ビジネス英語習得の秘訣ブログ第3回で、私は「英語を学ぶから英語で学ぶへ」というタイトルで、英語でビジネスをする上でビジネス知識を「英語で学ぶ」大切さを説明しました。

最近、教育の現場でも同様の提言があることを見つけましたので、実例として紹介したいと思います。

著者は、様々な英語教育に携わる上智大学教授の池田真氏です。池田氏は、上智大学学部・大学院での専門科目を担当している他、教職課程での中高英語の教員養成をはじめ、CLILを使った新英語プログラムのカリキュラム開発や教員研修に関する企画等を行っております。

池田氏は、海外で生活を送った子どもはなぜ英語ができるようになるのか、という基本的な問いに対して、ロンドン滞在中にご自身の子供がどのように英語を身につけるかの体験から、その本当の理由が「学校で英語を使って学ぶからである」ことを解き明かしているのです。

日本人の英語力が一向に上達しない根本原因
「英語を勉強」ではなく、「英語で勉強」せよ
出典 東洋経済オンライン 2018/07/06
海外で生活を送った子どもは、なぜ英語ができるようになるのか。英語圏に住むからだろうか? そうではない。学校で英語を使って学ぶからである。
筆者はロンドンに2度住み、子どもを現地の小学校と中学校に通わせた。小学校は英国国教会系の公立校で1~2年生を過ごした。職業柄、日本人の子どもがどのように英語を習得するのかに興味があったので、ことあるごとに観察していた。
それでわかったのは、各教科の授業を通して英語に触れている時間が圧倒的に長く、言葉の種類が多様で密度も高いのに対して、休み時間や遊びは量的にも質的にも劣ることであった。
ある時、子どものクラスメートの自宅で行われるバースデーパーティに呼ばれた。子ども同士の遊びでどのような英語のやり取りが交わされるのかを見たくて、喜び勇んで送り迎えを買って出た。が、家に入って驚いた。全員がゲーム機持参で、一言も発せず黙々とゲームに熱中するのみだったのである。
ひるがえって、授業では違った。感情を込めた絵本の読み聞かせがあり、それに対する先生と子どもたちの対話あり、宿題として読書の課題あった。言語的に実に豊かなのである。(中略)
つまり、しかるべき方法論で教えられる教科科目を英語で学ぶことにより、語学力とともに汎用能力(知識活用力、批判的思考力、問題設定・解決力、創造力、協働力、異文化受容力など)も養成されるのである。

私のビジネススクールでの体験も全く同じです。
英語で教科を学ぶことで、語学力とともに汎用能力(知識活用力、批判的思考力、問題設定・解決力、創造力、協働力、異文化受容力など)も養成されたのです。

さて、池田氏は、さらに進んで日本の学校で実際に英語で教科を学ばせるカリキュラムを志向しております。ある小学校で数学だけを英語で教えたところ、バイリンガルレベルの子供が出現したというのです。

「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策
グローバル時代の英語教育は一つしかない
出典 東洋経済オンライン 2018/07/10
事例には欠かないが、私が関わっている学校でいうと、仙台市の私立女子小学校では算数を英語のみで学ぶコースが3年目に入っている。児童の英語での発話は活発で、何人かはバイリンガルと思えるほど上達している。

このように英語で教科を学ぶことが効果的な理由は、「学んでいる際の脳の処理プロセスと実際に使う際のそれが近い」からだというのです。

出典 同上
このような学習転移のプロセスは、「転移適切処理」という仮説によって説明される。
それによると、学習の成果が最も出やすいのは、学んでいる際の脳の処理プロセスと実際に使う際のそれが近い時であるとされる。これは受験英語がなぜコミュニケーションに役立たないかの説明でよく使われる。
すなわち、単語を覚え、文法を理解し、日本語を英語に訳すという学習は、和文英訳対策としては有効だろうが、英語で効果的なメールを書くことには直接は役立たない。
取り組む活動の違いもさることながら、学習時の思考と使用時の思考が異なるからである。

なお蛇足ではありますが、EUでは多様な言語をもった国々で構成されているため、必然的に母国以外に英語を学ぶ必要性がありますが、英語を教える授業では時間数が足りないため、教科の一部を英語で教えることで時間不足を補っているとのことです。

出典 同上
英語と言語的に近い言葉を第1言語とするヨーロッパですら、英語の授業だけでは時間数が足りない。そこで、教科を英語で学ばせるという秘策を生み出して、国民全体の英語力向上に努めている。
イタリアに至っては、中等教育の最後の学年で最低1科目は英語で学ばないと高校卒業の資格が得られないように法律が改正された。日本ではそこまではいかないだろう。

本日は、私が体験的に理解した「英語を学ぶから英語で学ぶ」と全く同じことを、英語の教育の専門家が提唱されていることを取り上げました。

英語でビジネスができるようになる「ハイブリッド・ディベート研修」

今直ぐに、英語でビジネスをしなければならないという緊急のニーズを満たすために、提案するのが弊社開発の「ハイブリッド・ディベート研修」です。

英語でビジネスができるようになるためには、英語の文法がよくわかっている、或いは発音がネイティブに近いとかは、英語をする上では大して重要ではありません。

英語でビジネスをするための知識と対話を身につけることが必要なのです。

ビジネスをするための知識を身につけるには、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」に変わる必要があります。

次には、英語での「対話」を身につける必要があります。即ち、ロジックを身につけるということです。ロジックとは平たく言えば論理或いは論理的思考のことです。

欧米人と会話すると、よく「Why?」と聞かれることと思います。何故なら彼らの思考の仕方として、何かを主張するには理由や事実の裏付けが必要なのです。

ここに日本人の心理的問題があるのです。
日本人は「ここは触れてはいけないな」と相手をおもんばかることが文化的に大切とされているので、「Why?」を避ける習慣で育っております。

つまり、英語がうまい下手ではなく、何をどう答えたらよいのか訓練されていないから、欧米人と対話ができないのです。

さて、知識とロジックを同時に身につけるのに最適なのが、ハイブリッド・ディベート研修なのです。

研修では、あるケースについて大量の資料を準備します。それも同じ資料を日本語と英語で準備しているのです。

初日はすべて日本語で研修を実施します。

チームに分かれ、ある提案を実施することに対して、資料を読み込み、賛成と反対の両方のロジックを作り上げることです。

日本語で行うことで、英語力に関係なく、参加者はロジックに集中できるのが大きなメリットになります。

参加者は、ロジックを組み立てた後、賛成側と反対側との2チームで、試合(課題に対して問題の定義とその解決策を提案し、それに対してQ&Aをして、その問題点を指摘する)を行います。

このプロセスを通じて、チームワークが体得できるだけでなく、個人としてもプレゼンテーション、傾聴力、質問力などが体得できるのです。

翌日に、同じ内容を英語で実施するのです。

体験していただければわかっていただけるのですが、日本語でロジックができていると、英語に直すのは、たやすいのです。

即ち、たった2日間でいつの間にか、英語でビジネスを疑似体験してしまう訳です。

このスピードが「ハイブリッド・ディベート研修」のもうひとつの特徴です。

詳しくは、次のリンクからご覧下さい。