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カジノ法案が可決されました:賛成ですか?反対ですか?

最新事例研究:カジノ法案が可決されました:賛成ですか?反対ですか?

背景

賛否両論あるカジノ法案が昨年12月に成立しました。

カジノ法案成立 与党・維新の賛成多数
出典 日本経済新聞 2016/12/15
カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の整備を推進する法案(カジノ法案)が2016年12月15日未明の衆院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。
法案は14日夜の参院本会議で修正のうえ可決され、衆院に戻されていた。これを受け22時から開かれた衆院本会議で、14日までだった会期を17日まで再延長することを議決し、15日未明に成立させた。法案に反対する野党4党が提出した内閣不信任決議案は、与党などの反対多数で否決された。

しかしながら、議論が充分でないと成立に懸念を示す声が多くあります。

例えば、新聞各紙も一斉に反対の論陣を張っているのです。

推進派も反対する拙速議論でカジノ解禁法案が爆速成立へ 置き去りにされた課題は
出典 BuzzFeed Japan 2016/12/3
新聞各紙も、一斉に反対の論陣を張っている。カジノ推進派である産経新聞でさえも、早急な議論に懸念を表明した。
朝日新聞は12月2日の社説「カジノ法案 危うい賭博への暴走」で、「最大の懸念のギャンブル依存症」と指摘した。
読売新聞も同日、「カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか」という強い見出しの社説を掲載した。「ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全」としている。
産経新聞はこれまで、法案について「多くのメリットが期待される」と好意的に評価してきた。しかし、この日の「主張」では「カジノ解禁法案 懸念解消を先送りするな」と批判。朝日や読売と同様の疑問点を並べ、「多くの疑問を残したまま、駆け込みで事を進めている」と指摘した。

一方、推進派は議論は十分尽くされているとして、真っ向から反論しております。

カジノ法案でギャンブル依存症は増えるのか? 日本は既にギャンブル天国だった
出典 ZAKZAK 2016.12.13
 ■議論は尽くされたか?
 カジノ法案をめぐる動きを長年ウォッチしてきた松井氏は「(蓮舫氏は党首討論で)議論が足りないと言っていますが、旧民主党内でも、もう何年間もカジノについては議論されてきて、問題点などはほぼ洗い出されています。それは超党派のカジノ議連では共通認識です」と首を傾げる。
 そもそも超党派の議連がカジノ導入の動きを本格化させたのは民主党政権のときだった。それなのに「委員会での採決が強行されたので、そうした運営の姿勢を批判するというのなら分かるが、蓮舫氏はカジノを合法化すること自体を根底から批判しました」(松井氏)。
 塩漬けになっていた法案が東京五輪・パラリンピックに合わせて再び動き出したことを前向きに捉えたい。観光振興、地域振興への期待もある。議論を尽くすのはもちろんが、立場上、反対のための反対をするための道具に使われることだけは勘弁願いたいと思うのだが、皆さんはどうであろうか。

さて、推進派は経済効果を狙い成立を急ぐ一方、反対派はギャンブル依存症を危惧しております。

「カジノ解禁法案」成立へ 与野党議論かみ合わぬまま
出典J-CASTテレビウォッチ 2016年12月14日
推進派がイメージするのはシンガポールだ。日本にも幾つかある統合型リゾートにカジノ・ホテルを設けて、経済効果を狙う。賛成派の美原融・大阪商業大教授は、「高い消費力、税収力、地域経済効果などプラスの経済効果は期待出来る」という。安倍首相は「雇用の効果」もうたった。
一方の反対派、新里宏二弁護士は、「一番はギャンブル依存症問題だ」という。日弁連の多重債務問題WGの座長として人間の弱さを見てきた人。これまでは競輪、競馬だったのが、カジノでさらに幅が広がると。見ているところが全然違う。話が噛み合わないのも道理だ。

私は従前よりカジノ問題に関心をいただき、ディベート敎育株式会社ウェブサイトで「ひとりディベート【事例】日本でカジノを解禁すべきか」で賛成と反対の両面から問題を分析してきました。

カジノ法案成立で状況が大きく変化しましたので、これから数回に渡り最新事情をまとめてみたいと考えております。

今回は、昨年成立したいわゆるカジノ法案とはどんな内容なのか、今後はどのように進んでいくのかについて考察してみたいと思います。

さて、成立したカジノ法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」であり、IR推進法とも呼ばれます。

ここで、重要な概念はIRです。

では、IRはカジノを含む統合型リゾートとも言われますが、どういうものなのかを見てみましょう。

IR(統合リゾート)とは、どんな施設なのか
出典 東洋経済ONLINE 2014年07月02日
カジノを含む統合リゾートは、英語ではIntegrated Resorts(IR)と表記されます。IRはカジノのみならず、ホテル、劇場、パーク、ミュージアム、MICE施設などを一つの区域に含む統合施設です。
このMICEとは企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったものです。
IR施設全体のうち、カジノ部分は面積では5%未満に過ぎませんが、売上高では80%以上を稼ぎ出します。IRの収益メカニズムは、施設全体が集客し、カジノ部分が集中的に収益化、マネタイズする仕組みです。逆に言えば、カジノという強力な収益装置が存在するために、カジノ以外の施設(面積では95%以上)は、収支を必要以上に気にすることなく、十分にコストをかけて、最高のサービスの開発し、集客を拡大することだけに専念できます。

さて、今回成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」とは、そもそもどんな法律なのでしょうか?

出典 衆議院 第183回国会 議案の一覧 >議案本文情報一覧
 (基本理念)
第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。
 (国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第五条 政府は、次章の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、このために必要な措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない。

ここから、(第三条)国は基本理念に則り「(第四条)特定複合観光施設区域の整備を推進する責務」があり、「(第五条)必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない」ことがわかります。

即ち、一見すると今回のカジノ法案成立で直ぐにカジノが認可され建設が始まるとの印象がありますが、実は今回のカジノ法案成立だけでは不十分で、1年以内に追加法律を作らなければならないのです。

そこで政府は次のような活動を開始しました。

出典 カジノIRジャパン 2017-01-21
政府は、施行から一年以内を目途に、IR実施法案を策定し、国会に提出する予定。
また、政府は、IR実施法案とは別に、ギャンブル依存症対策基本法案を策定し、2017年の通常国会で提出へ。(中略)
<IR実施法案の策定作業>
・1月6日、「IR区域整備推進本部」の準備室を内閣官房に設置
・3月には「IR区域整備推進本部」(本部長:安倍晋三・首相)が発足へ
・「IR区域整備推進本部」は、当初50名規模(以前の内閣官房の検討チームは約30名)
・ギャンブル依存症対策整備のため、厚生労働省などの職員が検討チームに加わる方向
・IR区域整備推進本部の事務局は、段階的に100名規模へ増強
・有識者で構成する整備推進会議を設置

これに呼応して野党の日本維新の会と民進党は次のような活動を開始しました。

出典 カジノIRジャパン 2017-01-21
各党:IR実施法案の議論・検討、ギャンブル依存症対策整備に向けた動き
日本維新の会
・与党(自民党・公明党)が2017年1月に開始するIR実施法案とその制度設計の議論に参加を検討
・野党が政策立案の段階から与党協議に関わるのは異例
・日本維新の会は、IR推進法案提出者として、IR実施法案に関する与党協議への関与を求めてきた
民進党
・12月21日、内閣部門会議を開催。政府からヒアリング
・ギャンブル依存症対策、IR実施法案の論点(刑法・賭博罪の違法性阻却、カジノ収益の使途など)をチェック
・ギャンブル依存症対策を盛り込んだ議員立法を検討
・ 1月24日、「次の内閣」で、長妻昭・元厚生労働大臣を座長とするカジノ検証プロジェクトチームの設置を決定

自民党と歩調を合わせてきた日本維新の会は当然ですが、絶対反対を表明している民進党もカジノ検証プロジェクトチームの設置をしております。

これはどう捉えたら良いのでしょうか?

IR推進活動を歴史的に見れば、2002年12月に自民党が 「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」を結成したことに遡ります。

その後、2010年4月 超党派議連で「国際観光産業振興議員連盟」が発足し、2011年8月 同議連が、カジノを中心とした複合観光施設の国内整備に向けた議員立法(通称:IR推進法案、カジノ法案)を公表しているのです。

現在、国際観光産業振興議員連盟(IR議連)に参画している国会議員数は与野党の双方合計222名もいるのです。

これは、衆参両議院総数717名の31%にも及ぶのです。

出典 IR(総合型リゾート)研究会 国際観光産業振興議員連盟(IR議連)役員(平成27年3月27日現在)
自民党 148名
民主党 23名
維新の党 27名
公明党 9名
次世代の党 6名
日本を元気にする会 4名
生活の党と山本太郎となかまたち 2名
無所属 3名
合計 222名

IR議連には、民進党からも衆参合計で23名参画しているだけでなく、前原誠司氏を始めとする5名が副会長に名を連ねているのです。

この状況がカジノ法案を複雑しているのです。

総論として言えば、各党の立場としては賛成・反対はあるものの、党を超えて議員レベルで考えると、各党から多くの議員が支持していることがわかります。

賛成側:具体的統合型リゾート(IR)案と経済効果

では、具体的にどこでカジノを含む統合型リゾート(IR)を設立しようとしているのか、そして予想される経済効果を探ってみましょう。

カジノ法案成立に自民と共に党を挙げて賛成したのが、維新の党です。

カジノ法案、維新と二人三脚 自民「地方支援」名目に 苦悩の公明、自主投票
出典 毎日新聞2016年12月3日 
 カジノ法案を巡っては、首相や菅氏に近い日本維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)が先月9日、官邸で菅氏と面会するなど、2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致と並んで協力を求めていた。松井氏は2日、「ぜひ参院でも可決してもらいたい。実施法案の段階でギャンブル依存症対策はきちんとやる」と述べ、官邸との二人三脚ぶりをアピールした。

維新の党は現在で大阪を中心とした地域政党の性格を持っておりますが、維新の党は何を考えているのでしょうか?

実は、大阪湾の人工島・夢洲でカジノを含む統合型リゾート(IR)構想を持っているのです。

カジノ実現なら経済効果1.4兆円 関西同友会試算
出典 産経ニュース 2016.3.2 19:01
 関西経済同友会は2日、大阪湾の人工島・夢洲でカジノを含む統合型リゾート(IR)構想が実現した場合の経済効果は、開業前までに累計1兆4711億円に上るとの試算を発表した。地域活性化の起爆剤になる巨大事業として、2020年の開業を目標に大阪府市に誘致を働き掛ける。
 海外で実績のあるIR運営企業から聞き取りした結果などを参考に試算した。関西同友会は「国際観光の目玉にしたい。夢洲から関西圏を周遊してもらえばさらに恩恵が広がる」と説明した。ギャンブル依存症など負の側面への対策を含む提言を今後取りまとめる。
 IR運営事業者の年間収入が5545億円になるとの前提で試算。投資規模はカジノや国際会議場などIR関連で6759億円、鉄道などインフラ基盤で1千億円とした。雇用創出効果は建設業を中心に9万3114人と見込んだ。
 一方、開業後の経済効果は、年間7596億円、雇用創出はサービス業などに広がり9万7672人と試算している。

即ち、大阪だけで、経済効果は、開業前までに累計1兆4711億円、開業後の経済効果は、年間7596億円、雇用創出はサービス業などに広がり9万7672人に及ぶというわけです。

大阪と並んで、有力視されているのが、安倍内閣の陰の実力者・菅義偉官房長官の地元である横浜市です。

カジノ誘致に異変、なぜ横浜と和歌山が最有力に浮上?東京と大阪は大きく後退
出典 Business Journal 2016.11.17
 しかし、東京五輪後も引き続き、訪日外国人観光客を日本経済の牽引役として期待する地方都市は、東京がカジノ推進の動きを止めている間に、「わがまちにカジノを」と号令をかけて巻き返しを図っている。
 現在、カジノ有力候補地として台頭しているのが神奈川県横浜市だ。横浜市は安倍内閣の陰の実力者・菅義偉官房長官の地元という強味を生かし、横浜財界はカジノ誘致を菅官房長官に働きかけてきた。そうした働きかけが実り、横浜市はカジノ最有力候補地と目されている。
 横浜にカジノが開設されることになったら、カジノの運営業務を担おうと、東京―横浜間に路線を有する京急は色めき立っていた。しかし、京急の思惑は大きくはずされる。
「横浜がカジノ誘致に成功した場合、運営事業者をはじめ周辺のレストラン、駐車場、警備などの業務が発生します。横浜財界の首脳たちは、これらの業務すべてを横浜の企業で賄う考えです。カジノの甘い汁を横浜以外には吸わせない。だから、横浜財界関係者は、横浜以外の企業にカジノ関連業務に参入させないと息巻いています」(業界紙記者)
 仮にカジノ関連業務に横浜以外の企業を参入させてしまったら、横浜財界首脳のメンツは丸潰れになる。求心力の低下は避けられないだろう。だから、カジノの運営や関連事業は横浜の企業だけで回すと、縄張りを意識させるスタンスを貫いているのだ。
 そうした強硬な横浜財界の姿勢に、慌てたのが京急だ。京急は平和島ボートレース場を運営するなど、カジノ運営のノウハウも持ち合わせている。それだけに、横浜にカジノが開設されることに大きな期待を寄せていた。
 ところが京急は本社を品川に構えており、横浜の企業ではない。このままでは、カジノに参入できない。幸運にも品川の京急本社は再開発エリアにも指定されており、新社屋建設の話も出ていた。京急はカジノに参入することも含め、19年までに本社を横浜に移転させる計画を発表。横浜の企業になることを表明し、カジノの参入にも含みを持たせた。

実は、横浜市では平成27 年3 月IR(統合型リゾート)についての検討調査をしております。

その報告書では、経済効果を約 4,100 億円、就業者の増加を約4万1千人、税収を約 61 億円(毎年発生)としております。

出典 横浜市では、IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査 報告書
横浜市 平成27 年3 月
横浜市に IR を導入した場合の経済効果(平成 17 年横浜市産業連関表による算出結果)
IR 売上・観光消費の経済効果:約 4,100 億円(直接効果:2,561 億円、波及効果:1,583 億円) 就業者の増加:約4万1千人、税収:約 61 億円(毎年発生)
 建設投資の経済効果:約 3,900 億円(直接効果:2,500 億円、波及効果:1,422 億円) 就業者の増加:約3万1千人、税収:約 55 億円(一時的)

次に有力視されているのが、北海道です。

北海道・釧路に一大カジノ構想!前のめりの自治体と住民の対立先鋭化「本格的な観光振興を」
出典 Business Journal 2016.08.05
 この統合型リゾート構想には北海道も積極的で、誘致を表明した自治体を支援する方針。道は15年にIRについての調査報告書をまとめ、拠点空港隣接型(苫小牧市)、高原リゾート型(留寿都村)、エコリゾート型(阿寒湖温泉)の3モデルで経済波及効果を試算した。それによると拠点空港隣接型が2560億円前後、高原リゾート型が1811億円、エコリゾート型が1264億円となった。
 釧路市は5月に「釧路市統合型リゾート可能性調査」の結果を公表した。あずさ監査法人に委託したもので、建設の第一候補地は国設阿寒湖畔スキー場周辺で、ここに誘致した場合の経済波及効果は最大1950億円とされている。

北海道で複数の統合型リゾートが同時に設立されることは難しいとは思いますが、一番経済効果が大きい苫小牧市だけでも、2560億円前後の経済波及効果が試算されている訳です。

大和総研によれば、大阪、横浜、北海道の3カ所でスタートした場合、経済効果は年間1兆1400億円、 IRの運営が始まる前の、各施設の建設段階では、累計5兆0500億円が見込めると試算しております。 

カジノ、運営開始されれば名目GDPを0.2%押し上げも
出典 朝日新聞 2016年12月15日
 IRの経済効果には様々な試算がある。大和総研は、大都市型のカジノと地方都市型のIRが、たとえば大阪、横浜、北海道の3カ所でスタートした場合、経済効果(雇用者所得や営業利益などの合計)は年間1兆1400億円で、名目経済成長率(GDP)の0.2%に当たるとの試算を示している。 
 IRの運営が始まる前の、各施設の建設段階では、累計5兆0500億円が見込めると試算する。 
 賛成派は、こうした経済効果のほか、観光誘致や地方都市の税収の増加を強調する。米カジノ運営のMGMリゾーツ・インターナショナルのジェームス・ムーレン会長・最高経営責任者(CEO)はロイターとのインタビューで、投資規模が5000億円から1兆円になるとの見通しを示していた。

 

アベノミクスを標榜する政府としては、経済効果年間1兆1400億円、 IRの運営が始まる前の、各施設の建設段階では、累計5兆0500億円という経済効果は、大変重要であることが理解されます。

反対側:統合型リゾート導入による経済的効果はない

始めに、カジノが日本経済活性化に貢献するかどうかは、海外からどれだけ顧客を獲得できるかにかかっている訳ですが、日本カジノの収益想定は7割が国内客となっており、日本の経済の活性化にはさほど貢献しないと考えられるのです。

「巨大カジノ」で日本経済は本当に良くなるのか?

出典 読売オンライン 静岡大学人文社会科学部教授 鳥畑与一 2016年11月07日
 カジノが経済活性化に貢献するかどうかは、その地域の外から、どれだけ顧客を獲得できるかにかかっていることになる。この「観光目的地効果」(デスティネーション効果)」を発揮するうえで、シンガポールやマカオは極めて恵まれた立地環境にある。中国など近隣諸国の顧客が日帰りも含めてアクセスしやすく、富裕層がカジノを通じてマネーを洗浄し、国外に持ち出すのに最適なオフショア金融市場を利用しやすい。
 国外から顧客が大挙して来訪すれば、巨額のマネーが地元経済に落ちる。マカオとシンガポールでカジノを経営するラスベガス・サンズは、過去5年間で約134億ドルの利益を株主にもたらし、約200億ドルの税(ゲーム税と所得税)を納めた。ただし、その収益の大半は中国富裕層の負け金である。中国の習近平政権の腐敗取り締まり強化でマカオのカジノ収益は急減するなど、ビジネス・モデルのもろさを露呈しているのであるが――。
 では、日本でのカジノ市場の展望はどうだろう? 海外金融機関の分析やカジノ企業トップの発言などから見えてくるのは、海外客より日本人客をターゲットにせざるを得ない事情である。国際観光の目玉として国際競争力のあるIR構想を強調するが、巨額投資と運営費を賄うためには海外客からの収益だけでは間に合わない。韓国のように、基本的にカジノを外国人専用とすることはできないのである。
 ゴールドマン・サックスの推計でも、海外からのアクセスに有利な東京・大阪でさえ、客の7割は国内客である。海外からのアクセスに不利な地方都市なら、余計に国内客に依存すると見込まれる。アジアのカジノ市場は今や飽和状態に突入しているので、状況はますます厳しさを増している。

さらに、経営コンサルタントの大前研一氏は、カジノはVIP(ハイローラー)が収益の85%か稼ぎだすビジネスであり、日本でどうやって稼ぎの中核となるVIPルームを設営していくのか疑問を投げかけております。

大前研一:「カジノは儲かる」は誤り、カジノバブル崩壊の現状をよく見よ(5/5ページ)
出典 日経BPnet 2014.10.22
いずれにしても中国の特殊事情に基づいた極端な状況(ハイローラー)のないカジノは儲からない。カジノは数100ドルくらいしか賭けない一般の人がいくら多く押しかけても収益は上がらない。テーブルあたり一晩に2500万円くらい稼ぐVIPルームが全体の85%くらいの収益を稼ぎ出すから、ハイローラーのいない(パチンコのような)カジノでは投資は回収できない。
つまり“射幸心”を煽らないように風営法で規制されれば、ハナからもうからないハコモノを作るだけの徒労に終る。マカオあたりのVIPルームはワンチップ1000ドルである。パチンコで1玉4000円、というのが許可されない(というより玉の値段をいろいろ変えることを認可しなかった)日本でどうやって稼ぎの中核となるVIPルームを設営していくのだろうか?

一方、日本が抱える大きな問題として「高齢化」があります。高齢化した日本人が本当にカジノで期待されるようなお金を使うかには疑問があるのです。

カジノのメリット、経済効果の賛否
出典 Casinolu 2015/02/20
海外のカジノ事業者は、カジノ収益を日本人に期待しているようですが、2020年以降の年齢分布を考えた場合、試算しているような金額が期待できるでしょうか?
多くの高齢者がわざわざ電車乗り継いでカジノに日々通うでしょうか。それであれば、近くのパチンコに足が向く気がします。
カジノができるころには若者がカジノで遊ぶだけの余剰なお金を持つことができているでしょうか。
カジノの経済効果で大きな金額が出されていますが、あくまでも試算なんです。高齢化社会を迎えている日本に本当にカジノは、経済活性化の有効な手だてなのかを考えてみる必要があるのではないでしょうか。

なお、日本のカジノは、収益の70%が日本人といっても、残りの30%は来日する外国人に頼るわけですが、VIPの多くを占める中国人富裕層がカジノからいなくなっているというのです。

カジノのメリット、経済効果の賛否
出典 Casinolu 2015/02/20
カジノの収益は、当然ですが人が賭けた金額です。多額の賭け金が得るために沢山の人に来てもらうか、1回数百~数千万円を賭ける高額ギャンブラー(VIP)を確保しなくてはなりません。そのVIPの多くが中国人富裕層です。
ただ、現在、中国政府が倹約政策を行っていることで中国人富裕層がカジノからいなくなってきています。そのためマカオのカジノ収益が激減しています。今後、中国人富裕層の動向次第でアジアのカジノ市場が下降していくかもしれません。

実際、カジノの成功例と言われていたマカオが、最近ではカジノ収入がピークの13年比で46・4%減とほぼ半減しているのです。

カジノ 経済破綻 転換進める中国・マカオ 米国
出典 しんぶん赤旗 2016年12月5日 
 中国の特別行政区マカオは、世界遺産とカジノで有名な観光都市です。カジノ産業の収入は2006年に米ラスベガスを超えて以来、世界第1位の座を維持しています。13年にはカジノ収入が過去最高の3607・5億マカオドル(約5兆1400億円)で、ラスベガスの7倍になりました。
 マカオでは国内総生産(GDP)の半分以上をカジノ関連産業が占め、政府の収入の8割がカジノ収入など、カジノに過度に依存した経済になっています。
 しかし、13年から中国政府が反腐敗キャンペーンを本格始動。マカオのカジノ産業は、中国の腐敗官僚のマネーロンダリング(資金洗浄)の場となっていたため、取り締まりが厳しくなりました。現地メディアによると、VIPルームの使用に身分証が必要になり、発覚を恐れた政府や国有企業の幹部はカジノに来なくなりました。
 同時に、中国経済の減速や、アジアの他のカジノ都市との中国人富裕層の奪い合いが激しくなり、14年からカジノ収入が激減。15年は2308・4億マカオドル(約3兆2900億円)と、前年比34・3%減、ピークの13年比46・4%減とほぼ半減しました。
 カジノに依存したマカオ経済も低迷。14年のGDP成長率はマイナス1・2%、15年はマイナス21・5%でした。

状況を悪化させる更なる要因として、海外カジノとVIPを奪い合う競合が考えられます。
即ち、VIPが確保できなければカジノ経営が成り立たなくなるというビジネスリスクがあるのです。

例えば、米国では周辺カジノとの競合に破れた結果、アトランティック・シティのカジノで2015年の収益は25億6000万ドルとピークの半分に、12あったカジノは7つまで減ってしまったのです。

カジノ 経済破綻 転換進める中国・マカオ 米国
出典 しんぶん赤旗 2016年12月5日 
 カジノ大国の米国では、カジノが経済効果をあげ地域に発展をもたらすとして始まったものの、逆に衰退している地域もあります。北東部ニュージャージー州のアトランティックシティー。米国最大都市ニューヨークから南に約200キロにある大西洋沿いの観光都市です。
 1976年に同州がカジノを合法化し、その2年後に最初のカジノが開業。2006年には12のカジノで年間52億ドルの収益を上げました。
 しかしその年をピークに衰退が始まります。ネバダ大学の調査研究機関=ゲーミング・リサーチセンターによると、15年の収益は25億6000万ドルとピークの半分に。12あったカジノは七つまで減りました。
 隣のペンシルベニア州、首都ワシントンに隣接するメリーランド州でもカジノが開業し、利用者が分散したのが原因といわれます。

実際、マレーシアやフィリピンなどアジアのカジノ市場はIR建設ラッシュであり、日本のカジノが予想通りの収益が上がられなくなる可能性があるのです。

「巨大カジノ」で日本経済は本当に良くなるのか?
出典 読売オンライン 静岡大学人文社会科学部教授 鳥畑与一 2016年11月07日
急激に市場縮小に見舞われているマカオでさえ新たなIRが誕生し、韓国では冬季オリンピックを見越して、インチョン空港周辺や済州島でIRが建設中である。なかでも、マレーシアの複合企業ゲンティン・グループによる「リゾート・ワールド・チェジュ」は、シンガポールの「リゾート・ワールド・セントーサ」と同様に、テーマパークや巨大ショッピングモール、展示・会議施設等を備えた大型IRである。
 フィリピンも含めて、アジアのカジノ市場はIR建設ラッシュである。最後発でスタートすることになる日本のIRに、アジアの富裕ギャンブラーは殺到するだろうか? 海外のカジノ企業は、大事な収益源であるVIP客を日本に回すようなことをするだろうか?

反対側:統合型リゾート導入によるギャンブル依存症問題

統合型リゾート導入には、ギャンブル依存症という負の面もあると指摘されております。

初めに、ギャンブル依存症とは何でしょうか?

ギャンブル依存症
出典:ウィキペディア
ギャンブル依存症(gambling addiction、ギャンブルいそんしょう、ギャンブルいぞんしょう)とは精神疾患のひとつで、賭博(ギャンブル)に対する依存症である。ギャンブルを渇望する、ギャンブルをしたいという衝動を制御することができない、ギャンブルをするせいで借金など社会生活上の問題が生じているにもかかわらずやめられない、といった状態が繰り返され、身体的、心理的、社会的健康が害されたり、苦痛であったりする。

始めに理解すべきことは、ギャンブル依存症は意思とかの問題ではなく、脳にも明らかな変化が起きる病気であり、8割方はごく平凡な人が罹るということです。

“ギャンブル依存症” 明らかになる病の実態
出典 クローズアップ現代 2014年11月17日
いったんギャンブルにのめり込むと、なぜやめられなくなるのか。
右側の画像は、一般の人の脳が周囲の刺激に対し、赤く活発に活動している様子を示しています。
一方、左側の依存症患者の脳では活動が低下しています。
ギャンブルにだけ過剰に反応するようになり、脳の機能のバランスが崩れてしまったのです。
京都大学大学院医学研究科 医師 鶴身孝介さん
「意志の問題で片づけられてしまいがちだが、脳にも明らかな変化が起きている。
(ギャンブル依存症の)影響は大きい。」
(中略)
ゲスト田辺等さん(北海道立精神保健福祉センター所長)
●脳は具体的にどう変化する?
ギャンブルで勝った体験が、強烈に脳の記憶に刻印されてしまうんですね。
そのために、繰り返しその刺激を求めていくと。
ギャンブルで勝った時の体験がイメージされて、それが強烈な欲求になってくると。
結果として、ほかの娯楽や、ほかのゲームでの快感というものがあまり感じられなくなって、そういうギャンブルに特異的に反応するような、脳の機能変化が起きてくるんですね。
●どんな人がギャンブル依存症に陥る?
8割方はごく平凡なサラリーマン、公務員、主婦、大学生、あるいは年金生活者です。
ギャンブルの問題が始まるまではごくごく普通に生活を営んでいた人が8割方で、2割方には、少しうつのような方もいらっしゃいます。
ですが、ほとんどの方は、このギャンブルの問題が始まるまでは、ごく平凡な主婦であったり、サラリーマンであった。
ですから私のところに相談に来たご家族が、こんなふうなギャンブル依存症なんて病気はなかなか認められない、先生の言うことは信じられない、だけども私の妻がお金を持ち出して、パチンコやスロットをやって、たくさんの借金を作って帰ってくる。
それがだめだと言って、立ち直ると約束しても、まだ陰で隠れてやっている。
あげくの果てにほかの人の玉にまで手をつけようとする、そのようなことを説明するのには、これはギャンブルの病気になったと受け入れるしかないと、そんなふうにおっしゃるんですね。
もちろん息子さんの場合でも、大学生の息子が、高校まではスポーツも学業も、それから生徒会の役員もやってた。
なんであれが、うちの息子なんだろうというような、そういうこともあるんですね。
そのぐらい病前は普通の方が多いです。

では、ギャンブル既存症になるとどうなるのでしょうか?

参議院議員山本太郎氏は、ギャンブル依存症恐ろしさを国会で取り上げております。

内閣委「日本はすでにギャンブル依存症の大量生産国。さらに依存症を増やすカジノ法案は論外!」
出典「参議院議員 山本太郎」オフィシャルホームページ 2016.12.08.
精神疾患と捉えた方がいいと本格的な治療を訴えてきた方が精神科医の森山成彬さん。これ、NHKの番組で放送されている中の発言をピックアップしたんですけれども、生易しい病気じゃないよ、ギャンブル障害になったら脳が変わるんだと。同じことおっしゃっていますよね、先ほどの方と。
森山さんは九年前、正確な実態を知ろうと患者百人に対して日本で初めてギャンブル依存症の調査を行った。平均的な姿は、二十歳でギャンブルを始め、二十八歳で依存症の兆候が出始めたりとか借金をし始める。二十歳ぐらいでギャンブルを始めたら、もう人によってこれは個人差あるんでしょうけどね。ところが、病院で受診したのは十年余り、ある方の話なんですね、これはね。とにかく周囲の人が依存症の兆候にいち早く気付き本人に治療を受けさせることが重要なんだけれども、見過ごされていると。この中でも、特に百人の方、いろいろ見ていったら、つぎ込んだ金額が平均一千二百九十三万円、中には一億円を超えてもやめられないという人がいたと。
(中略)
夏場になるといつも流れてくる悲しいニュースありますよね。パチンコ屋の駐車場に車を止めて子供を放置したまま死亡させた件数。ちょっとこれ急に、質疑があるというんで急に国会図書館国会連絡室に連絡しまして、事務所で、二〇〇七年以降、どこか一つの新聞社で結構なので新聞記事になっているそういう事例を教えてくださいといったら、二〇〇七年以降で記事になっているので七十三件ヒットしたと。ならなかったものもあるんですかね、よく分からないですけど。親のくせに子供から目を離して何をやっているんだと、そういう次元の話ではないということだと思うんです。親はギャンブル依存症という立派な病気であった可能性が高いと。
ほかにも、家族を巻き込んだ事件というのも数え切れないほどある。一番分かりやすい例を言うと、二〇一四年の十月、長男がギャンブル依存症から抜け出せず、金を無心され続けた六十五歳の父親が追い詰められ、将来を悲観し長男の首を電気コードで絞めて殺害、犯行後に本人も自殺を図った事件。長男は、病院でギャンブル依存症と診断され入院治療を試みたけれども、途中で退院してしまうなどうまくいかなかった。無心が続く。金をくれ、金をくれ、金を出せ。それによって奥様はうつ病を発症して、そんな中、金の要求は更にエスカレートした、金額は少なくとも一千四百万円に上った。
ギャンブル依存症によって、離婚どころではないんだ、一家離散なんて当たり前と。最悪のケースでは家族内での命の奪い合いにまで発展するおそれがあるのがギャンブル依存症である。経済的、社会的、精神的に破壊的な問題が生ずるにもかかわらず、ギャンブル、パチンコ、スロット、競馬、競輪、競艇などを止めることができない状態、これがギャンブル依存症なんだよ。ギャンブルで勝った体験、強烈に脳の記憶にもう染み付いている、刻印されてしまっている。繰り返しその刺激が欲しい、勝ったときの体験がもうイメージされまくって、それが強烈な要求になっていくんだと。結果として、ほかの娯楽やほかのゲームでの快感というものが余り感じられなくなって、そういうギャンブルに特異的に反応するような脳の機能変化が起きてくると。

こうした依存症を防ぐためには、カジノを日本に導入すべきでないとする意見を紹介します。

主張 ギャンブル依存症「対策」いうならカジノやめよ
出典 しんぶん赤旗
 ギャンブル依存症は長く、個人の道徳性や自己責任の問題ととらえられてきました。ギャンブルの提供者はこの見方に都合よく便乗し、ギャンブルの利益は自分のポケットに入れる一方、それで生じる問題は関係ないという顔をしてきました。
 競馬や競輪など6種の公営賭博の胴元である農水省、経産省などの中央省庁は、公営賭博でギャンブル依存症が生じている事実そのものを認めていません。パチンコ・パチスロの大きな権益を握る警察庁も「のめり込みがあることは承知している」と人ごとのようにいうだけです。
 政府は「カジノを機に包括的なギャンブル依存症対策を行う」といいますが、それならなぜ、いままで手をこまねいてきたのか。これでは、お茶をにごす対策に終わることは目に見えています。
 カジノ解禁推進法は、カジノ施設の目的を「財政の改善に資する」としています。カジノを財源としてあてにするのは危険なのに、これでは国や地方自治体がますます“ギャンブル依存体質”になり、ギャンブル利用者拡大政策に乗り出しかねません。依存症対策とは相いれないことです。
 カジノと絡めてギャンブル依存症対策を語るというのが間違っています。カジノが生み出す依存症を防ぐためには、カジノを日本に上陸させないのが一番です。

確かに、日本は先進国の中でも極め付きでギャンブル依存症が多いという調査報告がなされております。

日本のギャンブル障害の有病者数は536万人とされ、イギリスの0.5%、スペインの0.3%、スイスの0.8%、スウェーデンの0.6%、カナダの0.5%、米国の0.42%と比較すると桁違いの高さなのです。

カジノ法案とギャンブル依存症。
出典 ハフポスト2016年12月15日
では、そんなこの国でギャンブル依存症になっている人はどのくらいいるのだろうか。
「日本のギャンブル障害の有病率は、厚生労働省助成の研究班による調査で明らかにされました。2008年の調査で5.6%(男性9.6%、女性1.6%)、2013年の調査で4.8%(男性8.7%、女性1.8%)です。この結果から厚労省は2014年8月、国内の有病者数は536万人と発表しました。ちょうど北海道の人口と同じです。
この有病率は、イギリスの0.5%、スペインの0.3%、スイスの0.8%、スウェーデンの0.6%、カナダの0.5%、米国の0.42%と比較すると桁違いの高さです。アジアでもマカオが1.8%、シンガポールが2.2%にとどまっています」

そのギャンブル依存症の多さを裏付けるのが、なんと世界全体(130カ国あまり)のギャンブル機の60%が日本一国にあるというのです(パチンコ・パチスロ機を含む。これがガンブルであるのかついては次回検証します)。

出典 日本にカジノを
 一目瞭然ですが、全世界の稼働ギャンブルマシン最多国として日本だけ突出しています。GTA(注:オーストラリアの賭博機メーカ団体 Gaming Technologies Association)によると、2011年は全世界で701万1千台のギャンブル機が営業稼働し、その内、日本には421万1千台が設置されているという事ですから、世界に占める日本のシェアは60%にもなります。世界のギャンブル機が6割も日本にひしめいているのです。
 日本のマシン台数は、2位アメリカ(86万2千台)の5倍近くあり、他国を大きく突き放します。

パチンコ、スロットの店舗数は、「コンビニのローソンよりも多く、全国に1万2000館あるというのです。

カジノ法案とギャンブル依存症。
出典 ハフポスト2016年12月15日
まず、パチンコ、スロットが全国津々浦々まで店舗展開しているこの国だが、一体どれくらいの数の店があるのだろう。
実態はと言えば、「コンビニのローソンよりも多く、全国に1万2000館あります。ギャンブルの機器の台数では、世界720万台の3分の2が日本に集中しています。朝は10時から夜も10時まで開店していて、冷蔵庫つきのロッカーや託児所を備えているホールも珍しくありません。ATMの設置もほぼいきわたっています。窮極の至便性と安楽性が実現されているのが、パチンコ/スロットなのです」
世界のギャンブル機器の3分の2が日本に集中しているとは、驚きの数字である。

日本は既に「ギャンブル大国」というのです。

この日本に新たにカジノというギャンブルを解禁すべきなのでしょうか?

最後に、カジノ解禁で“若年ホームレス”急増が問題になるという声も紹介をします。

海外では社会問題 カジノ法案が招く“若年ホームレス”急増
出典 日刊ゲンダイ 2016年12月6日
 日本で真っ先にカジノの餌食になりそうなのが、ギャンブルに免疫のない若者だ。厚労省研究班は、国内にギャンブル依存症の疑いがある患者が計536万人いると推計。そのうち20~30代の男性が188万人、女性は15万3000人に上る。若年層が成人全体の約4割を占める。
 カジノ解禁は「若年ホームレス」の急増を招きかねない。若者の貧困に詳しいノンフィクションライターの中村淳彦氏が言う。
「ホームレスとなる若者が増えているのは、非正規雇用の過酷な職場の実態が影響していると思います。派遣切りやパワハラなどでストレスをためた若者がギャンブルに走り、鬱憤を晴らす姿を私はたくさん見てきました。中には依存症になってしまった人もいます。カジノ法案が成立し、さらにギャンブルが身近となれば、若者の貧困にますます拍車が掛かる恐れがあると思います」
 安倍首相は雇用改善に胸を張るが、14年度の若者の非正規雇用の割合は15~24歳が30.8%、25~34歳が28.0%(内閣府調べ)と依然、高止まりしている。若者がバクチに向かう環境は変わっていない。

賛成側:統合型リゾート導入でギャンブル依存症が増えるわけではない

カジノ解禁で問題となっているギャンブル依存症ですが、ギャンブル依存症患者の9割の原因がパチンコであることを考えると、「接触頻度」「近さ」ともにパチンコより格段に条件が厳しいカジノを導入してもギャンブル依存症が増える可能性は低いとする考えがあります。

カジノ解禁程度で、、ギャンブル依存症が増える可能性は低い
出典 カジノ新聞
結論から言えば、日本にカジノを導入してもギャンブル依存症が増える可能性は低い。理由は単純だ。ギャンブル依存症に最も悪影響を与えるのはギャンブルへの「接触頻度」と「近さ」だが、日本では全国津々浦々に1万2000店に及ぶ「パチンコ屋」があるため、後からできてしかも遠くにあるカジノが、それより悪い影響を与えることは難しいからである。
厚生労働省によれば、ギャンブル依存症の疑いのある人は約536万人というが、その数字自体の信憑(しんぴょう)性はともかく、その原因の大半がパチンコ(パチスロ含む)であることは医学の領域でも明らかになっている。
本紙(=夕刊フジ 14年11月11日付)において、国立久里浜医療センターで病的ギャンブリング外来の責任者を務める河本泰信・精神科医長も、同センターにおけるギャンブル依存症患者の9割の原因がパチンコであると明かしている。
カジノは限定された地域に設置され、入場の際には身分証の提示を求められるため、「接触頻度」「近さ」ともにパチンコより格段に条件が厳しい。つまり、離れた場所に作られ、入場審査も厳しいカジノが与える影響は、街にあふれるパチンコよりもずっと低くなる。
さらにアメリカのシーザーズ・エンターテインメントによれば、ギャンブルが全くない国や地域にギャンブルが新設された場合は依存症が増えるが、もともとギャンブルがあるところに新たなギャンブルが追加されても、依存症はほとんど増加していないことが調査から明らかになっている。
つまり、主婦が買い物のついでにパチンコができるような日本では、皮肉な言い方をすれば「クスリが効かなくなった人」と同じで、新設のギャンブルから受ける影響も低いのである。(松井政就氏コラムより)
 
日本には、上記のとおり、パチコン店は、田舎の駅前にまで、まだ残っているものもあるようだが、いずれにしても、全国津々浦々その数がまだまだすごい。
 
それらに加え、公営ギャンブルと言えども、、競馬(JRAに地方競馬)競輪、競艇、オートレース、公営以外にも、ドッグレース、雀荘、サッカーくじtotoに、ものすごい種類の宝くじ、、もうギャンブルだらけです。
 
それでも、それでも、です、日本人はこんな中でも、まだまだ世界一勤勉で、とことんぶれずに、みなよく働いている訳です。カジノひとつでどうってことになる訳がないのが日本と言う熟成先進国だと言うことです。

確かに、ギャンブル市場では、日本のパチンコ・パチスロ機はギャンブル機器と考えられているのです。

例えば、オーストラリアの賭博機メーカ団体 Gaming Technologies Association(GTA)は日本のパチンコ・パチスロ機をギャンブル機器であると分類をしております。

出典 日本にカジノを
GTA2011年ギャンブル機集計レポート5ページでは、日本のパチンコ・パチスロ機について以下の様に説明しています。(中略)
日本で賭博は違法だが、パチンコもパチスロも、遊技者は商品に交換するメダルや玉を勝ち取れるだけとして、賭博機とみなされていない。(中略)
これらの機械を世界集計に含めている。なぜなら、メダルや玉の獲得により、パチンコ店で商品に交換され、さらに、近くで営業する店舗で次々に換金されているからだ。
 結局、パチンコ・パチスロにより現金獲得が可能な事を知っていて(悪意)、ホールが営業しメーカーがマシンを製造しています。GTAの説明からも浮き彫りになりますが、そうした悪意がある以上、パチンコもパチスロも賭博機なのです。直接払い出しはないが万単位の高額換金が常態化しているパチンコ・パチスロは、海外のAWPに比べギャンブル性が高く、「ハイローラー不在のカジノ」と言えるレベルです。日本のギャンブルマシン数突出は、監督行政に欠陥がある証しなのです。
 違法状態であるパチンコ換金を摘発し、依存症者排除ができない入店管理不備、業者・行政癒着、マシン釘調整や設定など欠陥で成り立つパチンコ営業の廃止が見えてから、高度な法整備によるカジノを日本に導入すべきです。

元横浜市長である中田宏氏は、「最大のギャンブル依存対策は「パチンコ規制」だ」と主張しております。

最大のギャンブル依存対策は「パチンコ規制」だ!!!
出典 BLOGOS中田宏2017年01月18日
今回のギャンブル依存症対策法案にはカジノのほかに競馬や競輪そして”パチンコ”も入るとの報道もありますが、これは矛盾です。
昨秋の別のブログで書いたとおり、パチンコは法的にギャンブルにすら定義されていません。
最大のギャンブル依存症対策は“パチンコの規制、止めること”です。
パチンコの依存性はとても高いですから!

自身の指宿竹元病院の入院患者40例について、その成因と治療成果についての検討結果から、ギャンブル依存症の70%がパチンコだけを使っているといいます。

ギャンブル依存症の問題
出典 竹 元 隆 洋(指宿竹元病院)
5. ギャンブルの種類(表3)
 最も使われているのはパチンコであるが、40例中パチンコだけを使っているものが28例(70%)、一方、パチンコと他のギャンブルを2種類、3種類に使用するものが9例(22.5%)あり、競馬や競艇、競輪、ゲーム賭博、カジノ、マージャン、花札などを組み合わせていた。

逆説的ですが、カジノ法案をギャンブル依存症対策として評価するのが、社団法人・ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子さんです。

まず、ギャンブル産業の規制と振興を同じ省庁が担当してきたのが、日本でギャンブル依存症対策が取られなかった理由だとしています。

次に、「カジノに反対すること=ギャンブル依存症者対策」などという先生は、口先だけのおためごかしをおっしゃっているに過ぎないと厳しく断罪します。

そして、田中氏は、鍵は「ギャンブル依存症者対策が既存ギャンブルにまで及ぶかどうか」であり、それはこれまで「遊技」というグレーゾーンで、誤魔化されてきた、パチンコ・パチスロも含まれるのか?だと指摘します。

最後に、田中氏は、IR法案の衆院通過を受けて、IR議連の先生方に、「既存ギャンブルに対する依存症対策をお願いします。」と、要望書と1万5千人分の署名を手渡したというのです。

田中さんの考え方は、ギャンブル依存症問題について大変重要と思いますので、長文になりますが、引用させていただきたいと思います。

カジノでギャンブル依存症は増えるのか?
出典 アゴラ田中 紀子2016年12月07日
昨日、IR(カジノ)法案が衆院本会議で可決されました。
これを受けて、カジノの是非を問う議論が喧々諤々行われておりますが、結果は参議院で、しかも早ければ今週中にも出されるとのことで、私どもと致しましても、固唾を飲んで見守っている次第で御座います。
現在、カジノと言えば、対で語られるのが「ギャンブル依存症」。
果たして、カジノという新しいギャンブルが日本に誕生することによって、ギャンブル依存症は増えるのでしょうか?私は、答えは「対策次第」と考えております。
「新しいギャンブルができる=ギャンブル依存症者が増える」と考えることは実に短絡的であり、片手落ちです。
現在の動きの中には、もう一つのキーワード「今まで、手つかずだったギャンブル依存症対策が行われる」
という重要なファクターがあることを忘れてはなりません。
なぜ手つかずだったか?
それには複合的な要因が多々ありますが、大きな問題の一つは、日本の場合ギャンブル産業の規制と振興を同じ省庁が担当してきたことです。

しかも、競馬は農林水産省、競艇は国土交通省、競輪・オートレースは経済産業省、パチンコ・パチスロは警察庁、宝くじは総務省、totoは文部科学省と言った具合に、所轄がバラバラです。

このため、売り上げが下がってくると、「振興策を打たねば!」ということで、射幸心をあげられ、いつでもどこでもとコンビニエントな環境が作られてしまい、依存症者を生み出すという悪循環になっていたと考えられます。

例えば、現在「ミッドナイト競輪」というものが行われていることを、皆さん、ご存知でしょうか?
ミッドナイト競輪

これは人気が低迷していた競輪の売上向上のために考えられた取り組みで、夜9時から始まり、11時頃まで行われ、
しかもインターネットで「気軽に購入できます!」と堂々と謳われている、これでも「公営」と名乗るギャンブルなのです。

ミッドナイト競輪によって、競輪のネット投票が大きく伸び、売り上げが増加しました。
現在では、18施工者が333日開催しています。

しかもこのHP見る限り、依存症の対する警告などどこにもありません。
さらに驚くことには、見ようと思えば誰でも見れる、青少年に対する配慮、年齢制限など何も考えられていないのです。

ではここに経済産業省が今年度発表した、「競輪・オートレースを巡る最近の状況について」という報告書がございますので、是非ご覧下さい。

競輪・オートレースを巡る 最近の状況について( H28.4.25 経済産業省製造産業局 車両室)

どうですか?皆さん。
最近の状況と銘打ったレポートには「売り上げへの関心」これしかないのです。

このレポート10年も20年も昔のものではないですよ。
本年4月に提出されたものです。

IRが初めて国会に提出されたのが2014年。
それから度々「ギャンブル依存症」が社会で取り上げられるようになったにも関わらず、管轄省庁では「ギャンブル依存症」に対する関心などありません。

これが、規制と振興を同じ省庁が受け持つ弊害です。

でもこれ競輪だけに起きていることではありません。
公営競技全体そしてパチンコの不正くぎ問題に関してもしかりです。

それに比べたら、カジノなんて全然お手軽ではありません。
だったら、カジノを作って、これら既存ギャンブルに対する、規制を一元的に統括し、依存症対策を実施すれば、
ギャンブル依存症者を減らすことは可能・・・というのが私の考え方です。
実際に、こういった手立てがとられ、ギャンブル依存症罹患者を減少させたノルウェーのような国もあります。

ですから「カジノに反対すること=ギャンブル依存症者対策」などという先生がおられたら、その先生は今まで、
ギャンブル依存症問題に関わったことのない、口先だけのおためごかしをおっしゃっているに過ぎません。

なんと言っても鍵は
「ギャンブル依存症者対策が既存ギャンブルにまで及ぶかどうか」
であり、それはこれまで「遊技」というグレーゾーンで、誤魔化されてきた、パチンコ・パチスロも含まれるのか?ということです。

これは法的な問題を考えても相当な難問であるはずです。けれども、それができればかなり画期的なことではないでしょうか。

「そんなものカジノを作らなくてもやればよい」とおっしゃいますが、一度、掴んだ既得権を手放してもらうことは容易ではありません。

だからこそ、新しいギャンブルのバーター取引でしか、この国でのギャンブル依存症対策は浮上してこなかったのです。
本日は、IR法案の衆院通過を受けて、IR議連の先生方に、「既存ギャンブルに対する依存症対策をお願いします。」と、要望書と1万5千人分の署名を手渡させて頂きました。
既存ギャンブルに対し依存症をやるのか?やらないのか?
そんなギャンブルをするわけには参りません。
参議院では、ギャンブル依存症対策がより明確になるよう、
充実した審議が行われることを願います。

以上、カジノ解禁に対して、賛成側と反対側の意見を見てきました。

皆様は、カジノ解禁に対して、賛成ですか? 反対ですか?

なお、行政に携わる地方自治体の方々と住民側として社会行政問題に関わる方々に対して、懸案問題に対して賛成と反対の両面から検討することで、問題の本質を掴み、内因性を理解することで、合理的で本質的な解決策を見出していくことを目指す、ディベート教室をご提案致します。

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