上がりです。

たとえば煙突から発ガン性物質を慢性的に排出する工場が自宅の目の前に進出すると聞いて、反対する人は「嫌煙家」と呼ぶでしょうか? もちろんそんなことはありません。反対して当たり前だからです。それと同様、たばこに関しても発がん性物質を吸引させようとすることに対して嫌がることは至極当たり前のことであり、「嫌煙家」として悪者に仕立て上げるような表現は悪意に満ちていると言わざるを得ません。

賛成側の意見に対して、反対側の反ばく

始めに、肺がんは、非喫煙で受動喫煙を受けない人においても発症することを示したいと思います。

国立がん研究センターは、動喫煙と肺がんとの関係が確実になったと結論付けておりますが、受動喫煙と肺がんの関係が確実になったと結論づけることは、困難と考えられます。

例えば、約5万人の非喫煙女性中の受動喫煙を受けない肺がん死亡者は42人であり、受動喫煙を受けた肺がん死亡者は46人だったのです。

受動喫煙と肺がんに関わる国立がん研究センター発表に対するJTコメント
出典 出典 2016年8月31日 日本たばこ産業株式会社
受動喫煙を受けない集団においても肺がんは発症します。例えば、今回の解析で選択された一つの研究調査でも、約5万人の非喫煙女性中の受動喫煙を受けない肺がん死亡者は42人であり、受動喫煙を受けた肺がん死亡者は46人でした。肺がん等の慢性疾患は、食生活や住環境等の様々な要因が影響することが知られており、疫学研究だけの結果をもって喫煙との因果関係を結論付けられるものではありません。
また、今回用いられた複数の独立した疫学研究を統合して解析する手法は、選択する論文によって結果が異なるという問題が指摘されており、むしろ、ひとつの大規模な疫学研究を重視すべきとの意見もあります(※)。今回の選択された9つの疫学研究は研究時期や条件も異なり、いずれの研究においても統計学的に有意ではない結果を統合したものです。
これまで、受動喫煙の疾病リスクについては、国際がん研究機関を含む様々な研究機関等により多くの疫学研究が行われていますが、受動喫煙によってリスクが上昇するという結果と上昇するとは言えないという結果の両方が示されており、科学的に説得力のある形で結論付けられていないものと認識しています。

更に、受動喫煙の元となっている平山論文自体が、1984年4月に7人の専門家がウィーンに集まり開催された「受動喫煙に関する国際円卓会議」において、「平山理論は一貫性がなく、科学的証拠に欠ける仮説にとどまる」と評されていたのです。

「受動喫煙」説のいかがわしさを突く
出典 iRONNA 肺ガンとタバコの因果関係を考える〈下〉
 BMJ(筆者注:イギリスの医学情報誌)には1981年だけで、平山論文に対するコメントが12本も掲載されているが、ほとんどは疑問か異議の部類で、平山自身も三本の反論を送っている(※31)。異例と言ってよいが、1984年4月には7人の専門家がウィーンに集まり、「受動喫煙に関する国際円卓会議」を開催する。平山も追跡期間を2年延長した第二論文を提出、討議にも加わったが、議事記録を通読すると孤軍奮闘する平山を吊し上げる会かと思えなくもない
(中略)
 ウィーンの円卓会議で問いつめられた平山は、短いBMJ論文に記載していなかった情報を持ちだし、検証のしようがないと不満を買ったが主張は変えず、「一日5本でも肺ガンになる」式につっぱねた。ガーフィンケル博士が「平山博士は肺ガンと受動喫煙の関係をprobableと言ったが、私はpossibleと言い直したい。肺ガンと能動喫煙までなら折りあえるが」と食いさがるや、平山は「タバコを廃絶したら、こんな論争は不要になる……私は probableの線で政府とWHOへ働きかけたい」と突き放した。

 最後に座長のレーナート博士が「平山理論は一貫性がなく、科学的証拠に欠ける仮説にとどまる」としめくくったが、「今後も社会問題として論争はつづくだろう(※34)」と予告するのを忘れなかった。

即ち、受動喫煙の論文自体が、科学的証拠に欠けていると評されていたわけです。

こうした科学的証拠に欠けた論文を根拠とした受動喫煙自体が、信憑性に欠けるのは自明のことと考えられます。

中部大学教授の武田邦彦氏は、イギリスの死亡者数に対して、イギリスと同じくらいの喫煙率であるフランスの肺がん死は約半分であることから、「たばこは肺がんの元という先入観は捨てるべき」と断言しております。

たばこと肺がんの因果関係「男性の6割近くが無関係」と識者
出典 NEWSポストセブン 2013.10.18
 さらに、世界各国の喫煙率と肺がんの死亡者数を比べてみると、ある傾向に気付く。中部大学教授の武田邦彦氏がいう。
「イギリスは肺がんによる死亡者数は10万人あたり721人ですが、イギリスと同じくらいの喫煙率であるフランスの肺がん死は386人と約半分。イギリスやドイツ、ロシアといった北にある国々が喫煙率に対して肺がん死が多い傾向があることが分かります。

 この原因はさまざま考えられます。車の排気ガスによる大気汚染や、断熱材を使った建造物から出るアスベスト粉塵、暖炉やストーブを焚くことによる室内環境の悪さ……。たばこだけを悪者にすることによって、それ以外の肺がんの主たる要因を見逃しているのです。この責任は一体誰が取ってくれるのでしょうか」

 日本も決して例外ではない。1960年代後半に83%以上いた男性の喫煙率は、現在半分以下の40%を切っている。その反面、肺がんの死亡者数は右肩上がりで年間6~7万人にまで膨れ上がっているのだ。武田氏が続ける。
「肺がんの中でも、喫煙と関係が深いとされているのは肺の入り口に近い部分にできる『扁平上皮がん』です。しかし、このがんは肺がん全体の25~30%しか占めておらず、転移が遅く、早期発見なら治療の可能性も高い。
 かたや、最近では男性の肺がんの6割近くは、肺の末梢部分にでき、たばことはあまり関係のない『腺がん』なのです。この事実は医学界でも知られていることです」
 ではなぜ、たばこだけが肺がんの誘発要因とされているのか。大気汚染の有害物質を調べる大学教授はこう指摘する。
「車の排気ガスやアスファルトの粉塵、工場の煤煙などに含まれるPM2.5(微小粒子状物質)は毒性が強く、たくさん吸い込めば肺の奥まで達するために、ぜんそくや肺がんを引き起こすと見られています。
 今でこそ中国から飛散するPM2.5の人体に与える健康被害が心配されていますが、これまで科学的なデータを取ってこなかったのは、クルマ社会や工場のフル稼働によって人間が恩恵を受けてきたから。その一方、『百害あって一利なし』といわれるたばこは禁煙運動の流れもあって槍玉に挙げやすかったのです」
 前出の武田氏は「たばこは肺がんの元という先入観は捨てるべき」と断言する。

次に、合法的な嗜好品であるたばこを吸う喫煙者の権利も侵害してはならないのです。

飲食店禁煙案 BARでは吸えて居酒屋では吸えない矛盾
2017年03月12日 16時00分 NEWSポストセブン
 禁煙推進派にとってみたら、「それならば、初めから例外を設けず、すべての飲食店を屋内禁煙にすればいい」と主張するはず。だが、前出の小城氏はこう反論する。

「仮に店内をすべて禁煙にして、喫煙者は店の外でという諸外国に方式に倣ったとしても、今の日本は特に人通りの多いエリアでは路上喫煙を禁止している自治体が多い。また店先に灰皿を置けば、お客さんでない喫煙者が集まってきたり、吸い殻の管理など安全上の理由からも問題があるでしょう。

 やはり、店側の自主的な取り組みや、喫煙者の配慮に委ねた“日本ならではの分煙社会”を進めていくべきだと思います」
(中略)
 もちろん、受動喫煙の影響を最小限にとどめることは時代の流れからいっても喫緊の課題であることは間違いない。だが、合法的な嗜好品であるたばこを吸う喫煙者の権利も侵害してはならないはず。

また、自由民主党 衆議院議員の石破茂氏は、「一律に原則禁煙とするのはあまりに一方的」であり「なるべく選択の自由があるようにすべきだ」と意見を述べております。

出典 NHKウェブニュース自民紛糾!「原則禁煙法案」最前線
「おじさんたちが、その日1日の仕事が終わって、飲みながら居酒屋でたばこを吸うのは至上の無上の喜びみたいな人もいる訳です、いっぱい。それで成り立っている飲み屋街だってある。人々が集まるのは、それなりに意味があることだと思う。だからここは喫煙酒場です、喫煙居酒屋です。喫煙ラーメン屋ですと。『苦手な人はお入りにならないでください』というのはあって、何がいけないのか」
「居酒屋はだめで、スナックはいいと言うが、じゃあスナックで焼き鳥を出したらどうするのか。スナックはよくて、居酒屋がダメというのがよくわからない。たばこ吸うやつは社会の敵だとか、禁煙を強制するのはファシズムだとか、そんな話にあまり生産性はなく、守らなければならないものは何かをきちんと決めて、その間は、なるべく選択の自由があるようにすべきだ」

受動喫煙防止へ罰則付きで法整備することについて、賛成と反対の両面から検証してきました。

皆様は、受動喫煙防止へ罰則付きで法整備することについて、賛成ですか?反対ですか?

なお、行政に携わる地方自治体の方々と住民側として社会行政問題に関わる方々に対して、懸案問題に対して賛成と反対の両面から検討することで、問題の本質を掴み、内因性を理解することで、合理的で本質的な解決策を見出していくことを目指す、ディベート教室をご提案致します。

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